質問: お客様は未成年者(大学生)だが旅行契約の成立後、出発が近くなっても同意書の提出が成されない。催促しても、「自分でアルバイトして稼いだ金で旅行に行くのだから親に同意書なんて頼みたくない」と拒まれる。同意書の提出がないことを理由に当社側から旅行契約を解除してもよいか。
【回答】
取引条件説明書面(契約書面)の中で、例えば「未成年者の方は、法定代理人(親権者)の同意書の提出が必要です。」など、同意書の提出を義務付ける記述がないと旅行業者側から旅行契約の解除はできません。この記述があれば、「当社があらかじめ明示した参加旅行者の条件を満たしていない」と参加条件の不備を理由として旅行契約の解除をすることができると考えられます(標準約款募集型企画旅行の部第17条1項一号)。
本問は同意書の提出を受けることなく未成年者と旅行契約を成立させてしまった事案ですが、実務では同意書の提出があるまでは旅行契約の締結を保留しておくことも有効です。
なお、未成年者がアルバイトで稼いだお金で旅行に参加することは、法定代理人が目的を定めないで処分を許した財産の処分(民法第5条3項)に該当する可能性があります。もっとも、旅行業者としてはその辺りの背景事情を把握するのが困難ですので、同意書を得ておくべきでしょう。