企業の意思決定や商品開発、学術研究など、様々な場面で活用されているアンケート調査。的確な調査設計と実施により、顧客の声や市場動向を正確に把握し、ビジネスの成長や課題解決に役立てることができます。本記事では、アンケート調査の基本から種類、実施手順、注意点、そして活用事例まで詳しく解説します。アンケート調査の質を高め、より価値のある情報を得るためのポイントを押さえていきましょう。
目次
- アンケート調査とは何?
- アンケート調査の重要性
- 【得られるデータ別】アンケート調査の種類
- アンケート調査の選び方
- 【手法別】アンケート調査の種類
- 【用途別】アンケート調査の種類
- 【目的別】アンケート調査の種類
- アンケート調査を進める際の手順
- アンケート調査を実施する際の注意点
- アンケート調査における質の高いアンケートを作る際のポイント
- アンケート調査を実施する際の費用相場
- アンケート調査会社を選ぶ際のポイント
- アンケート調査会社を選ぶ際に意識したいチェック項目
- アンケート調査の活用事例5選
- まとめ
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アンケート調査とは何?
アンケート調査とは、特定のテーマや課題について、対象となる人々から情報を収集するための体系的な手法です。質問票(アンケート)を用いて、回答者の意見、行動、嗜好、属性などの情報を収集し、それらを分析することで、意思決定や課題解決に役立てます。
マーケティングリサーチ、顧客満足度調査、社会調査、学術研究など幅広い分野で活用されており、企業が新商品開発のためのニーズ調査を行ったり、自治体が住民の意識調査を実施したりする際に用いられます。
アンケート調査の最大の特徴は、多数の回答者から短期間で大量のデータを収集できることです。また、匿名性が高いため、回答者は本音を回答しやすく、デジタル化の進展により、オンラインでの実施が容易になっています。
アンケート調査の重要性
アンケート調査は、ビジネスや研究活動において非常に重要な役割を果たしています。その重要性とメリットについて詳しく見ていきましょう。
最も大きな意義は「データに基づく意思決定」を可能にすることです。感覚や経験だけでなく、実際のデータに基づいて判断することで、より確実な意思決定が可能になります。例えば、新商品開発においては、ターゲット層のニーズを正確に把握することで、市場に受け入れられる製品設計ができます。
また、「顧客の声を直接聞く機会」「市場トレンドの把握」「競合他社との差別化ポイントの発見」などのメリットもあります。学術研究においては、「仮説の検証」や「社会現象の理解」のために不可欠なツールとなっています。
このように、アンケート調査は単なる情報収集の手段ではなく、組織の成長や問題解決、価値創造のための戦略的ツールとして極めて重要な役割を担っています。
【得られるデータ別】アンケート調査の種類
アンケート調査は、得られるデータの性質によって大きく「定量調査」と「定性調査」の2つに分類されます。それぞれ異なる特徴と目的を持っており、調査の目的に応じて適切な方法を選択することが重要です。
・定量調査
定量調査は、数値データを収集・分析する調査方法です。「何人が」「どのくらいの頻度で」「どの程度の満足度か」など、数値化できる情報を大量に収集し、統計的に分析します。
特徴としては、大規模なサンプル数(数百〜数千人)を対象とし、選択式の質問が中心となります。結果は数値やグラフなどで表現され、客観的な傾向や相関関係を把握するのに適しています。例えば、「20代女性の80%が週に3回以上SNSを利用している」というような定量的な結果が得られます。
代表的な手法には、インターネット調査、郵送調査、電話調査などがあります。
・定性調査
定性調査は、数値化しにくい「なぜ」「どのように」といった質的なデータを収集・分析する調査方法です。回答者の深層心理や行動の理由、感情などを探ることができます。
特徴としては、少数のサンプル(数人〜数十人程度)を対象とし、自由回答式の質問や対話形式での質問が中心となります。深い洞察や予想外の発見が得られやすく、新しいアイデアの創出や仮説の生成に適しています。
代表的な手法には、インタビュー調査、グループインタビュー(フォーカスグループ)、観察調査などがあります。
アンケート調査の選び方
アンケート調査を実施する際には、調査の目的や状況に合わせて最適な調査方法を選択することが重要です。適切な調査方法を選ぶことで、より正確で有用なデータを効率的に収集することができます。
調査目的の明確化
