安全かつ有効なSNナビゲーション手術の実施には、正確なSNの同定と、病理診断(ないしは分子生物学的診断)、そして診断結果の正しい解釈が必要です。上記が担保されないと、不適切なリンパ節郭清の省略や、過剰なリンパ節生検にもつながり、患者にとって不利益となる可能性があります。各施設において婦人科悪性腫瘍のSNナビゲーション手術を開始するにあたって、病理診断の担当者もその方法と意義を理解しておく必要があります。手技上の問題でセンチネルリンパ節が同定されないこともあり、いきなりSNナビゲーション手術を開始するのではなく、まずSNマッピングを若干例行ったのちに、SNナビゲーション手術に移行する方が望ましいと考えます。
また、指針にも記載していますが、日本産科婦人科学会婦人科腫瘍登録に症例登録を行うとともに、日本婦人科腫瘍学会婦人科悪性腫瘍総合入力システム(JESGO)を用いて、SN生検関連項目を入力しておくことが望ましいです。
なお、SN生検関連項目は以下の通りです。術者、助手、トレーサー種類、トレーサー投与方法(部位、用量、時間)、同定リンパ節(部位、トレーサー種類)、生検リンパ節(部位)、迅速・永久病理診断結果(転移の有無、ITC、micro転移、macro転移の別)、手術内容(郭清省略の有無、系統的郭清範囲)などです。JESGOに入力項目として今後搭載予定となっています。JESGOに登録された項目は、2025年度以降に日本婦人科腫瘍学会主導の後方視的臨床研究として収集解析を行う予定であり、その際には各施設から一括登録できるようなフォーマットを開発予定です。