TOP12. 手配旅行契約の引受と成立NO.92 継続的に取引している企業の出張者のための手配旅行契約の成立時点はいつになるのか?
最終更新日 : 2024/03/18

NO.92 継続的に取引している企業の出張者のための手配旅行契約の成立時点はいつになるのか?

質問: 得意先企業との間で1年又は2年の期間の契約を結び、後はメールでのやり取りのみで出張者のための航空券等を手配しているが、この場合の手配旅行契約の成立はどの時点になるのか。

【回答】

 手配旅行契約は、基本的に旅行業者による承諾と申込金の受理をもって成立しますが(標準約款手配旅行の部第7条1項)、書面による特約をもって申込金の支払いを受けることなく契約を成立させることができます(同第8条1項)。

 業務出張の手配など顧客との取引が継続的に行われるケースでは、通常、旅行業者と顧客企業との間で例えば1年間を期間とした「基本契約書」と呼ばれるものを取り交わしますが、この場合「旅行契約」はこの基本契約を締結した時に成立するのではなく、個々に行う出張手配の際にその都度成立することになります。基本契約書には、取引条件説明書面に記載すべき事項のうち、継続的に行われる取引全体について共通の事項を記載しておきます。

 例えば、個々の出張者のための企業からの申込みをどのような方法で行うのか、旅行業者から企業への手配を引き受ける旨の承諾はどのような方法で行うのか、それに従って旅行契約はどの時点で成立するのか、旅行代金はどのようなタイミングでどの部署に請求し企業はいつ旅行業者に支払うのか、払戻が生じた場合にはどのように払戻すか、などを記載する場合には、旅行業約款の規定に沿って取り決めます。

 本問については、標準約款手配旅行の部第8条1項に基づく「特約」として、基本契約書中に次のような条文を設けることで、契約の成立時点を明らかにすることができます(同第8条2項)。

第○条(手配の依頼方法と旅行契約の成立)
1.甲(注:手配を依頼する企業)は、甲の出張者に係る旅行の手配を乙(注:旅行業者)に申し込もうとするときは、別紙○による「旅行手配申込書」(以下「手配申込書」という。)に定める必要事項を電子メールにより乙に送信する。
2.乙は、前項の申込を受けた場合は、遅滞なく申込に対する諾否を、電子メールにより甲に通知する。
3.乙が前項により申込を承諾する旨を通知したときは、当該申込に係る手配旅行契約は、乙の通知が甲に到達した時点で、甲と乙の間で甲の出張者のために成立するものとする。