アンケート調査を選ぶ最初のポイントは、「何のために調査を行うのか」という目的の明確化です。例えば、市場の全体像を把握したいのであれば定量調査が適していますが、消費者の深層心理や行動の理由を探りたい場合は定性調査が効果的です。
また、新商品開発の初期段階では、アイデア創出のためのグループインタビューなどの定性調査が有効ですが、商品コンセプトの評価や市場規模の推定には、より大規模な定量調査が適しています。調査の段階や目的に応じて、適切な調査手法を選択することが重要です。
対象者とサンプル数の検討
二つ目のポイントは、「誰に」「何人に」調査するかの検討です。ターゲットとする対象者の特性(年齢、性別、職業、居住地など)に応じて、最適なアプローチ方法が異なります。
例えば、シニア層を対象とする場合、インターネット調査よりも郵送調査や電話調査の方が回収率が高くなる可能性があります。また、特定の専門家や業界関係者を対象とする場合は、少数精鋭のインタビュー調査が効果的です。
サンプル数については、統計的な信頼性を確保するために必要な人数と、予算や時間の制約のバランスを考慮して決定します。
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【手法別】アンケート調査の種類
アンケート調査は実施手法によって様々な種類があり、それぞれに特徴やメリット・デメリットがあります。調査の目的や予算、対象者の特性に応じて、最適な手法を選択することが重要です。
・Web調査
Web調査(インターネット調査)は、ウェブサイトやメールを通じてアンケートを配信し、オンラインで回答を収集する方法です。近年最も普及している調査手法の一つです。
最大の特徴は、短期間で大量のデータを低コストで収集できることです。地理的制約がなく、全国や世界規模での調査も容易に実施できます。また、回答者は自分の都合の良い時間に回答できるため、回答のしやすさも魅力です。
一方で、インターネットユーザーに限定されるため、特にシニア層などの一部の層ではカバレッジが低くなる可能性があることなどのデメリットもあります。
・会場調査(CLT)
会場調査(CLT:Central Location Test)は、特定の会場に回答者を集めて実施する調査方法です。主に商品の使用感や味覚などを直接評価する際に用いられます。
最大の特徴は、調査員の管理下で実施されるため、質の高いデータが収集できることです。商品やサービスを実際に体験してもらいながら評価を得ることができ、その場で詳細な質問も可能です。
一方で、調査会場の確保や参加者への謝礼など、コストが高くなる傾向があります。
・郵送調査
郵送調査は、質問票を郵便で対象者に送付し、回答後に返送してもらう調査方法です。従来から広く利用されてきた伝統的な調査手法の一つです。
特徴としては、インターネットを利用しない層を含めた幅広い対象者にアプローチできる点が挙げられます。特に、住民基本台帳や選挙人名簿などに基づく無作為抽出調査や、高齢者を対象とした調査などで有効です。
デメリットとしては、回収率が低くなりがちであること、回答が返ってくるまでに時間がかかることなどが挙げられます。
・街頭調査
街頭調査は、繁華街や商業施設などの公共の場所で通行人に声をかけ、その場でアンケートに回答してもらう方法です。直接対面で行われる調査の一種です。
特徴としては、特定のエリアでの生の声を直接収集できる点が挙げられます。調査員が質問を読み上げて回答を記入するため、回答者の負担が少なく、高い回答率が期待できます。
一方で、サンプルの偏りが大きいこと、天候や時間帯に左右されることなどがデメリットとして挙げられます。
【用途別】アンケート調査の種類
アンケート調査は、その用途によっても分類することができます。ここでは、特定の用途に特化した調査方法について解説します。
・学術調査
学術調査は、研究機関や大学などが学術的な目的で実施する調査です。科学的な知見の獲得や理論の検証、社会現象の解明などを目的としています。
特徴としては、厳密な調査設計と分析手法が用いられることが挙げられます。仮説を立て、それを検証するためのデータ収集と統計的分析を行うという科学的アプローチが基本となります。
学術調査では、無作為抽出による代表性の高いサンプリングや、バイアスを排除するための質問設計など、調査の科学的厳密性が重要視されます。
・海外調査
海外調査は、国外の市場や消費者を対象として実施される調査です。グローバル展開を検討している企業や、国際比較研究を行う研究者などによって実施されます。
特徴としては、文化的・言語的な違いへの配慮が必要となる点が挙げられます。質問票の翻訳だけでなく、文化的文脈に合わせた適切な「翻案」(ローカライズ)が重要です。
また、国ごとに調査環境が異なるため、適切な調査手法も変わってきます。法規制や個人情報保護に関するルールも国によって異なるため、それらへの対応も必要です。
