TOP16. 旅行者による契約の解除NO.123 市長から出された旅行自粛勧告で旅行を取り止める場合、旅行者に解除権は生じるのか?
最終更新日 : 2024/03/18

NO.123 市長から出された旅行自粛勧告で旅行を取り止める場合、旅行者に解除権は生じるのか?

質問: 新型インフルエンザ感染拡大の防止措置として、市長から旅行自粛の勧告が出された。これを受けて市内の小・中学校の修学旅行(受注型企画旅行)を取り止めるという場合に、旅行者は取消料を支払わずに契約を解除できるのか。

【回答】

 標準約款募集型(受注型)企画旅行の部第16条2項3号では、旅行者が旅行開始前に取消料を支払うことなく契約の解除ができる場合として、「天災地変・・・官公署の命令その他の事由が生じた場合において、旅行の安全かつ円滑な実施が不可能となり、又は不可能となるおそれが極めて大きいとき」と定めています。

 本問の「市長からの勧告」が、この「官公署の命令」に当たるかどうかについては、個別・具体的に判断する必要がありますが、仮に「官公署の命令」とまでは言えなくとも、「その他の事由」と判断する余地があると思われます。

 しかしここで重要なのは、後段の「旅行の安全かつ円滑な実施」が不可能なのかどうか、ということであり、前段の「天災地変・・・官公署の命令その他の事由が生じた場合」は、その前提条件でしかありません。

 したがって、市長による旅行者に対する自粛要請が官公署の命令に該当するか否かによらず、客観的に旅行の実施が危険であると見られない限り(後段の「旅行の安全かつ円滑な実施が不可能または不可能となるおそれが極めて大きい」に該当しないのであれば)、旅行者には本条項の取消料を支払わずに解除する権利は生じません。取消料の収受期間に入っていれば、旅行者から取消料を収受することは可能です。

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