山下PMCは、施設建築、事業創造を支援するPM(プロジェクトマネジメント)/CM(コンストラクションマネジメント)の専業会社です。施設の企画・計画から発注、設計・施工、運営管理まで、サービスを手から手に直接届け、お客さまの施設建築、事業創造を支援します。
同社で、社内業務システムの開発やサポートデスク、新規事業のカスタマーサポートを担当する経営戦略本部BPM・IT部の稲葉美香氏は、「社内外からの問い合わせ対応」に課題を抱えていました。会社の規模拡大とともに問い合わせ件数が増え、対応業務の負担が日に日に大きくなっていたからです。
「利便性の高いFAQサイトを構築し、サポート業務の効率化や会社全体のナレッジマネジメントを進めたいと考えました」と稲葉氏は語ります。今回はTayori導入の背景や検討時の選定ポイント、社内FAQの作成方法などを伺いました。
【目次】
「同じことを何度も聞かれる」社内FAQによる効率化が急務に
——御社の事業内容と、稲葉さんの担当業務について教えてください。
当社は施設建築、事業創造を支援するPM/CMを生業としている会社です。事業主、設計者、施工者、運営者など、数多くのステークホルダーと連携し、施設の企画・計画から発注、設計・施工、運営管理まで、一貫したマネジメントサービスを提供しています。また、別事業として、施設運営の情報を一元管理できる「b-platform」というクラウドサービスも提供しています。
私は社内業務システムの開発やサポートデスク、新規事業である「b-platform」のカスタマーサポートを担当しています。Tayoriは当初、b-platformのお客様向けFAQを作成する目的で導入を検討しましたが、機能の汎用性が高かったので社内FAQの作成でも使い始めました。

建物経営と運営の効率化を実現するクラウド型プラットフォーム「b-platform」。
——Tayori導入のきっかけとなった「課題」を教えてください。
社内向けのサポートデスク、社外向けのカスタマーサポートともに、「問い合わせ対応の多さ」に課題を抱えていました。
特にサポートデスクが多忙になった背景には、社員数の増加があります。ほぼ毎月新たな社員が入社するため、それに応じて問い合わせも増えていきました。同じことを何度も聞かれることが多く、対応業務の負担が日に日に大きくなりました。私は複数の業務を掛け持ちしているので、サポート業務を効率化しないと仕事が回らなくなるという必要性に迫られ、とりわけ社内FAQのニーズが高まりました。
ただ、ここで壁になったのが社内FAQの作成手段です。社内業務システムとしてグループウェア(※1)を導入しているのですが、このグループウェアではどうしても情報をわかりやすく届けるのが難しかったです。社内FAQを折角作るのであればちゃんと読まれるものにしたかったので、FAQを作れる良いツールがないか探し始めました。
※1…組織内の情報共有、業務連携、コミュニケーションなどの円滑化を目的としたシステム。
——Tayoriを選んだ「決め手」はなんですか?
完全に主観ですが、私自身が一番使いやすいと感じたのがTayoriの決め手です。Tayori含め、いくつかのFAQ作成ツールを無料デモなどで触り、Tayoriが一番使いやすいと感じました。
テキスト、画像、表などの各要素を直感的にドラッグ&ドロップするだけでページを組めて、FAQをサクサク作れました。問い合わせ対応の多さであまり余裕がない状態だったので、作成・管理を簡単に行えるのはとても良かったです。これなら、一人でも無理なく運用できると感じました。
その後、Tayori導入の上長決裁もスムーズに進みました。社内各所から、欲しい情報がどこに載っているかわかりづらい、探しづらいという声が寄せられており、全社的に社内FAQのニーズが高まっていたからです。有料プランの料金も安かったので、早速Tayoriを使い始めました。

TayoriのFAQ編集画面。直感的な操作で簡単にFAQを作成できる。
イチからつくるFAQサイト、重要なのは“優先順位”の付け方
——FAQサイトの構築はどのように進めましたか?
社内FAQ、b-platformのお客様向けFAQの両サイトを同時並行で作り始めました。当時、b-platformは立ち上げて間もないサービスだったので、コンテンツは最小限に絞り、初期設定や基本操作の解説だけを作りました。一方で、社内FAQはコンテンツの対象となる事柄が広範囲にわたり、最初なにから作ればいいか悩みました。
そこで役立ったのが、これまでの「問い合わせ履歴」です。以前から、所定のアプリに問い合わせ内容を記録するルールは設けており、さまざまな問い合わせがデータとして蓄積されていました。そこで、まずは問い合わせ履歴の分析を行い、「何度も聞かれる同じ質問(よくある質問)」を抽出しました。そして、チームメンバーにもヒアリングをし、定量・定性の両面で優先的に作るFAQをリストアップしました。
よくある質問は、例えば「Wi-Fiのパスワードを忘れた」「アプリにログインできなくなった」など、大抵の場合、対処フローが明確に決まっています。なので、優先順位さえ決まればFAQの作成自体にあまり時間はかかりませんでした。
また、Tayori公式のヘルプサイト(Tayoriヘルプセンター)もサイト構築の参考として役立ちました。Tayoriのいちユーザー目線から見て、情報が探しやすく、求めていた答えをすぐ見つけられました。「うちの社内FAQもこういう風に作りたい」と具体的なイメージが湧きましたね。
社内FAQの作成は定常業務と並行しながらこつこつ進め、約2ヶ月ほどかけてリリースできました。社内にリリースのお知らせをする際、なにか不明点があればまず社内FAQで探すこと、それでも解決しなければサポートデスクまで問い合わせをするよう伝えました。リリース当初はなかなか見てもらえませんでしたが、問い合わせが来るたびに「社内FAQのここに載せてます」と伝えることで、徐々に利用が浸透していきました。

