昨日と同じ景色を見たければ、その場所で立ち止まればいい。昨日とは違う景色を見たいから、私たちは旅を続けるのだ。旅が出来ない今、ホテルをPRする事にどんな意味があるのだろう。人は時折、日常から飛び出したい衝動に駆られる。時には不安や悩み、焦燥や苛立ちを感じ、自分の存在を不甲斐なく、小さなものに感じる。そんな時、私たちは旅に出るのだ。自分の知らない街の中で、知らない人や文化に触れ、常識を覆され衝撃を受ける。世界の広さや地球の大きさを思い出し、自分の悩みのちっぽけさと、未知の可能性に気付く。私たちは今、この場所に縛り付けられているのだろうか?答えはノー。例えフィジカルに旅が出来なくても、私たちの想像力は自由だ。飛行機に乗る事もなく、バリのビーチで肌を焼いたり、バルセロナの市場でパエリアを頬張ったり、マンハッタンの夜景を上空から楽しんだり出来る。何人にも、この自由を奪い取ることは出来ない。現実逃避、上等!時に人は、エスケープが必要なのだ。つらい現実や不安や恐怖から目を背けて、束の間逃れられる場所が。非日常の空間が。それはある意味、ファンタジーとも呼べる。昨日までと同じ方法ではもう上手くいかない事は、とっくに分かっている。いっその事、これまでの手法や常識を忘れてしまうのはどうか。もっと自由に、もっと楽しんで、今まで見たことのないスタイルで発信してみる。JAZZのセッションのように、ワインと食事のマリアージュのように、その一瞬一瞬の、化学反応を楽しむ。PRに15番目の使命があるのなら、ホテルのPRは今こそ街の灯台になろう。人々が現実から脱出し束の間の夢を見る事が出来る、非日常への旅先案内人になろう。今こそ、スーツケースいっぱいに詰まった文字と情熱をぶちまけよう。同じ窓から、昨日とは違う景色を見るために。