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カスタマーハラスメント対応策:企業が取るべき具体的なステップ

従業員に対して顧客が不当な要求や迷惑行為を行うことを、「カスタマーハラスメント(以下、カスハラ)」といいます。カスハラは従業員のストレスを増大させるうえに、企業の業績やブランドイメージにも悪影響を及ぼします。カスハラから従業員や企業ブランドを守るためには、どのような対策を取れば良いのでしょうか?本記事では、カスハラの現状や影響、対応策について解説します。

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カスハラの現状と影響

近年行われた調査では、「カスハラの相談件数は増加傾向にある」とされています。カスハラの主な内容は、執拗かつ威圧的な言動、不当な要求、脅迫行為などです。カスハラの被害に遭った従業員には、メンタルに不調を抱える、仕事に対するモチベーション低下などの影響が見られます。ここでは、カスハラの現状と影響について詳しく説明します。

現在のカスハラの現状

令和2年10月、厚生労働省は全国の企業・団体および全国の企業・団体に勤務する男女労働者を対象に「職場のハラスメントに関する実態調査※1」を実施しました。また、2024年7月には帝国データバンクが国内の企業を対象に「カスタマーハラスメントに関する企業の意識調査※2」を実施しています。ここでは、各調査のデータをもとにカスハラの現状を見ていきます。

※1 カスタマーハラスメント対策企業マニュアル|厚生労働省

※2 カスタマーハラスメントに関する企業の意識調査|帝国データバンク

厚生労働省が実施した企業・団体調査によると、企業におけるカスハラの相談件数は「パワハラ(48.2%)」「セクハラ(29.8%)」に次ぐ19.5%です。過去3年間の相談件数の推移では、カスハラのみ「件数が増加している(3.8%)」が「減少している(2.2%)」を上回っています。カスハラに該当する事案が見られた企業の割合は92.7%と最も高く、相談件数の推移と同様に「増加している(19.4%)」が「減少している(12.1%)」を上回る結果となりました。

また、労働者調査では「過去3年間に勤務先でカスハラを経験した者の割合」は15.0%です。「パワハラ(31.3%)」よりは低いものの、「セクハラ(10.2%)」よりは高い結果となっています。カスハラ行為の内容としては「長時間の拘束や同じ内容を繰り返すクレーム(52.0%)」が最も多く、次に「名誉棄損・侮辱・ひどい暴言(46.9%)」があります。

帝国データバンクの調査結果によると、直近1年以内にカスハラを受けた企業は15.7%です。企業規模の内訳は、大企業が21.0%、中小企業が14.8%、小規模企業が14.4%でした。業界別では、「小売(34.1%)」「金融(30.1%)」「不動産(23.8%)」「サービス(20.2%)」など個人を取引の対象とする企業が比較的高い割合を示しました。対して、「製造(7.8%)」「運輸・倉庫(12.9%)」「卸売(13.1%)」など企業間の取引が多い企業では全体平均を下回っています。また、カスハラを受けたことがない企業は65.4%で、大企業が49.7%、中小企業が68.3%、小規模企業が71.6%となりました。

カスハラが企業に与える影響

カスハラは企業に多大な影響を与えます。カスハラを受けた従業員には、不安やストレスによるパフォーマンスの低下が見られることもあります。長期間にわたるストレスは、うつ病などの精神障害を引き起こすリスクもあるでしょう。カスハラ対応に時間を割かれると通常業務にも支障をきたし、チーム全体の業務効率が低下します。カスハラ対応をしていない従業員に負担がかかり、場合によっては時間外労働の増加にも繋がるでしょう。カスハラが原因で、従業員が退職するケースも見られます。貴重な人材を手放さざるを得なくなるのは、企業にとっては大きなデメリットです。

 

カスハラ対応の基本方針

従業員が安心・安全に働ける環境を確保するためにも、企業としてカスハラ対応に対する基本方針を明確にしておきましょう。ここでは、基本方針を策定する際の手順と考え方について解説します。

基本方針の策定

カスハラ対応の基本方針を策定するための手順を下記にまとめました。

1、カスハラへの姿勢を明確化する

企業として、どのような姿勢でカスハラへ対応するかを明確にしましょう。「カスハラに該当する行為を行った顧客には必要に応じて、商品・サービスの提供や対応を断る」「悪質な場合や犯罪行為と判断した場合は警察や弁護士など外部専門家と連携する」などカスハラに対する姿勢を明確にしておくことで、従業員もいざというときの判断がしやすくなります。

2、対応フローの制定

カスハラ行為への具体的な対応フローを策定します。対応フローを策定することで、カスハラに対して迅速な対応が可能となります。相談窓口や法務部門との連携など従業員がカスハラを受けた際の対応フローも策定しておきましょう。

3、従業員と顧客への周知

基本方針を策定したら、従業員はもちろん顧客にも周知しましょう。従業員に対しては、定期的にカスハラ対応に関する研修を行うのも有効です。顧客向けにはホームページといったツールでカスハラに対する基本方針を発信し、理解と協力を求めると良いでしょう。

法的対応の基本

カスハラから従業員を守るためには、法的対応も有効です。近年は「旅館業法改正※3」「車内におけるタクシーとバス運転手の氏名掲示義務の廃止※4」など、カスハラに対する法整備も進んでいます。

