TOP25. その他NO.178 取り消した旅行者に旅行代金を返金する際に送金手数料を差し引いてよいか?
最終更新日 : 2024/03/18

NO.178 取り消した旅行者に旅行代金を返金する際に送金手数料を差し引いてよいか?

質問: 旅行契約の解除に伴い旅行者に返金する場合、振込手数料を控除して送金しても良いか。取引条件説明書面には、「当社の責によらない事由による旅行契約の解除に伴い当社が返金する場合は、送金手数料を相殺して返金いたします。」と記載する予定。

【回答】

 送金手数料を差し引いて返金することは不適切と思われます。

 旅行者の都合により旅行契約が解除された場合には、旅行業者は「取消料」を収受することが出来ますが、旅行代金収受後に取消料を差し引いた金額を返金する場合には、旅行者から申出のあった時点で契約の解除が成立し旅行代金と取消料を相殺しますので、旅行業者がその相殺後の残額を旅行者に返還する義務(標準約款募集型企画旅行の部第19条1項及び2項)しか残っていないことになります。

 この際に発生する、いわゆる「送金手数料」は、持参債務の原則(民法第484条1項)により原則として債務者(お金を支払う側)が負担することになっています。

 本問の背景には、「旅行者の任意解除によって旅行業者に生じた費用(=損害)だから旅行者が負担すべきではないか」という主張があると思われますが、「送金手数料を旅行者負担とする」という特約は、民法を超えた負担を旅行者に求めることになり、旅行業約款の規定から無効になると考えられます(標準約款募集型企画旅行の部第1条2項、他の旅行契約にも同趣旨の規定がある。) 。

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