TOP15. 旅行業者による契約の解除NO.105 地震発生地のホテルが営業していることのみをもって旅行を実施して良いか?
最終更新日 : 2024/03/18

NO.105 地震発生地のホテルが営業していることのみをもって旅行を実施して良いか?

質問: ハワイ島で大きな地震があり、ホノルルでも停電が起きているがホテルは営業を継続中である。日本発の航空機も欠航はしていない。予定通り旅行サービスの提供は出来そうなので、ツアーを催行しても良いか。また、キャンセルを希望する旅行者からは取消料を収受しても良いか。

【回答】

 運送機関や宿泊機関が営業していることのみをもって、旅行地の安全が確保されたとはいえないと思われます。

 災害が起きた場合は、その災害地の復興のために、電気・ガス・水道等の公共設備の復旧、電話・インターネット等の通信手段、人の移動や物品の搬出入のための運送手段の確保が優先的に行われます。宿泊機関も被災し移動できなくなった宿泊客のため営業を継続せざるを得ず、また被災者や復興関係者のためにいち早く営業を再開する傾向にあります。このように、運送機関や宿泊機関は、自社の施設や設備の安全性が最低限確保されれば、公共の利益のために営業を行う社会的な使命があるといっていいでしょう。

 このことは、運送機関や宿泊機関は、個別に掲げた拒否事由に該当する場合でなければ運送や宿泊を拒否できないこと(国際運送約款第10条、国内旅客運送約款第16条、鉄道営業法第6条、旅館業法第5条等々)からも窺い知ることができます。このような運送・宿泊機関の特性を考えれば、空港の閉鎖が解けたこと、運送機関や宿泊機関が営業していることのみをもって、観光を目的とする旅行について、「安全かつ円滑な実施」が確保されたとは言えないでしょう。

 旅行が安全かつ円滑に実施できるかどうかについては、旅行業者が官公署の発表、報道内容、現地情報等から総合的に判断すべきと考えます。

 このようにして、旅行業者が総合的に判断し旅行を実施する場合であって、その判断が客観的に妥当なものであれば、旅行者が解除を申し出たときには取消料を徴収することができます。