質問: 旅行者から出発の前日に取消の連絡があったが、「乗車券を捨ててしまった。」と言っている。前日取消の取消料は旅行代金の50%に設定しているが、切符の提出がなければ旅行者に払い戻さなくても良いのか。
【回答】
契約を解除した場合は、双方当事者は原状回復義務を負います(民法第545条)。
本問では、旅行者から取消の連絡があった時点で旅行契約は解除されますので、旅行業者は旅行代金を旅行者に払い戻し、旅行者は旅行業者から交付されたものを旅行業者に返却することになります。
この原状回復に際しては、一方の当事者は他方の当事者が債務を履行するまでは自己の債務の履行を拒むことができるとされていますので(民法第546条)、旅行者から乗車券の提出がない場合には旅行業者は乗車券部分の旅行代金を払い戻さなくてよいことになります(旅行代金の返金額から当該乗車券部分を控除した残金については精算が必要です。)。
乗車券等の券類を交付する旅行については、取引条件説明書面の「旅行解約の解除・払い戻し」について説明した項目に、例えば「お取り消しの際には、航空券、乗車券等当社が交付した券類がある場合には、その券類を旅行をお申し込みになった当社の営業所に提出してください。券類の提出がない場合には、その部分の旅行代金を払い戻せない場合があります。」と記載しておくことで、この種のトラブルを回避することができます。