質問: 旅行者が出発当日の早朝に集合場所に来てバスの運転手に旅行契約の解除を申し出た。この時点ではまだ当社の営業所の営業時間外であったので、営業時間に入ってからの(旅行開始後の)取消しとして、旅行代金の100%の取消料を収受して良いか。
【回答】
旅行契約の解除の連絡は契約の相手方である旅行業者に対してするものですので、旅行契約の当事者ではないバスの運転手が契約解除の受付をすることは不適切です。
そして、営業時間開始前に旅行が開始されるのであれば、その時点で旅行業者が契約解除の連絡を受けることができるようにしておくべきです。
集合場所に旅行業者の係員(添乗員)を配置することができず、旅行者が営業時間開始前に契約解除の連絡をすることができないのであれば、旅行業者が営業時間開始後に旅行契約の解除の連絡を受けたとしても「旅行開始前の解除」として取り扱うなど、柔軟な対応が必要となるでしょう。
旅行業者が自ら、出発日の旅行開始前と旅行開始後で取消料率が大幅に異なるよう定めた以上(別表第一)、旅行者に解除権を行使する適切な機会(方法)を与えなければなりません。早朝の営業時間外であることを理由に(民法484条2項)、旅行開始後の契約解除であるとして100%の取消料を収受するのは権利の濫用となるおそれがあり、妥当ではありません。