TOP9. 募集型企画旅行契約の設定NO.61 募集型企画旅行の招待旅行ではどんな契約をしたらよいか?
最終更新日 : 2024/03/18

NO.61 募集型企画旅行の招待旅行ではどんな契約をしたらよいか?

質問: 商店会から、旅行商品を福引きの景品にしたいという相談があった。当社の募集型企画旅行を提供する場合、商店会とどのような契約をしたら良いか。

【回答】

 商店会が費用を負担して懸賞招待旅行を実施する場合などにおいて、商店会の代表者を契約責任者として旅行契約を締結することが多いようです。ところが、懸賞招待旅行の被招待者(旅行者)がその参加を取り消した際に、商店会が「取消料は旅行者に請求してくれ。」などと言うケースがあり、他方で旅行者からは「招待された旅行であるにもかかわらず、それを辞退したら何で取消料を請求されなければならないのか。」というような苦情が実際に発生しています。

 この場合、商店会の代表者は、旅行者によって契約責任者と定められたわけではない上、契約当事者としての認識のない旅行者に旅行代金や取消料の支払いの義務を負わせることは適当でないため、商店会の代表者をそのまま契約責任者として扱うことは不適切です。

 標準旅行業約款には、このようなケースを想定した規定がありませんので、上記のようなトラブルを防ぐためには予め招待主との間で特約を結び、きちんとした契約書を取り交わしておくことが望ましいでしょう。

 標準旅行業約款では、旅行者は同時に旅行契約の当事者であるものとして条文が書かれています。つまり、旅行者が旅行業者に旅行代金を支払う義務を負っています。このため、招待旅行のように旅行者以外の者が旅行代金の支払い義務を負う場合には、招待者を契約者とし、旅行者をそのような契約上の利益を受ける者(受益者)とした、いわゆる「第三者のためにする契約」(民法第537条)の内容の「特約」を締結することが一つの方法として考えられます。

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 特約書には、商店会を契約者とした場合に旅行業約款と抵触する条項について、商店会と十分に話し合って、合意された実際の取扱いに合わせて、旅行業約款の規定を置き換える旨の条項を設けることが必要となります。

 別紙は、このような考え方で書き起こした特約書(覚書)の例ですので参考にしてください。

 なお、この場合でも、旅行者には、旅行業法で義務づけられている取引条件の説明、取引条件説明書面・契約書面の交付をおこなわなければなりませんのでご注意ください。

【別紙】 募集型企画旅行を景品として提供した場合に旅行業者が招待主と締結する覚書の参考例.pdf