【目的別】アンケート調査の種類
企業や組織がアンケート調査を実施する際には、様々な目的があります。それぞれの調査は、特定の経営課題や意思決定を支援するために設計されています。
・ブランド、認知度調査
ブランド・認知度調査は、自社ブランドや商品・サービスの認知状況を把握するための調査です。「どれだけの人が知っているか」という認知率の測定から、「どのようなイメージで捉えられているか」というブランドイメージの把握まで、幅広い情報を収集します。
この調査では、まず「認知度」を測定します。「聞いたことがある(助成認知)」「名前を思い出せる(想起認知)」など、認知のレベルを段階的に調査します。次に「ブランドイメージ」を評価します。
さらに「ブランドロイヤルティ」も重要な測定項目です。継続的な利用意向や他者への推奨意向(NPS)などを通じて、ブランドへの愛着度や忠誠度を把握します。
・顧客満足度調査
顧客満足度調査は、商品やサービスに対する顧客の満足度や評価を測定するための調査です。顧客の声を直接聞くことで、改善点の発見やロイヤルティ向上のための施策立案に役立てます。
この調査では、「全体満足度」と「要素別満足度」の両方を測定するのが一般的です。全体満足度では総合的な評価を5段階や7段階などのスケールで測定し、要素別満足度では商品の品質、価格、デザインなど、個別の要素ごとの評価を行います。
また、「重要度」と「満足度」を組み合わせた分析も有効です。CS(Customer Satisfaction)ポートフォリオ分析では、重要度が高いのに満足度が低い要素を「重点改善項目」として特定します。
・競合調査
競合調査は、競合企業の商品・サービス、戦略、市場ポジションなどを調査し、自社の競争優位性を高めるための情報を収集する調査です。市場における自社の立ち位置を客観的に把握し、差別化戦略を立案するために重要です。
この調査では、まず「競合企業の特定」を行います。次に「競合製品・サービスの評価」を行い、機能、品質、価格、デザインなどの観点から比較分析します。
さらに、「競合のマーケティング活動」についても調査します。広告・宣伝活動、プロモーション、価格戦略、流通チャネルなどを分析し、競合の強みと弱みを特定します。
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アンケート調査を進める際の手順
アンケート調査を効果的に実施するためには、適切な手順に従って進めることが重要です。ここでは、アンケート調査を成功させるための一般的な手順について解説します。
①目的・ターゲットの明確化
アンケート調査の第一歩は、調査の目的とターゲットを明確にすることです。「なぜこの調査を行うのか」「どのような意思決定に役立てるのか」を具体的に定義します。
また、「誰から情報を集めるのか」というターゲットの設定も重要です。年齢、性別、職業、居住地、利用頻度など、調査対象者の属性や条件を明確にします。
この段階で、調査の方法(定量調査か定性調査か)や、必要なサンプル数についても検討します。調査結果をどのように活用するのかまで想定しておくことで、必要なデータを漏れなく収集できる設計が可能になります。
②質問を作成
調査の目的とターゲットが決まったら、次は質問票(アンケート)の作成です。質問内容は、調査目的に沿ったものを設計します。質問のタイプ(選択式、評価式、自由回答式など)や順序にも配慮が必要です。
質問を作成する際には、回答者の負担を考慮し、回答しやすい質問設計を心がけることが重要です。専門用語を避け、わかりやすい言葉を使用することや、質問の意図が明確になるよう表現を工夫することが必要です。
質問票の構成としては、導入質問、本題の質問、属性質問の順に配置するのが一般的です。
・読みやすい表現を心がける
アンケートの質問は、すべての回答者が同じように理解できる明確で読みやすい表現を用いることが重要です。専門用語や業界用語、略語などは避け、一般的にわかりやすい言葉を使用しましょう。
例えば、「あなたはこの製品のUIについてどう思いますか?」という質問は、UIという専門用語を知らない人には理解できません。「この製品の画面操作のしやすさについてどう思いますか?」というように言い換えると良いでしょう。
・質問の順番は時系列に沿って設定
アンケートの質問順序は、回答者の思考の流れに沿ったものにすることで、回答のしやすさと正確性が向上します。特に、行動や経験に関する質問は、時系列に沿って配置すると回答者の記憶を引き出しやすくなります。
例えば、商品購入に関する調査であれば、「どのように商品を知ったか」→「どのように情報収集したか」→「どこで購入したか」→「使用した感想はどうか」という順序で質問を並べると、回答者は自然な流れで回答できます。
