
2026年10月、改正労働施策総合推進法の施行によって、全ての企業にカスタマーハラスメント(カスハラ)対策が義務化されます。
研修比較サイト「KeySession」を運営する株式会社東邦メディアプランニングが2026年8月5日に配信したプレスリリースによると、顧客対応を担う就業者300名のうち、対応マニュアルが「整備されていない」または「整備状況が分からない」と回答した人は59.3%にのぼり、約6割の職場でカスハラ対応マニュアルが実質的に機能していない状態にあることが分かりました。
マニュアルの「有無」と「浸透」は別問題
調査では、マニュアルが「整備されており、内容も理解している」と回答したのはわずか19.0%にとどまりました。
一方、「整備されているが内容はあまり理解していない」人は21.7%となり、「未整備」や「整備状況が分からない」と回答した層も合わせると、マニュアルの内容を理解できていない人は全体で81.0%に達しています。
マニュアルは作成した時点で対応が済んだと捉えられがちですが、現場に「浸透」させる段階まで踏み込まなければ、実質的に機能しないという実態が浮かび上がります。
「理解度」が組織への信頼を左右する
特に注目したいのは、マニュアルの理解度と、カスハラ発生時に組織が対応してくれるという信頼感の関連です。
マニュアルの内容を理解している層では、即時介入への期待が45.6%に達した一方、マニュアルが「整備されていない」層では8.0%、「整備されているが理解していない」層では4.6%にとどまりました。
さらに、「整備されているが内容はあまり理解していない」層の不信感(27.7%)は、「理解している」層(8.8%)の3倍以上に達しています。
マニュアルを形だけ整備しても、内容が伝わっていなければ、かえって「対応してくれない組織」という印象を強めてしまう可能性がありそうです。
被害の深刻度に応じて、求められる支援は変わる
調査では、直近1年で約4人に1人(28.0%)がカスハラ被害を経験し、経験者の88.1%が仕事やキャリアに何らかの影響を受けたと回答しています。
「体調やメンタルに影響が出た」人は38.1%にのぼり、こうした深刻な被害を受けた層ほど、自分自身の対応スキルよりも「管理職向け研修」など組織側の対応力強化を求める傾向が見られました。
全体では26.3%だった管理職向け研修の希望率は、被害経験者では44.0%、体調・メンタルに影響が出た層では56.2%まで上昇しています。現場任せの対応力向上ではなく、組織としてどう支えるかが問われているといえそうです。
「整備した」で終わらせない仕組みづくりへ
2026年10月の義務化を前に、多くの企業が相談窓口の設置やマニュアルの整備といった「制度」を形式的に整えつつある段階にあると見られます。
しかし今回の調査が示すのは、制度を整えるだけでは現場の安心にはつながらないという現実です。
管理職・現場双方への研修を通じてマニュアルの内容を浸透させること、管理職が介入基準を理解し早期に対応できる体制を築くこと、そして対応を現場任せにしない組織的なバックアップ体制を整えること。
この3点が、義務化をきっかけに「やっている」対策から「機能している」対策へ移行できるかどうかの分かれ目になりそうです。
出典:【2026年】カスハラ被害と対策状況を300名に調査!6割の職場で「未整備・不明」な実態が判明
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