※3 令和5年12月13日から 旅館業法が変わります!|厚生労働省

※4 バス、タクシーなどの車内における乗務員等の氏名表示がなくなります!|国土交通省

上記以外のケースで法的対応をする際には、下記のポイントを押さえておきましょう。

1、証拠の記録

カスハラに該当する行為が見られたら、メモを取る、記録を残すなどして証拠を残しましょう。防犯カメラの映像なども有効です。法的措置を取る際に必要な資料となります。

2、法的措置の検討

カスハラ行為が悪質な場合は、法的措置を執ることも可能です。暴行や脅迫など犯罪行為に該当する場合は、刑法に基づいて対応してください。カスハラによって生じた損害については、民事訴訟により損害賠償を請求できます。

3、外部機関との連携

カスハラに対して法的措置を執る前に、弁護士や警察に相談して迅速に対応できる準備を整えておきましょう。

 

効果的なカスハラ対応策

カスハラへの効果的な対応策には、サポート体制の整備やマニュアル作成、研修の実施などが挙げられます。下記で詳しく説明します。

メンタルヘルスサポート

カスハラによるストレスから従業員の心身を守るには、メンタルヘルスサポートが重要です。目的としては、心理的負担の軽減や健全な職場環境の維持が挙げられます。サポートの手段とには、ストレス調査の実施や産業カウンセラーの導入、メンタルヘルス研修の実施、医療機関への受診推奨などがあります。カスハラから従業員の心を守り、安心して働けるように支援しましょう。

対応マニュアルの作成

カスハラに対して適切に対処するために、対応マニュアルを作成するのも有効です。全従業員がマニュアルに沿ってカスハラへ対応することで、一貫性が保たれます。マニュアルを作成するためには、基本方針の策定や具体的な対応手順を明確化が必要です。Tayoriのようなフォーム機能を活用して、社内で過去のカスハラ事例を収集・分析して対応マニュアルに活かすのも手です。

トレーニングと教育

カスハラに毅然と対応できるように、従業員へトレーニングと教育を行うのも良いでしょう。従業員がカスハラへ適切に対応できるようにすることで、健全な職場環境の維持が可能となります。研修でカスハラの理解を深める、ロールプレイングを実施するなどして、従業員のカスハラに対する対応力を高めましょう。

 

効果的なカスハラ対応実践策

2024年1月、Tayoriはカスタマーサポート調査※5を実施。カスハラへの企業の取り組みについても調査が行われました。調査結果から分かるのは、カスハラにおける企業の取り組みとして「従業員へのトレーニング」「事例の報告と記録」「エスカレーションによる迅速な対応」など事後対応が上位を占める傾向にあることです。割合としては少ないものの、「ハラスメント傾向のデータ分析」「再発防止策」など未然に防ぐための活動も行われています。下記にまとめたカスハラ対応に効果的な実践策も参考にしてください。

※5 生成AIのCS活用は二極化 最新カスタマーサポート調査をTayoriが公開|株式会社PR TIMES

迅速かつ適切な対応

カスハラに迅速かつ適切に対応することは、問題の拡大を防ぐために重要です。再発リスク防止にも繋がり、企業の信頼性や評判が向上すると考えられます。従業員が感じるストレスや不安を早期に軽減できるでしょう。手段としては、スムーズな初期対応やカスハラ対応におけるマニュアル作成、エスカレーション手順の明確化、フォローアップ体制の整備が挙げられます。

外部機関・ツールの活用

外部機関やツールを活用するのも手です。弁護士や警察など専門家の助言を受けることで、迅速かつ適切な対応が可能となります。従業員に向けて、カウンセラーのサポートを受けるのもおすすめです。専門機関による外部研修を実施すれば、従業員のカスハラ対応力の向上も見込めます。Tayoriのようなツールを導入してフォームやFAQ、チャットボットを活用するのも効果的です。カスハラ事例の共有や迅速なエスカレーション、チーム全体によるフォローなどカスハラ対策に役立つ場面は多くあります。

事例から学ぶ

他社のカスハラ事例を知ることも有益です。実際に起きた事例を通じて、どのような対応が効果的かを学べます。事例を分析すれば、カスハラの発生を未然に防ぐための策を講じることも可能です。また、過去のカスハラに関する裁判事例を調べることで、法的措置を必要とするケースが分かります。

具体的な成功事例を紹介します。

2022年、フリー株式会社では、サポートデスクで40分以上続く脅迫的なクレームが発生。カスタマーハラスメント対策プロジェクトを立ち上げ、アンケート調査やデータ収集、厚生労働省のマニュアルを参考にした対策の検討を実施しました。調査結果と対策を経営層に提言し、カスハラ対策に取組んだ結果、従業員の安心・安全な職場環境の確保を実現。外部企業との交流や意見交換も活発化し、顧客からも賛同の声が寄せられたとのことです。※6

※6 カスタマーハラスメントへの取組により従業員の安心感を獲得!|厚生労働省「あかるい職場応援団」

詳細な事例については、「カスタマーハラスメントの事例集:実際のケースとその対策」のページをご覧ください。

 

まとめ

本記事では、カスハラの対応策について解説しました。厚生労働省と帝国データバンクのデータをもとに、カスハラの現状と影響について説明し、企業が実践すべき基本方針の策定やカスハラ対策について紹介しました。カスハラへ効果的な対応策を実施することで、従業員はもちろん企業ブランドを守れます。Tayoriでは、カスハラ対策に活用できるフォームやFAQ、チャットボットを作成できます。詳しい情報やサポート体制について知りたい人、以下のリンクをご参照ください。

 

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