質問: 国内旅行の場合は旅程管理をしなくても良いのか。その場合、最終日程表等に当社の連絡先を書く必要もないのか。
【回答】
企画旅行においては、「旅程管理業務を行う者が同行しない場合にあっては、旅行地における企画者との連絡方法」を契約書面に記載しなければなりません(契約規則第9条1号ニ)。
国内旅行の場合には、施行規則第32条で挙げられた4つの旅程管理のための措置のうち、「旅行に関する計画に定めるサービスの提供を受けるために必要な措置(同条2号)」と「代替サービスの手配等(同条3号)」については、契約の締結前に旅行者にこれらの措置を講じない旨を説明し、かつ、航空券、乗車船券、宿泊券などの「サービスの提供を受ける権利を表示した書面(=それを見せればサービスが受けられる書面)」を交付するときは、これらの措置を講じることを要しないとする旨の規定があります。
しかし上記2つの「措置を講じることを要しない」からといって、「連絡窓口を設けなくて構わない」というわけではありません。例えば、同じ旅行開始日の取消であっても、旅行開始前の解除と旅行開始後の解除・無連絡不参加とでは旅行者が支払う取消料の金額が異なる取引条件を設定している場合、その"節目"の前後において旅行者の意思表示を受けることができる窓口を設ける必要があるでしょう。
また、旅行者が取引をした営業所の営業時間前に出発する旅行について、旅行者がその営業所の営業時間前に取り消す際の連絡先を知らされていない場合には、その営業所の営業時間に入って旅行者からの取消し連絡を受けたときであっても、「無連絡不参加」としてではなく、旅行開始前の取消料しか収受できないこととなる可能性があります。添乗員、空港センディング係員がいるツアーではこのような問題は生じませんが、特に旅行業者の係員に一切接することのない形態の国内旅行については注意が必要です。
また、企画旅行については「旅行者は、旅行開始後において、契約書面に記載された旅行サービスを円滑に受領するため、万が一契約書面と異なる旅行サービスが提供されたと認識したときは、旅行地において速やかにその旨を当社、当社の手配代行者又は当該旅行サービス提供者に申し出なければなりません。」と標準約款に定めていることからも、この申し出を受けるための連絡先を設けておくことが望ましいでしょう(標準約款募集型企画旅行の部第30条3項・受注型企画旅行の部第31条3項)。
以上のように、企画旅行業者の連絡窓口を設け、これを契約書面等に記載することの意義は、旅程管理上の措置を講じるためということばかりではなく、取引上、企画旅行業者に連絡する必要性が生じた場合の連絡方法を確保することにもあります。