質問： ツアーに参加するたびにクレームを繰り返すお客様がいる。今後のお申込を断りたいのだが、そのようなことは法的に許されるのだろうか。
【回答】
日本では「契約自由の原則」が認められていますが、公共性の高い事業では法律で定めた事由がなければ契約を締結しなければならないとされており、身近な例を挙げれば電気、ガス、水道の供給契約などがあります。
また、旅行に関連のある業種では航空機、鉄道、路線バス等の公共交通機関や宿泊施設などについては、個別に法令・約款等で定められた拒否事由に該当しなければ運送や宿泊を拒否できないようになっています。
一方で、旅行契約においては標準旅行業約款の「契約締結の拒否」の項目の一つに「その他当社の業務上の都合があるとき」とあげられていることから、契約自由の原則は守られていますので、旅行業者には契約締結の義務はありません（標準約款募集型企画旅行の部第７条八号・他）。
実務上での穏便な“断り方”については各社のノウハウが必要になってくると思われますが、旅行者から締結拒否の根拠となる条文を求められたら、この「その他当社の業務上の都合があるとき」で説明するのが良いでしょう。この場合、旅行業者に「業務上の都合」の詳細について説明する義務はありません。不用意に「業務上の都合」以外のことを話すと、その言葉尻をとらえて新たなクレームとなるおそれがありますので、慎重に対応する必要があると思われます。