質問: 花火大会を鑑賞する目的の国内募集型企画旅行だが、悪天候のため花火大会が中止になりそうだ。まだ大会主催者側からの正式なアナウンスは無いので、このままツアーを催行させてしまっても問題ないか。催行する場合はキャンセルする旅行者に取消料を請求しても良いか。
【回答】
旅行開始前に花火大会の中止が判明した場合は、「旅行実施条件であって契約の締結の際に明示したものが成就しない」ことが既に確定し、また、コースや天候によっては「旅行の安全かつ円滑な実施が不可能となり、又は不可能となるおそれが極めて大きいとき」に該当する場合もあることから、一般的には催行中止とするべきでしょう(標準款募集型企画旅行の部第17条1項6号、7号)。もしも催行した場合であっても、旅行業者は取消料を収受することはできません(同第16条2項1号、3号)。
悪天候が予想されるものの、旅行開始時点において花火大会の主催者から正式な中止のアナウンスがなく、やむを得ず“見切り発車”してツアーを催行せざるを得ない場合は、(1)旅行開始の時点では花火大会の中止が決定していないこと、(2)参加を取りやめる旅行者には取消料を頂かないこと、(3)参加したときは結果として花火大会が開催されなくても旅行代金の返金は無いこと、を案内したうえで催行するのが良いでしょう。
この案内が不充分だと、花火大会が中止になってしまったときは、旅行業者は花火大会の開催が中止されることが予見できたのにもかかわらず漫然とツアーを催行したもので、旅行業者にはツアーの催行を中止すべき義務を履行しなかったとして損害賠償を請求される恐れがあります(実務上は、花火が見られなかったのだから全額返金すべきとの苦情が想定されます。)。
なお、上記(2)については、大会主催者からの中止が宣告されていない以上は当然に花火大会は実施されるものとして、旅行業者の判断でツアーを催行し、旅行者からは規定の取消料を収受するというスタンスも考えられるものです。