TayoriBlog

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

「導入」から「使いこなす」段階へ――ヘルプデスク実態調査に見る、サポート業務の進化

生成AIの活用は、もはや「試してみる」段階を終え、日々の業務に定着しつつあるようです。

キヤノンマーケティングジャパン株式会社(以下、キヤノンMJ)が2026年7月22日に公表した調査によると、社内ヘルプデスクを担う情報システム部門の担当者111名のうち、生成AIを活用していると回答した担当者の88.5%が「本格的に活用し、業務に定着している」または「一部業務で本格活用を開始している」と回答しました。

一方で、業務量そのものは増加傾向にあり、企業は人員増強ではなく運用の工夫によってこの変化に対応しようとしている様子がうかがえます。

人員増強ではなく、運用の工夫で対応する動き

調査では、73.0%の担当者が「ヘルプデスク業務の負荷が3年前より増加している」と回答し、80.2%が現在の業務に「課題を感じている」としています。課題の内容としては「人員不足により、一人当たりの負担が大きい」が55.1%で最多となり、「特定のスタッフが休暇や退職した場合、対応が困難になる」(47.2%)、「ヘルプデスク対応に時間を取られ、他の進めたい業務が進められない」(43.8%)が続きました。

注目したいのは、こうした業務量の増加に対して「人員を増強する」という対応を選んだ担当者が28.8%にとどまり、前年から15.2ポイント減少している点です。人手を増やす方向ではなく、ツールや外部委託によって業務のやり方そのものを変えていこうとする姿勢が強まっていると見られます。

実際、効率化の取り組みとしては「サポートツールの導入」(47.7%)や「チャットボットの活用」(45.0%)が上位に挙がっており、限られた人員でも対応力を高めていく工夫が進んでいるようです。

活用領域も広がり、導入初期の悩みは解消へ

生成AIの活用領域としては「FAQ自動作成」(62.9%)、「チャットボットでの自動対応」(54.3%)、「ボイスボットでの自動対応」(48.6%)が上位に挙げられました。前年調査で最多だった「どのサービスを選べばよいかわからない」という導入初期の悩みも、今回はほぼ解消されています。

生成AIをめぐる関心は、もはや「導入するかどうか」ではなく「どう定着させ、成果につなげるか」という、一段先のフェーズに移っていると言えそうです。

外部委託に求められるのは「人とAIの併用」

すでに約9割の企業が社内ヘルプデスク業務の全部または一部を外部委託しているという結果も示されています。委託を検討する理由としては「教育に割く時間を作るのが大変」(65.2%、前年比20.2ポイント増)が最多で、「繁閑調整が難しい」(43.5%)、「離職が多い」(41.3%)が続きました。

事業者に求める条件を見ると、「自動化と有人対応を組み合わせたハイブリッド運用ができること」(58.7%)が最も多く挙げられており、外部委託によって得たい成果としても「セキュリティ体制の強化」(51.9%、前年比16.9ポイント増)が上位に入っています。

AIによる自動化だけで完結させるのではなく、人による対応とどう組み合わせるか、そしてその運用体制をどれだけ安全に維持できるかという点に、企業の関心が移っていることがうかがえます。

サポート業務全体に共通する示唆

今回の調査対象は社内向けのITヘルプデスク業務ですが、「人手不足と属人化を抱えたまま業務量が増え続け、AIと人の役割分担が問われている」という構造は、顧客対応を担うカスタマーサポートの現場にも重なる部分が多いのではないでしょうか。

特に、特定の担当者が休暇や退職をすると対応が滞ってしまうという課題や、教育・引き継ぎに時間を割けないという悩みは、業種を問わずサポート部門に共通する構造的な課題と言えそうです。

生成AIの活用が「試す段階」から「使いこなす段階」へ移行しつつある今、ツールの導入そのものよりも、ナレッジの蓄積・標準化や、人とAIをどう組み合わせて運用するかという設計面が、サポート業務全体の成果を左右する分岐点になっていくと見られます。

単に問い合わせ対応を自動化するだけでなく、そこで得られた知見を組織のナレッジとして残し、次の対応品質向上につなげていく仕組みづくりが、今後より重視されていくのではないでしょうか。

出典:生成AI活用が進展もヘルプデスク担当者の7割超が負担増を実感 ~2026年版情報システム部門の社内ヘルプデスク業務に関する実態調査~

💡あわせて読みたい
社内ヘルプデスクとは?5つの業務課題と対策方法・おすすめツールを詳しく紹介
【2026年最新調査】CS現場のリアル。自動化へのシフトとAI活用で見えた「人の役割」とは

著者:Tayoriブログ編集部
日頃からカスタマーサポートと向き合うメンバーが、問い合わせ対応の課題解決とビジネス成長を支援するため、カスタマーサポートや業務効率化に役立つ情報を発信しています。

関連記事

3分で読める !
カスタマーサポートお役立ち資料

無料ダウンロード

閉じる