質問: 当社の募集型企画旅行では、日程中で提供される宿泊や運送機関について、いわゆる「在庫」を事前に仕入れることなく旅行を計画して募集することがある。
この場合、当社が在庫を持たないことにより、旅行の申込を受けてから直ちに旅行契約締結の承諾をしないで、「リクエスト予約」と称して申し込みを受付け、希望する列車や航空便の座席、宿泊施設など、旅行日程中に含まれる全ての手配を完了できたときに締結の承諾をお伝えし、申込金の請求を行っている。
社内では、宿泊や運送機関について、事前の仕入れが無い状況で旅行を計画して募集することが募集型企画旅行として問題ないだろうか、「おとり広告」と言われかねないのではないかと疑問を持つものがいるが、どうなのだろうか。
【回答】
旅行業法施行要領(通達)では、企画旅行契約について「日程等は計画として定まっていればよく、契約の締結前に手配を完了していることを要しない。」とされており、事前の仕入れが無いことは問題視されるものではありません(第一.3.2)、(1))。
むしろ、標準旅行業約款は、契約書面で利用する運送機関や宿泊施設を複数列記しておき、後日、確定書面を交付するといった、いわば、発生手配をも含めた手配を前提とした取引を想定して規定されているものと考えられます。
ただし、多くの旅行商品を取り扱っているかのように見せるため、契約の締結をする意思もなく「リクエスト受付」とし募集する旨をウェブサイト上などで表示し続け、契約の締結を断り続けていれば、「おとり広告」であるとの誹りは免れません。旅行業公正取引協議会が定める「募集型企画旅行の表示に関する公正競争規約」第13条(おとり広告の禁止)、さらには、旅行業法第12条の8(誇大広告の禁止)に該当する恐れがあります。
なお、「リクエスト予約」等と称していても、申し込みを受付け、申込金を受理した場合はその時点で旅行契約は成立します。この場合、旅行サービスの手配が出来なかった(完了できなかった)からといって旅行契約を解除すると、債務不履行となり損害賠償の対象となる恐れがありますので注意してください。