・似ている選択肢を設定しない
アンケートの選択肢を設計する際には、明確に区別できる選択肢を用意することが重要です。似通った選択肢があると、回答者が違いを理解できず、正確な回答が得られなくなる可能性があります。
例えば、「満足している」と「やや満足している」の違いが明確でない場合、回答者によって解釈が異なり、結果の信頼性が低下します。選択肢は互いに排他的で、すべての可能性をカバーするように設定しましょう。
③実施期間を決定
アンケート調査の実施期間は、調査の規模や目的、対象者の特性などを考慮して決定します。適切な期間設定は、十分な回収率を確保するために重要です。
一般的なWeb調査では、1〜2週間程度の実施期間が設定されることが多いですが、対象者の特性や回答のしやすさによって調整が必要です。例えば、ビジネスパーソンを対象とした調査であれば、平日と週末を含む期間を設定し、様々なタイミングで回答できるようにすることが望ましいでしょう。
また、季節性や特定のイベントの影響を考慮することも重要です。年末年始やゴールデンウィークなどの長期休暇期間は回答率が低下する可能性があります。
④結果の集計、分析
アンケート調査の実施後は、収集したデータを集計し、分析を行います。この段階では、単純に数値を集計するだけでなく、データの背景にある意味を読み取ることが重要です。
集計方法
アンケート結果の集計では、まず基本的な統計量を算出します。選択式質問では、各選択肢の回答者数と割合(%)を算出し、評価式質問では平均値や中央値、標準偏差などを計算します。
集計の際には、全体の結果だけでなく、属性別(年齢、性別、利用頻度など)のクロス集計も行うことで、より詳細な分析が可能になります。例えば、「20代と50代で満足度に差があるか」「男性と女性で商品の評価ポイントが異なるか」などの視点で分析します。
自由回答の集計では、類似の回答をカテゴリー化し、頻出するキーワードやテーマを抽出します。
分析方法
データの集計後は、より深い分析を行い、調査目的に沿った洞察を導き出します。分析の方法としては、以下のようなアプローチがあります。
相関分析では、複数の質問項目間の関連性を統計的に分析します。例えば、「商品の満足度と再購入意向の関係」「価格満足度と全体満足度の関係」などを明らかにします。
回帰分析を用いると、どの要素が満足度や購買意向などの目的変数に強く影響しているかを特定できます。これにより、優先的に改善すべき要素を特定することが可能です。
セグメント分析では、回答者を特定の特性や行動パターンによってグループ化し、それぞれの特徴を明らかにします。
⑤レポーティング
アンケート調査の最終段階は、分析結果をレポートにまとめ、関係者に共有することです。効果的なレポーティングは、調査結果を実際のアクションにつなげるために重要です。
レポートの構成としては、「調査の概要(目的、方法、対象者など)」「主要な発見(ハイライト)」「詳細な分析結果」「結論と提言」という流れが一般的です。特に重要なのは、冒頭で主要な発見や結論を簡潔にまとめることです。
データの提示方法としては、数値だけでなく、グラフや図表を効果的に活用することで、視覚的にわかりやすく伝えることができます。
レポートでは、単にデータを提示するだけでなく、そこから導き出される「意味」や「インサイト」を解説することが重要です。さらに、調査結果に基づく具体的な提言や次のアクションプランを提案することで、調査を実際のビジネス活動に活かすことができます。
アンケート調査を実施する際の注意点
アンケート調査を効果的に実施するためには、いくつかの重要な注意点があります。これらのポイントに留意することで、より信頼性の高い結果を得ることができます。
バイアスを避ける質問設計
アンケート調査の最も重要な注意点の一つは、バイアス(偏り)を避けた質問設計です。誘導的な質問や偏った選択肢は、回答者の本来の意見や行動とは異なる回答を引き出してしまう恐れがあります。
例えば、「この素晴らしい新商品についてどう思いますか?」という質問は、「素晴らしい」という評価を前提としており、回答者に肯定的な評価を誘導してしまいます。「この新商品についてどう思いますか?」とニュートラルな表現にすべきです。
また、選択肢も偏りなく設計することが重要です。選択肢は網羅的で均等なものにし、必要に応じて「その他」や「わからない」などの選択肢も用意することが望ましいです。
回答者の負担に配慮
アンケートの長さや複雑さは、回答率や回答の質に大きく影響します。回答者の負担が大きすぎると、途中離脱や適当な回答が増える可能性があります。
