TOP10. 募集型企画旅行契約の申込と成立NO.66 「キャンセル待ち」で申込金を預かっても良いか?
最終更新日 : 2024/03/18

NO.66 「キャンセル待ち」で申込金を預かっても良いか?

質問: 募集型企画旅行の申込を受けた際に「キャンセル待ち」等のいわゆる「ウェイティング扱い」として受けたうえで申込金を預かり、航空座席が確保できた時点や主要サービスが確保できた時点で自動的に旅行者との旅行契約を成立させることとしたい。また、旅行契約が成立したとする時点が取消料がかかる時期に入っていた場合には、当然に取消料がかかるものとして処理したい。このような取扱いは可能か。

【回答】

 標準旅行業約款では、募集型企画旅行契約の成立について、「当社が契約の締結を承諾し、第5条第1項の申込金を受理した時に成立するものとします。」(募集型企画旅行の部第8条1項)としています。この「承諾」は、旅行業者から旅行者に対して、契約の締結を承諾した旨を通知することを要しますので、航空座席等の確保により旅行業者が内部的に「了解」しただけでは「承諾」したことにはなりません。そして申込金は、本来、このような承諾があることを前提として収受するものです。

 したがって、本問のように契約の成立時期が曖昧になる取扱いは不適切です。

 いわゆる「キャンセル待ち」や「手配待ち」等のウェイティングの取扱いについては旅行業約款に規定されていないので、旅行者の申込を受けようとする場合は、特約として約款の趣旨に違反しない範囲で具体的な取扱いを旅行者と取り決めておく必要があります。

 方法としては次の二つが考えられます。

(1)予め申込金相当額を預かり、旅行契約が締結できるようになった時点で、旅行業者が旅行契約の締結を承諾した旨及び預かり金を申込金に充当した旨(=申込金を受理した旨)を旅行者に通知し、旅行契約を成立させる方法。

 この方法をとる場合には、旅行者から申込金相当額を預かる際に、「申込金として受理したものではない」旨及び「当社から旅行契約の締結を承諾したこと及び預かり金を申込金に充当したことを旅行者に通知すること(以下、「承諾通知」といいます。)をもって旅行契約を成立させる」旨を説明し、その旨を記載した取引条件説明書面を旅行者に交付してください。

 旅行業者が旅行者に承諾通知を行った時点が取消料のかかる期間に入っている場合には、それ以降の取消しについては取消料がかかることになります。

 しかし、旅行業者が承諾通知を行う前に、旅行者が申込の意思を撤回する旨の通知を旅行業者にしたときは、その時点では旅行契約が成立していないので、申込撤回の通知が何時の時点であっても旅行業者は取消料を収受することはできません。この方法を採用したケースでは、旅行業者からのいわば一方通行的な承諾通知で契約が成立してしまうため、予め旅行者に十分な説明をしておかないとトラブルになることが多いようです。

(2)予め申込金相当額を預かり、旅行契約が締結できるようになった時点で旅行業者から旅行契約を締結できる状態になった旨を旅行者に通知し、旅行者の承諾を得て預かり金を申込金に充当して旅行契約を締結させる方法。

 この方法をとる場合は、旅行者から申込金相当額を預かる際に「申込金として受理したものではない」旨及び「旅行契約が締結できるようになった時点で旅行者にその旨通知し、旅行者の承諾を得て申込金に充当する」旨を取引条件説明書面に記載して交付して下さい。

 この方法は、旅行者の承諾を得てから預かり金を申込金に充当することとしていますので、旅行業者から連絡した段階で旅行者が申込を撤回した場合は、どのような時期であっても取消料を収受できないというデメリットがあります。反面、契約が締結できるようになった時点で旅行者の承諾を得て契約を成立させますので、トラブルが起きにくいと言えます。

 なお、取引条件説明書面への詳しい記載方法についてはJATA・ANTAが発行する「旅行広告・取引条件説明書面ガイドライン」をご確認下さい。

関連する質問