Tayoriで作成された山下PMCの社内FAQ。
——FAQサイトへの導線はどのように設計していますか?
b-platformのお客様向けFAQの場合は、基本操作に関する問い合わせが多かったので、サービス画面内の各所にリンクを設置しました。そこから該当する操作のFAQページに遷移でき、操作に迷ってもすぐ答えを得られるようにしています。もし問題が解決しなくても、Tayoriで作成したフォームへのリンクも設置しているので、問い合わせまでスムーズに行えます。
社内FAQの場合は、グループウェア内にあるスケジュール管理アプリのトップ画面にリンクを設置しました。社員は毎日この画面を必ず開くので、導線を覚えてもらえるよう目立たせています。

Tayoriで作成された「b-platform」のお問い合わせフォーム。
社内問い合わせ数90%減! AIチャットボットも組み合わせて効果最大化
——Tayoriの具体的な「成果」を教えてください。
社内FAQにフォーカスすると、社内問い合わせの件数が大幅に減りました。時間の余裕ができたことで、それまでストップしていた施策にも着手できるようになり、仕事に集中しやすい環境を整えられたと感じています。
特に顕著だったのが、月末月初の申請に関する問い合わせです。経費精算などの申請をどのように行えばいいか迷う社員が多かったので、社内FAQに詳細をまとめたところ、問い合わせがガクッと減りました。以前は月末月初になると何十件もの問い合わせが集中しましたが、Tayori導入後は数件ほどになりました。
また、客先やリモートワークなど、遠隔での対応に悪戦苦闘することも多かったですが、そうしたケースも減りました。遠隔の場合、急遽の問い合わせに1時間近く時間を割くこともあったので、業務負担の軽減を実感しています。
社内FAQのリリース後、各所から「画面がシンプルで探しやすい」「欲しい情報がすぐ見つかるようになった」と好評の声をいただきました。社内情報へのアクセスのしづらさに不満を抱く社員は多かったので、たくさんの社員の業務効率化に貢献できたのは嬉しかったです。
——Tayoriの「AIチャットボット」も活用されているそうですね。
そうですね、社内FAQの検索補助として、グループウェア内にAIチャットボットを設置しています。試験的な設置でしたが、まずはチャットボットに聞いてみようという気持ちが生まれるのか、思いのほか利用する社員が多かったです。
当初はやはり正答率が低く苦戦していましたが、FAQの改善を続けることで正答率が上がっていきました。Tayoriの管理画面からテキストマイニング(※2)の結果を見ることができ、実際どんな質問がされているかを確認できます。そして、質問時に頻出している単語などを回答の元となるFAQに加筆することで、チャットボットの回答精度も上がりました。
質問されればされるほど、FAQとチャットボットをまとめて改善できるので、効率的なフィードバックループを実現できていると感じています。
※2…大量のテキストデータ(非構造化データ)を解析し、有益なパターン(構造化データ)を抽出する分析手法。

グループウェア内に設置しているTayoriのAIチャットボット。
——最後に、社内FAQを作成・改善したいヘルプデスク担当者に向けて、メッセージをお願いします。
Tayoriを活用することで、「作って終わらせない」という改善意識がいかに重要かを再認識できました。
お客様向けのサービスであれば日頃の改善は当たり前ですが、社内向けとなると、一度作ったらそのままバージョンアップされないことがよくあります。しかし、改善によって利便性が高まるというのは、社外向けも社内向けも同じです。社内向けといえど、得られる効果が大きければ放置してはいけないですよね。
そして、改善にまず必要なのは、現状の可視化です。例えば、TayoriのAIチャットボットなら、実際どんな質問がされているか、どんな困りごと(ニーズ)が潜んでいるかを分析できます。分析から更新までスムーズに行えるという点で、Tayoriは継続的な改善に適したツールです。
Tayoriをまだ使っていなければ、ぜひ一度使ってみてほしいです。無料で始められるので、自社に合う合わないを触って判断してみてください。お世辞抜きで、すぐに便利さを実感できると思いますよ。
株式会社山下PMC
BPM・IT部/プラットフォームビジネス本部 b-platform 主任
稲葉 美香氏(いなば みか)
社内システムのライセンス管理、サービスデスク対応、PCキッティング、kintoneアプリ作成・改修、Garoonポータルデザインの構築を担当。ITリテラシー向上のためのマニュアル作成を行い、ヘルプデスク業務の負担を軽減。自社開発システムのプロジェクトにも参画し、システムのバージョンアップやHPリニューアル、製品パンフレット改定に貢献。