質問数は必要最小限にとどめ、回答時間が10〜15分程度になるよう設計することが望ましいです。また、複雑な質問や専門知識を要する質問は避け、誰でも理解できるシンプルな表現を心がけましょう。
特にWeb調査では、進捗状況を表示する、セクションごとに区切るなど、回答者が最後まで回答しやすい工夫も重要です。
サンプルの偏りに注意
調査結果の信頼性を高めるためには、サンプル(回答者)の偏りに注意する必要があります。特定の属性や意見を持つ人だけが回答すると、結果が実態を反映しないものになってしまいます。
例えば、Webアンケートだけに依存すると、インターネットを利用しない層の意見が反映されません。これらの偏りを防ぐためには、調査対象者の選定方法を工夫したり、複数の調査手法を組み合わせたりするなどの対策が考えられます。
プライバシーへの配慮
アンケート調査では、個人情報や機密性の高い情報を扱うことも多いため、プライバシーへの配慮は不可欠です。回答者のプライバシーを尊重し、適切なデータ保護対策を講じることが重要です。
調査の冒頭では、調査の目的、データの利用方法、匿名性の確保などについて明確に説明し、回答者の同意を得ることが望ましいです。
また、個人を特定できる情報の収集は必要最小限にとどめ、データの匿名化や集計処理を適切に行うことが重要です。個人情報保護法などの関連法規を遵守することも徹底しましょう。
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アンケート調査における質の高いアンケートを作る際のポイント
アンケート調査の成否は、質問票の質に大きく依存します。質の高いアンケートと質の低いアンケートでは、得られる情報の価値や信頼性に大きな差が生じます。
質の高いアンケートは、回答者にとって意図が明確で回答しやすく、かつ調査目的に沿った正確なデータを収集できるものです。一方、質の低いアンケートは、曖昧な表現や誘導的な質問が含まれ、回答者に混乱や負担を与え、結果として信頼性の低いデータしか得られないものです。

質の高いアンケートを作成するためのポイントを詳しく見ていきましょう。
・誘導的な質問を避ける
質の高いアンケートでは、特定の回答に誘導するような表現を避け、中立的な質問を心がけます。回答者が自分の本当の意見や行動を回答できるよう、質問者の意図や期待が透けて見えるような表現は使用しません。
例えば、「この便利な新機能はあなたの作業効率を向上させると思いますか?」という質問は、肯定的な回答を誘導しています。「この新機能はあなたの作業にどのような影響を与えると思いますか?」とより中立的な表現にすることで、より正確な意見を収集できます。
・主語を必ず明確にする
質問文では、主語を明確にすることが重要です。「どう思いますか?」「良いと思いますか?」など、何について尋ねているのかが不明確な質問は避けるべきです。
例えば、「使いやすいと思いますか?」という質問では、何が使いやすいのかが不明確です。「このアプリの操作性は使いやすいと思いますか?」のように、主語を明確にすることで、回答者は質問の意図を正確に理解できます。
・曖昧な表現やワードを避ける
質問に曖昧な表現や解釈が分かれる言葉を使用すると、回答者によって質問の理解が異なり、データの信頼性が低下します。具体的で明確な表現を心がけましょう。
例えば、「定期的に利用していますか?」という質問では、「定期的」の定義が回答者によって異なります。「週に何回程度利用していますか?」と具体的な頻度を尋ねる方が明確です。
また、「最近」「たくさん」「しばしば」などの曖昧な副詞も避け、「過去1ヶ月間に」「5回以上」「週に1回以上」など、具体的な時間や数量で表現することが望ましいです。
・1つの設問内に複数の内容を入れない
1つの質問に複数の内容を含めると、回答者が何に対して回答すべきか混乱し、正確な回答が得られなくなります。質問は1つの内容に絞り、シンプルな構造にすることが重要です。
例えば、「この商品のデザインと機能性に満足していますか?」という質問では、デザインには満足しているが機能性には満足していない場合、回答が困難です。「この商品のデザインに満足していますか?」「この商品の機能性に満足していますか?」と分けて質問するべきです。
・必要十分な項目を入れる
アンケートには、調査目的を達成するために必要な質問を過不足なく含めることが重要です。不必要な質問は回答者の負担となり、重要な質問の欠如は分析に必要なデータが不足する原因となります。
調査設計の段階で、「この質問から得られるデータは何に活用できるか」を常に考え、目的に沿った質問を厳選することが大切です。また、分析時のクロス集計や相関分析に必要な属性情報(年齢、性別、利用頻度など)も適切に含める必要があります。
・専門用語や略語、差別用語は使わない
