質問: 電話で予約を受けたが、当社が指定する期日までに申込金、申込書の提出がなかった。そこで、そのお客様の予約を落としたところ、後日、「催告も無しに契約を解除するのは民法の違反だ。もとに戻せ。」と言ってきたが本当に法律違反なのか。
【回答】
日常生活においては「予約」という言葉は「契約」という意味と同義に使われている場合が多く、必ずしも法律上の意味で使われているとは限らないようです。法律用語としての「予約」とは、「将来において売買などの特定の契約(本契約)を締結することを約束する契約」をいい、標準約款募集型企画旅行の部第6条の「予約」はこの意味で使われています。
そして、「予約」を「本契約」にする(これを「予約の完結」といいます。)旨の意思表示をすることで、契約(いわゆる「本契約」)の効力が生じます(民法第559条・第556条1項)。つまり「予約」の段階ではまだ旅行契約は成立していないということになります。
本問の旅行者は、民法第541条の「当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は契約の解除をすることができる。」という規定を根拠に「催告も無しに契約を解除するのは違法だ」と主張をしているものと推測できますが、本件は予約がなくなるというケースであり、契約解除の話ではありません。
したがって、旅行業者が旅行者に催告(=催促)しなければならないというものではありません。