TOP19. 賠償責任NO.143 参加者が小学生のみのツアーで加害事故が起きた場合、旅行業者の責任は?
最終更新日 : 2024/03/18

NO.143 参加者が小学生のみのツアーで加害事故が起きた場合、旅行業者の責任は?

質問: 小学生を対象とした募集型企画旅行を実施したところ、子どもの間で暴力事件が起き、加害者の親から被害者に賠償が行われた。その後、加害者の親から、「旅行業者が子どもをきちんと見ていたら、こんな事件は起きなかったはずだ。被害者に支払った賠償金を旅行業者が支払え。」といってきた。どのように考えたらいいか。

【回答】

 子どもだけを対象に旅行を募集したときは、親(親権者)が行なうべき子どもの監護(民法第820条)を、旅行中は旅行業者が親に代わって行う信義則上の義務があると思われます。

 責任無能力者である子どもが旅行中に第三者に損害を与えたときは、被害者は、加害者の親ばかりでなく、被害者に対する安全配慮義務違反等を理由に旅行業者に対しても損害賠償を請求することが考えられます。

 本問のように、被害者が加害者の親のみに損害賠償請求をした場合に、加害者の親が、「旅行業者が監督責任を怠った」として「被害者に対して損害賠償したことによって生じた損害」の賠償を旅行業者に対して求められるか否かはケースバイケースになりますので、できるだけ早く弁護士に相談するなどして事実に即した判断をしてもらう必要があります。

 子どもだけを対象にした旅行は単に旅行を円滑に実施するという旅行契約上の責務だけでなく、子どもの監護(監督・保護)といった民法上の責任も意識して企画し、実施体制を整える必要があります。