質問: ホテルがオーバーブックを理由として、企画旅行業者の了解を得ずに直接旅行者に対し、「他のホテルへの変更を了承すれば客室をグレードアップしミールクーポンを提供する。」と、恒常的にもちかけている。もし旅行者がこの申し出を了承し、他のホテルに移った場合は変更補償金の支払対象となるか。航空会社では、オーバーブックの場合、現金を支払う等の条件を提示して後に出発する便に搭乗する希望者を募る制度(DBC=Denied Boarding Compensation:搭乗拒否補償)があるが、これと同じと考えてよいか。
【回答】
旅行者がホテルのオファーに対し、選択の余地があることを十分に認識していたことが明確であれば、これは旅行者本人が直接ホテルと取引したことであり、この場合は変更補償金の支払い対象とはなりません。
しかしながら、旅行者にとって本当に選択できるものなのか、事実上強制されたものではないのか、が明確でなく、後になって旅行者から「ホテルから変わってくれと言われて選択の余地がなかった。」と主張され、変更補償金の支払いを余儀なくされるケースも少なくないと思われます。
そこで、旅行業者としてはホテルに対して基本契約などで直接旅行者に、このように働きかけることを禁止しておくこともひとつの方法だと考えます。このような対策をせずに、漫然と恒常的にこのような取扱いをしているホテルを選定したのであれば旅行業者による選定責任を問われるおそれもあります。
なお、航空会社のDBCの場合は、航空会社がアナウンス等でボランティアを募ることから本人の意思で応募したことが明確ですので変更補償金の支払い対象にはなりません。