TOP24. コロナウイルス対応NO.173 感染症の蔓延により旅程変更と契約解除を余儀なくされた場合の約款の解釈は?
最終更新日 : 2024/03/18

NO.173 感染症の蔓延により旅程変更と契約解除を余儀なくされた場合の約款の解釈は?

質問: 新型コロナウイルス感染症の蔓延により、当社が企画・実施する周遊型の募集型企画旅行において、C国での観光中に、次に訪問するD国が日本からの旅行者全員の入国を拒否することが判明した。D国への訪問を断念して日本に帰国したいが、その後の対応に関する約款の解釈について再確認をしたい。

【回答】

 貴社には2つの対応方法が考えられます。

 1つ目は、旅行契約の内容の変更に留めて旅行契約を解除しない方法です。

 この場合、旅程が短くなったことから旅行の実施にかかる費用がおそらく減少しますので、旅行者が提供を受けなかった旅行サービスに係る費用から当該サービスの提供機関が貴社に課す取消料等を控除した金額を旅行者に払い戻すことになります(標準約款募集型企画旅行の部第14条4項)。

 2つ目は、C国において貴社から旅行者に対して、旅行の継続が不可能であることを理由として、これ以降の旅行契約を将来的に解除する方法です(同第18条1項4号)。

 この場合には、貴社は旅行契約の解除までの時点の旅行契約上の債務は履行していますので、旅行者が未だ提供を受けていない旅行サービスに係る金額から当該サービスの提供機関が貴社に課す取消料等を控除した金額を旅行者に払い戻すことになります(同条2項・3項)。この場合、貴社は、契約解除をした時点から旅行者に対して特別補償責任を負うことはありませんが、旅行者の求めに応じて、出発地に戻るための帰路手配をする義務を負います(それに係る一切の旅行費用は旅行者が負担します。)(同第20条)。

 上記のいずれかの対応を決定して旅行者に説明してください(同第13条)。

 当室としては、旅行業者が引き続き旅程管理債務や特別補償責任を負うこととなり旅行者にとって安心感が高くなる1つ目の方法を採ることをお勧めします。

 もしも貴社の決定に納得をしない旅行者から、「C国において旅行契約を解除します(離脱します)」と言われた場合(同第16条3項・4項)は、旅行者が離脱した時から貴社は特別補償責任を負うことはなく、当該旅行者に対する帰路手配の義務も生じません(但し、2つ目の対応をすると帰路手配の義務があることには注意してください。)。

 なお、払い戻しの期限はいずれの場合にも「当初の旅程の旅行終了日の翌日から起算して30日以内」となります(同第19条1項)。