アンケートでは、回答者の属性や知識レベルに関わらず、誰でも理解できる平易な言葉を使用することが重要です。専門用語や業界用語、略語は、回答者によっては理解できない可能性があります。
例えば、IT業界のアンケートでも「UI/UX」「CRM」などの専門用語や略語は避け、「画面の使いやすさ」「顧客管理システム」など、一般的な表現に置き換えることが望ましいです。
また、性別、年齢、国籍、宗教などに関する差別的な表現や偏見を含む言葉は絶対に使用しないよう注意が必要です。
・過度な敬語や謙譲語は使わない
アンケートでは、丁寧で分かりやすい言葉遣いを心がけることが大切ですが、過度に複雑な敬語や謙譲語は回答者の理解を妨げる可能性があります。
「ご覧になられましたでしょうか」「お召し上がりになられたことはございますか」などの二重敬語や複雑な敬語表現は避け、「ご覧になりましたか」「食べたことがありますか」など、シンプルで分かりやすい表現を使用することが望ましいです。
アンケート調査を実施する際の費用相場
アンケート調査を実施する際には、予算計画が重要です。調査手法や規模によって費用は大きく異なります。ここでは、主なアンケート調査手法ごとの費用相場について解説します。
オンラインの場合の費用相場
オンラインでのアンケート調査は、インターネットを活用して実施する方法です。一般的に、オフライン調査に比べてコストを抑えることができ、短期間で大量のデータを収集できるというメリットがあります。
・インターネット定量調査
インターネット定量調査は、オンラインアンケートツールやリサーチ会社のパネル(回答者データベース)を活用して実施する調査です。多数の回答者から定量的なデータを収集するのに適しています。
費用相場は、サンプル数や質問数、対象者の属性などによって変動しますが、一般的な目安は以下の通りです:
- 小規模調査(100〜300サンプル):10〜30万円程度
- 中規模調査(300〜500サンプル):30〜50万円程度
- 大規模調査(500〜1,000サンプル):50〜100万円程度
特定の条件で対象者を絞り込む場合は、スクリーニングコストが加算され、費用が増加します。自社でアンケートツールを利用して実施する場合は、ツールの月額料金(数千円〜数万円程度)のみで実施できる場合もあります。
・オンライングループインタビュー
オンライングループインタビュー(オンラインFGI)は、ビデオ会議システムなどを使用して、複数の参加者と司会者(モデレーター)が同時に会話しながら意見を収集する定性調査です。
費用相場は、以下のような要素によって変動します:
- 基本費用(1グループ、5〜6名、2時間程度):30〜50万円程度
- モデレーター費用:5〜15万円程度/1グループ
- 参加者謝礼:3,000〜10,000円程度/1名
- 分析・報告書作成:10〜30万円程度
一般的に、2〜3グループ実施する場合の総額は、80〜150万円程度が目安となります。
オフラインの場合の費用相場
オフラインでのアンケート調査は、対面や紙媒体を通じて実施する伝統的な調査方法です。インターネットを利用しない層へのアプローチや、実際の商品を使用してもらいながらの評価など、オンラインでは難しい調査が可能です。
・郵送調査、街頭調査
郵送調査の費用相場:
- 小規模調査(300〜500通発送):30〜60万円程度
- 中規模調査(500〜1,000通発送):60〜120万円程度
- 大規模調査(1,000〜3,000通発送):120〜300万円程度
街頭調査の費用相場:
- 小規模調査(100〜200サンプル、1〜2箇所):30〜60万円程度
- 中規模調査(200〜500サンプル、複数箇所):60〜150万円程度
・CLT(会場テスト)
CLT(Central Location Test、会場テスト)は、特定の会場に回答者を集めて実施する調査方法です。商品の使用感や味覚テスト、広告の評価など、実際の体験を伴う評価に適しています。
費用相場は、以下のような要素によって変動します:
- 基本費用(1会場、100サンプル程度):80〜150万円程度
- 追加会場:40〜80万円程度/1会場
- 参加者謝礼:2,000〜5,000円程度/1名
- 会場費:5〜20万円程度/1日
- 調査員費用:3〜5万円程度/1名・1日
一般的に、2〜3会場で実施する場合の総額は、150〜300万円程度が目安となります。
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アンケート調査会社を選ぶ際のポイント
アンケート調査を外部委託する場合、適切な調査会社の選定が調査の成否を左右します。ここでは、信頼性の高い調査結果を得るために、調査会社を選ぶ際の重要なポイントについて解説します。
