質問: 旅行を申し込んだお客様に対し旅行代金に応じたポイントを付与し、そのポイントを次回以降の旅行代金の支払いに充てることができる制度を導入したいが、どのような問題があるか。
【回答】
いわゆる「ポイント制度」は、内容によってその法的位置づけが異なります。
ここでは、当該ポイントが景品表示法における景品類には該当しない(自社での旅行申込み(他社の募集型企画旅行の受託販売を含む)の際にしか用いず、「値引き」に該当する)という前提で、旅行代金への影響について注意点を述べます。
(1)自社が実施する募集型及び受注型企画旅行の場合
ポイントを旅行代金に充当するときに、ポイント適用前の代金と、ポイント適用後の旅行代金のどちらを、旅行契約上の旅行代金とするのかの問題が生じます。ポイントを値引きとして位置づけるならば、旅行契約上の旅行代金はポイント適用後の代金となり、取引条件説明書面・契約書面にこの金額を記載することになります。
(2)手配旅行の場合
手配旅行契約では「旅行サービス提供に係る費用」と「旅行業者の取扱料金」の内訳を明示する必要があります。このうち「旅行サービスの提供に係る費用」については、運送・宿泊等の旅行サービス提供業者から同意がない限りポイントを充当することはできず、旅行業者が旅行者に提供する役務の対価である旅行業務取扱料金に対してのみポイントが適用できることになります。
(3)他社の募集型企画旅行の場合
企画旅行業者と受託旅行業者との間に締結される募集型企画旅行取扱委託契約にて値引きが禁止されている場合は、ポイントを旅行代金に充当することはできません。受託販売している募集型企画旅行にポイントを適用したい場合は事前に企画旅行業者の了解を取り付けておく必要があります。