TOP25. その他NO.183 事業者と思われる者からの大量予約、大量キャンセルへの対応として取引条件説明書面に解除条項を追加しても問題ないか?
最終更新日 : 2024/03/18

NO.183 事業者と思われる者からの大量予約、大量キャンセルへの対応として取引条件説明書面に解除条項を追加しても問題ないか?

質問: 最近、当社が運営する手配旅行の国内宿泊予約サイトにおいて、海外ランドオペレーターなど事業者と思われる者からの大量予約、大量キャンセルが頻発しており、その対応に苦慮している。そこで、旅行条件書に下記のようないわゆる商用利用を禁止する旨の記述を追記して対応したいが問題はないか。

 『弊社が許諾する以外の方法によって、利用者が弊社サービスを利用して商用行為を行った場合、弊社は、当該行為が行われたと認められる手配旅行契約を解除し、以降のご利用をお断りします。 』

【回答】

 宿泊を希望する旅行者と旅行業者との間で手配旅行契約を締結し宿泊施設を手配することを目的としたサイトは、事業者のために宿泊施設の手配を代行するためのサイトではありません。したがって、旅行契約に関する取引条件を記載する書面の一部となる旅行条件書への文言の追加ではなく、旅行取引の前提となるウェブサイトの利用規約などで禁止するべきです。

 例えば利用規約等に「この予約サイトは一般のお客様がご利用になる宿泊施設を検索・予約するためのサイトです。このサイトを利用して他のお客様のために宿泊の手配をするなどの行為を禁じます。」と記載して事業者としての利用を排除する意思を明示したうえで、「当社がこのような行為による予約記録などを発見したときは、当社は、直ちにその予約記録などを削除し、それによって当該利用者に損害が生じたとしても、当社は、一切の責任を負いません。」として旅行取引に入る前の段階で旅行業者の対処方針を併せて記載しておくのが良いでしょう。

 なお、旅行条件書へ文言を追加する方法をとった場合は、サイト上で手続きを完了させた事業者との間で手配旅行契約を締結したものと解釈されてしまう可能があります。この場合、当該事業者との手配旅行契約の解除について新たな解除事由を追加したものとして旅行者の不利になる特約であり無効であると反論される余地が生ずることになります(標準約款手配旅行の部第1条2項)。その意味でも「締結した契約を解除する」のではなく、「取引に入る前に排除する」という姿勢を明確にすることが重要です。

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