TOP13. 未成年者の旅行参加NO.96 未成年者申込の同意書はなぜ必要なのか?
最終更新日 : 2024/03/18

NO.96 未成年者申込の同意書はなぜ必要なのか?

質問: 未成年者からの申込みは、親権者の同意が必要と聞いているが、約款のどこに記載されているのか。同意書がなければ契約は無効なのか。

【回答】

 標準旅行業約款には、未成年者が申し込む場合の規定がありません。このように約款に定めのない事項については、「法令又は一般に確立された慣習によります」と規定していますので、民法の規定を適用することになります(募集型企画旅行の部第1条1項)。民法では、未成年者が法律行為をする場合は法定代理人の同意が必要とされます(民法第5条1項)。通常、親権者が法定代理人になります。

 いくつかの例外を除き、法定代理人の同意無しに行われた法律行為は、法定代理人又は本人が取り消すことが出来ます(民法第5条2項・第120条)。法定代理人の同意がなければ、その契約自体が無効だということではありませんが、旅行業者にとっては、いつこの取消権を行使されるのかがわかりません。取り消されると旅行契約そのものが初めからなかったことになり(民法第121条)、旅行業者は取消料の収受ができなくなります。

 他方で、例えば法定代理人が目的を定めて未成年者に処分を許した財産については、未成年者は自由に処分することができます(民法第5条3項)。

 しかし、その財産が旅行に行くことを目的として未成年者に処分を許されたものであるかどうかについて旅行業者が知ることは事実上不可能と思われます。目的を定めないで処分を許した財産も自由に処分することが出来ますが、これはお小遣い程度の金額とされていますので、旅行代金がこれに該当するかは疑問です。

 以上のことから、未成年者からの申込に当たっては一律に同意書をとるのが「実務上望ましい。」ということになります。