質問: ひとりの人間が仲間内のグループ5名の募集型企画旅行を申し込んできた。このグループの旅行が取り消されたが、その内の別のひとりが「あれは○○が勝手に申し込んだことだ。」と言って取消料を支払おうとしない。取消料は取れるのか。
【回答】
旅行業約款の考え方では、旅行者が「その責任ある代表者を定めて申し込んだ」という実態があれば、取消料の収受は可能です。
標準約款募集型企画旅行の部第21条では、「当社は、同じ行程を同時に旅行する複数の旅行者がその責任ある代表者(以下「契約責任者」といいます。)を定めて申し込んだ募集型企画旅行契約の締結については、本章の規定を適用します」と規定し、同第22条1項では、「当社は、特約を結んだ場合を除き、契約責任者はその団体・グループを構成する旅行者(以下「構成者」といいます。)の募集型企画旅行契約の締結に関する一切の代理権を有しているものとみなし、当該団体・グループに係る旅行業務に関する取引は、当該契約責任者との間で行います」と規定しています。
すなわち、「その責任ある代表者を定めて申し込んだ」場合には、旅行業者は、その代表者は構成者の「契約の締結に関する一切の代理権を有しているもの」として取り扱えば良いことになりますので、後になって、「あれは○○が勝手に申し込んだことだ。」という弁解は許されないことになります。
なお、「その責任ある代表者を定めて申し込んだ」という実態を証明するには、旅行者(構成者)の全員から、契約責任者に契約締結を委任する旨の委任状がもらえれば一番確実です。
実務上、委任状の取得が困難であれば、あらかじめ旅行申込書の申込者欄に「契約責任者(代表者)」と明記しておき、「上記の者を契約責任者(代表者)として、契約を申込みます」という文言を挟んだ上で、同行者欄に旅行者(構成者)の全員の署名をしてもらうという簡便な方法でも代用できるでしょう。