TOP25. その他NO.186 旅行申込者に対して「暴力団員等の反社会的勢力に該当するか」否かを確認する必要はあるか?
最終更新日 : 2024/03/18

NO.186 旅行申込者に対して「暴力団員等の反社会的勢力に該当するか」否かを確認する必要はあるか?

質問: 旅行申込書等に「あなたは、暴力団員、暴力団準構成員、暴力団関係者などの反社会勢力に該当しますか。」というような質問項目を設ける必要があるか。

【回答】

 暴力団員等のいわゆる「反社会的勢力」の排除のために事業者がとるべき具体的な措置は、各都道府県が定める条例に定められています。ここでは東京都の「東京都暴力団排除条例」を参考にこの問題を考えてみます。

 この条例では「事業者の契約時における措置」として、「事業者は、その行う事業にかかる契約を書面により締結する場合には、次に掲げる内容の特約を契約書その他の書面に定めるよう努力するものとする。」とし、契約書等に定める事項の一つとして、「当該事業に係る契約の相手方又は代理若しくは媒介をする者が暴力団関係者であることが判明した場合には、当該事業者は催告することなく当該事業に係る契約を解除することができること。」をあげています(第18条第2項)。

 そして、この特約の効果を確保するために、いわゆる「表明確約書」をとることを推奨しています(警視庁 東京都暴力団排除条例Q&Aより)。

 標準旅行業約款のいわゆる「暴排条項」(募集型企画旅行の部第7条第5号ないし第7号、同第17条1項9号、同第18条1項3号ほか)は、上記条例の規定に相当するものであり、「あなたは、暴力団員……」という質問項目(以下「表明確約項目」と呼びます。)は「表明確約書」に相当するものです。

 申込書に表明確約項目を設けた場合は契約締結後の契約解除が比較的容易になるという効果があります。

 例えば、宿泊施設から旅行者が「暴力団関係者だった」として宿泊を拒否された場合に、旅行者から「私は暴力団関係者ではない」との虚偽の表明がされていれば、旅行業約款の規定を根拠に旅行契約を解除する補強的な理由の一つとして使うことできます。

 他方で、申込書に表明確約項目を設けた場合には、当該「暴力団関係者」については、結果的に暴力団の活動を助長したり暴力団の運営に資することとなるような疑いのない取引であっても、一律に契約の締結を拒否することになるでしょう。

 以上のようなことを勘案して、法的な義務はないものの、それぞれの旅行業者の経営判断として、申込書等に表明確約項目をいれるかどうかを決めてください。

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