質問: 自治体から地域振興や災害からの復興を目的とした助成金が支給される場合、当該助成金を控除する前の金額を旅行代金として取り扱って良いか。
【回答】
先ずは、助成事業を行う自治体の取扱要領を良く読んで、助成対象が何(誰)であるか正しく見極める必要があります。助成対象やお金の流れにより、おおむね、次の3つの例に集約されると思われます。
(1)自治体が旅行業者に対して助成するもの。
助成金は旅行業者の旅行費用や広告経費に充当し、低廉な旅行代金で販売することを自治体から求められます。
(2)自治体が旅行者に対して助成するもの。
旅行者は自治体に対して助成金の申請を行い、自治体から直接、助成金を受け取ります。
(3)自治体が旅行者に対して旅行代金の一部を助成するものであるが、事務手続きの便宜上、助成金が 旅行業者を経由するもの。
助成金の支払いと旅行代金の請求が同時に行われるため、差額のみが旅行者に請求され、旅行者は助成金を実際に手にすることはない。
(1)は、旅行業者に対しての助成金なので「旅行代金=(旅行費用—助成金)+収益」となり、助成金を反映させた金額が旅行代金となります。
一方、(2)と(3)はともに旅行者に対する助成金なので、「旅行代金=旅行費用+収益」であり、表示する旅行代金にも助成金は反映されません。
なお、(3)は助成金が直接に旅行者の手元に届かないため、旅行者がお支払いになる実額に対して「旅行代金」と書いてしまいがちですが、自治体が旅行者に旅行代金の一部を助成金として負担している点で(2)と変わりなく、表示する旅行代金は助成金を反映しないものとなります。
そして、取消料については(3)のケースで注意が必要です。取消料は旅行代金に対して計算しますが、旅行者が支払ったお金が旅行代金とは一致していませんので、旅行者はお支払いになった実額を旅行代金と勘違いし「不当に高い取消料を請求された」と誤解することがあります(助成金は、その趣旨から旅行に参加した場合に助成されるもので、取消料は助成の対象ではないことがほとんどです。)。
こうしたトラブルを避けるために、パンフレット等には旅行代金を明確に記載し、「旅行参加者に自治体から助成金が支給されることとその金額」、「助成金は旅行代金の一部として、直接、旅行業者に支払われること」、「取り消した場合の取消料は旅行代金に対して計算すること」等を明記してください。