TOP15. 旅行業者による契約の解除NO.109 噴火のため空港が閉鎖され予定便が欠航したが、催行中止して旅行代金を全額返金しなければならないか?
最終更新日 : 2024/03/18

NO.109 噴火のため空港が閉鎖され予定便が欠航したが、催行中止して旅行代金を全額返金しなければならないか?

質問: アイスランドの火山噴火により利用予定の欧州内空港がどこも閉鎖となり、成田空港発の航空機が軒並み欠航となったため明日出発予定だった募集型企画旅行が実施できなくなった。この場合、旅行代金を100%返金するしかないのか。

【回答】

 火山噴火が起きた、政情不安だ といった事由が発生しただけで、直ちにツアーの催行を中止しなければならない、あるいは旅行者が取消料を支払わずにキャンセルができる、というものではありません。

 これらのことが発生したときは、まず旅行業者は極力当初の日程に近い「代替案」を検討する義務があります。その結果、代替案が約款の別表第二に掲げられているような重要な変更が生じたものであれば、旅行者に取消料なしの解除権が発生し、旅行代金は全額返金されることになります(標準約款募集型企画旅行の部第16条2項一号)。

 本問では、代替措置に伴って航空会社名の変更や直行便から乗継便への変更、あるいは旅行の目的地の変更等の「重要な変更」が生ずる場合には、旅行者に取消料なしの解除権が発生します。

 また、「旅行の安全かつ円滑な実施」ができるような代替案がないと旅行業者側が判断すれば、旅行業者は約款第17条1項7号に該当したとして催行を中止(旅行契約を解除)し、旅行者には旅行代金の全額が返金されることとなります。

 このように、火山噴火、政情不安等のいわゆる“不可抗力”が生じたとしても、それ自体が旅行者からの契約解除事由となるのではなく、これらのことが発生した結果として別表第二に掲げられている変更その他の重要な変更が生じたとき、あるいは旅行を安全かつ円滑に実施できない又はそのおそれが極めて大きいと判断されるときに、解除権が発生するものです。