SLN生検では、リンパ節を長軸に垂直の方向に2mm間隔で分割し(図1)、その割面を標本化することで転移の有無を判定します。必要に応じて各割面から連続切片を作製して免疫染色(サイトケラチン)を併用するウルトラステージングを行うことで、通常のHE染色では見逃される微小転移を高感度に検出できます。
検出された転移は、割面における最大径により孤立腫瘍細胞(ITC:0.2mm以下)、微小転移(0.2mm超〜2.0mm以下)、マクロ転移(2.0mm超)に分類されます。(図2)
ただし、この大きさによる分類は、あくまで「実際に切り出して観察した割面に現れた腫瘍巣のみ」を評価している点において本質的な限界があります。例えば図2に示すように、ITCと微小転移は2mm間隔の分割では検出されない場合があり得るなど、検出感度はリンパ節の分割間隔・分割面と転移巣の位置関係に依存します1)。また、長軸方向で 2 mmを超えているにもかかわらず、分割方向との関係によっては2 mm未満となる転移巣は過小評価される場合があります(図3)。ウルトラステージングにおいても、観察する割面が腫瘍巣を通らなければ転移なし、腫瘍巣の端を通ればITC、中心付近を通れば微小転移と判定される点に注意が必要です(図4)。すなわちある割面でITCと判定されても、より大きな微小転移やマクロ転移の部分像である可能性があります。
また、厳密に2 mm幅で分割することが現実的には必ずしも容易ではなく、組織が変形する場合があることや、周囲の脂肪織を除去したり、分割する際にリンパ節の被膜が破断して転移巣が存在することが多い辺縁洞の観察が困難となったりする場合もあります。特に迅速診断時にホルマリン固定をしていない状態のリンパ節の検体処理は組織の変形が著しいことを理解しておく必要があります。
加えて、ウルトラステージングの手法(連続切片を作製する面の位置や間隔、免疫染色併用の有無や方法など)には国際的に標準化されたプロトコールが存在しないため、施設間で検出感度や分類の再現性にばらつきが生じ得る点にも留意が必要です。
したがって、SLNにおけるITCと微小転移およびマクロ転移の区別、特にITCと微小転移の境界は、使用する病理検索プロトコールに左右され、「ITC」や「微小転移」という判定が常に最終的・確定的なものではないことを理解しておくことが重要です。診断の解釈や追加検索の要否を検討する際には、この限界を念頭に置く必要があります。
1) Lang-Averous G, et al. Sentinel lymph node processing in gynecological cancer histopathology and molecular biology. Chin Clin Oncol. 2021;10(2):17.