TOP7. 募集型企画旅行の広告NO.50 自社のパンフレットをスキャンしてウェブページに掲載するのは問題ないか?
最終更新日 : 2024/03/18

NO.50 自社のパンフレットをスキャンしてウェブページに掲載するのは問題ないか?

質問: 当社の募集型企画旅行のパンフレットをスキャナーでデータ化し、当社のウェブサイトに「ウェブパンフレット」として載せたいが問題はないか。

【回答】

 お問い合わせのような取扱いをする場合には、事前にパンフレットの作成を依頼した広告代理店等に相談、確認してください。必要な場合には、著作権者の利用許諾を得なければなりません。

 パンフレットには、多くの場合、写真、イラストなどが載っています。これらの写真、イラストは、写真家、イラストレーターの「著作物」です。また、パンフレットが著作物となる可能性があります。これら著作物を利用する場合は、著作権者に利用許諾を得なければなりません。この際、パンフレットの利用許諾地域、利用期間、利用態様などの利用方法及び条件が定められ、その範囲内においてのみ利用できることになります。

 通常、このような著作権者との手続(これを「権利処理」と呼びます。)は、広告代理店等がやってくれますので、依頼主の旅行業者がこのことを意識する機会は少ないと思います。それだけに、営業現場では、不用意にパンフレットの写真やイラストを切り貼りして他のパンフレットに使用したり、「抜粋版」を作成して使用しがちですが、これらのことが場合によっては著作権者の権利を侵害する行為となります。

 次に、ウェブサイト上にパンフレットを掲載し、これを公衆が閲覧できるようにすることは、著作権法上は「公衆送信」に該当し、著作物を印刷することとは違う概念の行為となります(著作権法第2条1項7号の2・第23条1項)。したがって、著作権者から予めウェブサイトで閲覧させることについても許諾を得ておく必要があります。

 このような権利処理を事前に行なわずに、本問のように、いきなりウェブサイトにアップロードした場合には、著作権法上の罰則規定に該当する行為となると同時に、著作権者から差止請求や損害賠償請求等を受ける場合があります。

 また、募集型企画旅行の受託旅行業者が委託業務に関して広告を実施する場合には、多くの場合、委託旅行業者(企画・実施旅行業者)の承認を必要とする旨が、募集型企画旅行取扱委託契約書(例)第12条に定められています。

 企画・実施旅行業者がこのような打診を受けた場合は、単に営業的な視点から承諾の可否を検討するのではなく、上述した著作権法上の視点からもその可否を検討する必要があります。

【募集型企画旅行取扱委託契約書 (例)】 ※抜粋※

第12条 乙が委託業務に関して広告(インターネットホームページ上で行なうものを含む。以下においてこれに同じ。)を行うときは、事前に甲に広告の内容について通知し、甲の承諾を得るものとする。