1981年(昭和56年6月施行)の建築基準法の改正により、新耐震基準は「震度5強程度の中規模地震では軽微な損傷、震度6強から7に達する程度の大規模地震でも倒壊は免れる」という2023年の現在でも有効な基準にアップデートされました。
したがって、新耐震であればより安心なのは間違いありません。
一方で東北大震災における宮城県内の建物被災状況を見ると新耐震物件は被害なし・軽微な損傷・小破・中破・大破の順に51.1%・37%・10.9%・1.0%・0%となっています。同様に旧耐震では47.7%・33.0%・17.6%・1.3%・0.4%となっています(※1 ちなみに大破は1棟)。この結果をどう読むか、ここで解釈は避けたいと思いますが、一部のメディアが展開する旧耐震=即倒壊のような事実はどうやらないと言えそうです。
一方で、東北大震災ではもちろん津波もありましたし、倒壊せずとも埋立地が液状化して多くの建物に被害をもたらしました。また、建物の形状や高さによって被害の度合いは大きくことなります。建物それ自体の耐震性能は非常に重要ですが、それ以外のリスクにも十分注意すべきであることは間違いないでしょう。
冒頭の質問の答えとしては「旧耐震=即座に危険」というわけではないですし、住み替えの容易な賃貸住宅だからこそ、レトロでエモい旧耐震物件に住むという判断もあってよいように個人的には思う、というところで締めさせていただきます。
(※1東京カンテイ 宮城県内の分譲マンション全1,460棟の被災度調査結果 より)