「は」と「が」の使い分け
シンプルな説明では、「は」は、「は」の後ろに言いたいことがあり、「が」は、「が」の前に言いたいことがある、です。
例えば、
1,「さるがバナナを食べます。」
2、「さるはバナナをたべます。」
英語では同じ訳(A monkey eats a banana.)になります。しかし、日本語では、言いたいことが違います。
1番目の文で特に言いたいことは、サルです。
2番目の文で特に言いたいことは、バナナです。
もっと細かく分類すると、助詞の「は」と「が」を使い分ける方法の説明として五つに分類してまとめています。
(1)新情報か旧情報かによって使い分ける方法。
会話の中や文脈で、主格となる名詞が未知(=新情報)の場合は「が」を使って表し、既知(=旧情報)の場合は「は」を使って表すという基準です。
・鈴木さんは校長です。(「鈴木さん」のことは「既知」なので、「 は」を付けて表す)
・鈴木さんが校長です。( 校長が誰であるのか、「未知」なので、「鈴木さん」に「が」を付けて表す)
(2)現象文か判断文かによって使い分ける方法。
現象をありのままに、話し手の主観的な判断を加えずにそのまま表現する文を「現象文」と呼び、現象文の主格には「が」が付きます。
これに対して、現象に対して話し手が主観的な判断を加えて表現する文を「判断文」と呼び、判断文の主格には「は」が付きます。
・(目の前の犬を見て)犬が寝そべっている。(現象文)
・( 他の人に間違えて持って行かれそうになった傘を指して)それは私の傘です。(判断文)
(3)主格がどこまで係る(=つながる)のか、文末まで係るのか、節の中だけにしか係らないのかによって使い分ける方法です。
主格が文末まで係るときは「は」を用いて、節の中だけにしか係らないときは「が」を用いるということを基準にして使い分ける方法です。
・父が晩酌をするとき、つきあう。
・父は晩酌をするとき、冷や奴を食べる。
(4)主格が対比の意味を表すか、排他の意味を表すかで使い分ける方法。
主格が、その文の中には出てこない同じ種類の名詞に対して、「比べて言うと、〜である」という対比の意味を持つときは「は」が用いられます。(対比の「は」)
「それだけが〜である」という排他の意味を持つときは「が」が用いられます(排他の「が」/総記の「が」)。
・犬は好きだが、猫は嫌いだ。(対比の意味を表す)
・ 私が責任者だ。(ここにいる者の中では、他の者ではなくて、私だけが責任者であるという排他の意味を表す)
(5)指定文か措定文かで使い分ける方法。
「貴乃花は横綱だ」のように述語が主格名詞の性質を表し、「横綱が貴乃花だ」とは言い換えられない文を「措定文」といい、措定文のなかでは「は」が用いられます。
これに対して、「鈴木さんはあの人だ」のように述語の名詞が主格名詞と同じものであることを示し、「あの人が鈴木さんだ」のように言い換えられる文を「指定文」または、「同定文」といい、この種の文のなかでは「は」も「が」も用いることができます。
・地球は、太陽系の惑星だ。(措定文)
・あの人の趣味は、勉強だ。(指定文)
はとがの違いは生徒から定期的に聞かれますが毎回困ります。上手な教え方のある方は是非教えてください。