実績と専門性
調査会社を選ぶ際の最も重要なポイントの一つが、実績と専門性です。類似の調査経験が豊富な会社は、効果的な調査設計や適切なサンプリング方法、的確な分析手法を提案できる可能性が高くなります。
会社のウェブサイトやパンフレットで過去の実績や事例を確認し、自社の業界や調査テーマに関連する経験があるかをチェックしましょう。可能であれば、過去のクライアントからの評価や紹介を得ることも効果的です。
また、一般的なリサーチ会社もありますが、特定の業界(医療、IT、金融など)や調査手法(定性調査、国際調査など)に特化した会社も存在します。自社の調査目的や業界特性に合った専門性を持つ会社を選ぶことで、より深い洞察が得られる可能性が高まります。
品質管理体制
信頼性の高い調査結果を得るためには、調査会社の品質管理体制を確認することが重要です。特に、サンプルの品質や回答の信頼性を確保するための取り組みをチェックしましょう。
例えば、オンライン調査の場合、不正回答(スピーディング、ストレートライニングなど)を検出・排除する仕組みがあるか、回答者パネルの品質管理はどのように行われているかなどを確認します。
業界団体(日本マーケティング・リサーチ協会など)への加盟や、ISO認証の取得なども、品質への取り組みを示す指標となります。調査会社のプライバシーポリシーや情報セキュリティ対策も重要なチェックポイントです。
コミュニケーション能力と対応力
調査の成功には、クライアントと調査会社の円滑なコミュニケーションが不可欠です。提案段階での対応の丁寧さや迅速さ、質問に対する回答の明確さなどから、コミュニケーション能力を判断することができます。
また、調査の目的や課題をしっかりと理解し、それに適した調査設計を提案できるかどうかも重要です。提案内容が自社のテンプレートの焼き直しではなく、クライアントの課題に合わせてカスタマイズされているかをチェックしましょう。
さらに、予期せぬ事態や要望変更への柔軟な対応力も重要な選定基準です。複数の会社に同じ内容で提案を依頼し、それぞれの対応や提案内容を比較することで、最適なパートナーを見つけることができるでしょう。
アンケート調査会社を選ぶ際に意識したいチェック項目
アンケート調査会社を選定する際には、具体的なチェック項目を設定し、複数の会社を比較検討することが重要です。以下に、調査会社選びで押さえておきたい主なチェック項目を箇条書きでまとめます。
実績と経験
- 類似の調査実績があるか
- 自社の業界に関する知識・経験があるか
- 会社の設立年数や実績数
- 主要クライアントの顔ぶれ
提案内容の質
- 調査目的を正確に理解しているか
- 課題解決につながる調査設計になっているか
- テンプレートではなくカスタマイズされた提案か
- 調査手法の選定理由が明確か
- サンプリング計画は適切か
品質管理体制
- 回答者スクリーニングの方法
- 不正回答の検出・排除方法
- データクリーニングのプロセス
- プロジェクト管理体制
- 品質管理の責任者と体制
分析力と洞察力
- 単純集計だけでなく多変量解析などの高度な分析も可能か
- 過去の分析レポートのサンプルの質
- 数字の羅列ではなく、意味のある洞察を提供できるか
- ビジュアル化やプレゼンテーションの質
コスト
- 見積もりの透明性と詳細さ
- コストの内訳が明確か
- 追加料金が発生する条件
- コストパフォーマンス(他社との比較)
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アンケート調査の活用事例5選
アンケート調査は様々な目的や場面で活用されています。ここでは、実際のビジネスシーンで効果的に活用された事例を5つ紹介します。
商品開発における顧客ニーズの把握
大手食品メーカーA社では、新しい健康志向の飲料開発にあたり、ターゲット層である30〜40代の女性を対象にオンラインアンケート調査を実施しました。調査では、普段の飲料消費習慣、健康に関する意識、味の好み、パッケージデザインの好みなどを詳細に調査しました。
調査の結果、ターゲット層が「自然な甘さ」「添加物の少なさ」「手軽に摂取できる栄養素」を重視していることが明らかになりました。また、パッケージデザインについては、シンプルでナチュラルなイメージが好まれることがわかりました。
A社はこの調査結果を基に、天然素材のみを使用し、ビタミンとミネラルを強化した飲料を開発。パッケージも調査結果を反映したデザインにすることで、発売後3か月で目標販売数の120%を達成するヒット商品となりました。
Webサイト改善による顧客体験の向上
オンラインショップを運営するB社では、サイトのコンバージョン率が業界平均を下回っていることに課題を感じていました。そこで、サイト訪問者を対象に、サイトの使いやすさや購入プロセスの満足度に関するオンラインアンケート調査を実施しました。
