質問: 2名1室で募集型企画旅行に申し込んだ旅行者のうち1名がキャンセルとなった。この場合当社は、キャンセルする者から取消料を徴収し、さらに残る者から一人部屋追加代金を徴収するが、お客様から「二重取りではないか?」と指摘を受けた。なお、パンフレットには、一人部屋追加代金を表示している。
【回答】
標準旅行業約款には、「運送・宿泊機関等の利用人員により旅行代金が異なる旨を契約書面に記載した場合において、旅行契約成立後に利用人数が変更となったときは旅行代金を変更することがある。」と規定されています(募集型企画旅行の部第14条5項・受注型企画旅行の部第14条5項)。
本問では、パンフレット(取引条件説明書面)には、「一人部屋追加代金」と表示してあり、この追加代金を加算した金額が「1名1室」の旅行代金であることが明確ですので、「旅行に参加する旅行者」から追加代金を収受することは可能です。また、実質的にも、「一人部屋追加代金」とは「一人部屋(シングルルームあるいはツインルームのシングルユース)として宿泊機関に支払うべき費用を賄うための金銭」と考えられます。
一方、旅行業者が「旅行の取消しをする旅行者」から収受する取消料は、当該旅行者による旅行契約の取消しによって生じる損害を填補するものですので、前述の「一人部屋追加代金」とは性格が異なり、「二重取り」との指摘には当たりません。
しかしながら、「1名1室の旅行代金」と「取消料」の合計額が当初の旅行代金の合計額を上回ることとなれば、当初の旅行代金のままで1名は無連絡不参加としたほうが安価であるという不都合が生じます。旅行者が“取消をしない”場合より、多くの金額を負担させるのは不合理ですので、当初の旅行代金を上回る分は減額して取消料を収受したほうがよいでしょう。