調査では、ユーザーがサイト内で最も困難を感じている点や、購入を途中で諦めた理由などを詳細に質問。結果として、商品検索機能の使いにくさ、商品詳細ページの情報不足、チェックアウトプロセスの複雑さが主な問題点として浮かび上がりました。
B社はこの調査結果に基づき、検索機能の改善、商品詳細ページの情報充実、チェックアウトプロセスの簡素化などのサイト改善を実施。その結果、コンバージョン率が45%向上し、顧客満足度も大幅に改善しました。
従業員満足度調査による職場環境改善
IT企業のC社では、離職率の上昇に懸念を感じ、全従業員を対象に職場環境や満足度に関する匿名アンケート調査を実施しました。調査では、仕事内容、評価制度、キャリア開発、ワークライフバランス、職場の人間関係など、多角的な視点から従業員の満足度を測定しました。
調査結果から、従業員が特に不満を感じていたのは「キャリア開発の機会の不足」「評価制度の不透明さ」「上司とのコミュニケーション不足」であることが明らかになりました。
C社は調査結果を受けて、キャリア開発プログラムの拡充、評価制度の見直し、マネージャー向けのコミュニケーションスキル研修の実施など、具体的な改善策を実行。1年後に再度調査を実施したところ、離職率が30%減少し、全体的な従業員満足度も20%向上していました。
新サービス導入前の市場調査
金融サービス会社のD社では、若年層向けの新しいモバイル決済サービスの導入を検討していました。本格的な開発投資を行う前に、ターゲットとなる18〜25歳の若年層を対象に、決済習慣や新サービスへのニーズに関するアンケート調査を実施しました。
調査の結果、ターゲット層の80%がモバイル決済に高い関心を示す一方で、セキュリティへの不安や複雑な操作への抵抗感も明らかになりました。また、「割引・ポイント還元」「友人間での送金機能」「家計管理機能との連携」が特に魅力的と評価されました。
D社はこの調査結果を基に、セキュリティ面を強化し、操作性を重視したシンプルなUIデザイン、差別化ポイントを前面に押し出したマーケティング戦略を立案。サービス開始後6か月で目標ユーザー数の2倍を獲得するヒットサービスとなりました。
地域活性化プロジェクトでの住民意識調査
地方自治体のE市では、中心市街地の活性化プロジェクトを計画するにあたり、市民を対象とした意識調査を実施しました。調査では、中心市街地の利用頻度、利用目的、魅力に感じる点、改善してほしい点などを尋ねました。
調査の結果、市民が中心市街地に求めているのは「くつろげる公共スペース」「若者向けの店舗」「夜間も安心して過ごせる環境」などであることが明らかになりました。また、駐車場の不足や公共交通機関のアクセスの悪さが利用を妨げる大きな要因となっていることもわかりました。
E市はこの調査結果を基に、空き店舗を活用した若者向けの起業支援、公園や広場の整備、駐車場の増設と巡回バスの導入などの施策を実施。その結果、中心市街地の来訪者数が前年比50%増加し、新規出店も増えるなど、活性化の兆しが見られるようになりました。
まとめ
本記事では、アンケート調査の基本から実施手順、注意点、活用事例まで幅広く解説してきました。アンケート調査は、企業や組織が意思決定や課題解決を行う上で、非常に重要なツールであることがお分かりいただけたかと思います。
効果的なアンケート調査を実施するためには、明確な目的設定、適切な調査手法の選択、質の高い質問設計、適切なサンプリング、そして的確な分析と活用が不可欠です。特に質問設計においては、誘導的な質問を避け、明確で曖昧さのない表現を使用し、回答者の負担に配慮することが重要です。
また、調査の種類や手法は多岐にわたりますが、調査の目的や対象者、予算などに応じて最適なものを選択することが成功の鍵となります。定量調査と定性調査を組み合わせることで、より深い洞察を得ることも可能です。
紹介した活用事例からもわかるように、適切に設計・実施されたアンケート調査は、商品開発、サービス改善、顧客満足度向上、組織改革など、様々な場面で大きな成果をもたらします。
アンケート調査をより効率的に実施し、回答者と運営者双方の負担を軽減するためには、適切なツールの活用も重要です。Tayoriのようなカスタマーサポートツールを利用することで、アンケートの作成から集計までをスムーズに行うことができます。特に、複数の部署や担当者が関わる調査では、情報共有やワークフローの効率化に大きく貢献するでしょう。ぜひ、データに基づく意思決定でビジネスの成功を目指してみてください。
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