プロジェクトマネジメントとは?必要となる7つのスキルを解説
システム開発や新サービスのリリースなどの様々な「プロジェクト」を計画・管理する「プロジェクトマネジメント」。プロジェクトを成功に導くためには、適切なマネジメントが欠かせません。
本記事ではプロジェクトマネジメントが必要な理由や具体的な業務内容、世界標準のガイドライン「PMBOK」について解説します。プロジェクトマネージャーを目指す人、なりたての人が押さえておきたい7つの必須スキルと、成果を上げるための重要ポイントも紹介します。
プロジェクトマネジメントとは
プロジェクトマネジメントとは、システム開発やマーケティング施策などの「プロジェクト」を成功させるために、全体を管理することです。QCDと呼ばれる3つの軸、「品質(Quality)」「費用(Cost)」「納期(Delivery)」を中心に管理します。
具体的には、以下のような内容の管理がプロジェクトマネジメントの仕事です。
- 中間・最終目標の定義
- 計画・スケジュールの作成
- 予算の管理
- 人員や資源の調達
- 進捗の管理
プロジェクトマネジメントが必要な理由
プロジェクトマネジメントは、限られたリソースを最大限に活かし、効率よくプロジェクトを進めるために重要な役割を果たします。
例えば自社のオウンドメディアを立ち上げ、マーケティングやブランディングを進めるプロジェクトには、大枠でも次のようなタスクがあります。
<オウンドメディア立ち上げに必要なタスクの例>
- メディアの運用目的や数値目標を決める
- メディアをデザインする・素材を用意する
- プログラミングで実装する
- メディアに掲載するコンテンツの作成
- 効果計測ツールやSNSとの連携 など
これらのタスクは、各専門職に任せることになりますが、それぞれがバラバラに作業をしてもうまく進みません。全体のスケジュールを組み、誰が何をするのか割り当てることで、最小限の時間とコストでプロジェクトを成功に導けます。
PMBOKとは
プロジェクトマネジメントの世界標準といわれているものに、「PMBOK(Project Management Body of Knowledge)」があります。プロジェクトマネジメント協会発行の書籍により広まった知識体系のことを指し、PMBOKは「ピンボック」と読みます。
QCDを軸に、プロジェクトマネジメントを「5つのプロセス群」と「10の知識エリア」に分類しています。
<プロジェクトマネジメントの5つのプロセス群>
立ち上げ | プロジェクトの認可を得るために、目的・目標や予算、成果などを定義する |
計画 | 目的・目標を達成するための計画を立て、細かな作業タスクに分類する |
実行 | 計画に基づき、必要なリソース(人員や資源など)を確保し、各タスクを実際に進める |
監視・コントロール | 計画と進捗にズレがないか監視し、ズレが生じたときは計画を修正する |
終結 | すべてのプロセスが完了したことを検証し、プロジェクトを正式に完結させる |
<プロジェクトマネジメントの10の知識エリア>
総合マネジメント | 全体の方針、5つのプロセス群、他9つのマネジメント活動の特定や定義を行う |
スコープマネジメント | プロジェクトのスコープ(範囲)を定め、目標達成に何が必要なのか定義する |
スケジュールマネジメント | 所定の納期までにプロジェクトを完了させるため、スケジュールを組む |
コストマネジメント | 予算内でプロジェクトを完了するため、かかるコストの見積もりや予算設定を行う |
品質マネジメント | クライアントやステークホルダーの要求を満たすため、成果物の品質要求事項を決め、管理する |
資源マネジメント | プロジェクトに必要な人材や物的資源を特定し、獲得する |
コミュニケーションマネジメント | ステークホルダーから理解を得るために、プロジェクト情報の生成や収集、配布、保管、検索、最終的な廃棄を行う |
リスクマネジメント | プロジェクトに関するリスクを特定・分析し、予防や対応策の立案・実施をする |
調達マネジメント | プロジェクトに必要なプロダクトやサービス、所産を外部から購入・取得する |
ステークホルダーマネジメント | ステークホルダーが必要とする情報を集め、保管・伝達する |
プロジェクトマネジメントに必要な7つのスキル
プロジェクトマネジメントに必要なスキルは独学や座学でも身につけられますが、ある程度の知識をつけたうえで、実務に関わってみるのが効率的です。
自分でマネジメントをする機会がないなら、プレイヤーとして働きながら、リーダーであるプロジェクトマネージャーを観察するのがおすすめです。
具体的には、次の7つのスキルが必要です。どんなスキルが求められるのか把握したうえで、勉強や観察をしましょう。
<プロジェクトマネジメントに必要な7つのスキル>
- 大局を俯瞰する視野
- コミュニケーションスキル
- ディレクションスキル
- マネジメントスキル
- 課題発見・問題解決能力
- ビジネス・経営に関する知識
- 開発に関する知識
大局を俯瞰する視野
プロジェクトマネジメントに必要な1つ目のスキルは、「大局を俯瞰する視野」です。どんなに綿密にプランを立てても、プロジェクトにトラブルは付き物。進捗が計画とズレること、メンバー間で対立が起こることなどは日常茶飯事です。複数のトラブルがまとめて起こることもあります。
このようなときでもプロジェクトの大局を俯瞰し、優先度や後々の影響が大きいものを見極め、解決の優先順位をつけなければなりません。
また、トラブルやミスを完全に防ぐことはできません。トラブルやミスは必ず起こるものと考え、余裕を持ったスケジュールを立てたり、あらかじめプランBを検討したりすることも重要です。
コミュニケーションスキル
プロジェクトマネジメントに必要な2つ目のスキルは、「コミュニケーションスキル」です。
プロジェクトマネージャーは、各タスクを実行するさまざまな専門職とコミュニケーションを取る立場にあります。メンバー間で認識・伝達の齟齬が生まれないよう、異なる職種同士がスムーズに共同作業できるよう、ハブの役割が求められます。
チームメンバーだけでなく、他部署やクライアント企業など、チーム外のステークホルダーとのコミュニケーションも必要です。
的確に情報伝達ができるのはもちろん、モチベーション管理や渉外など、さまざまなコミュニケーションスキルが求められます。
ディレクションスキル
プロジェクトマネジメントに必要な3つ目のスキルは、「ディレクションスキル」です。ディレクションも管理をする仕事ですが、マネジメントと比べ、より現場に近い立場で管理を行います。
プロジェクトで関わる各専門職と、その職域に関する基礎知識。リソース不足や進捗遅れの生じている工程を手伝うこともあるため、実務スキルも求められます。
マネジメントスキル
プロジェクトマネジメントに必要な4つ目のスキルは、「マネジメントスキル」です。ディレクションとマネジメントは「管理をする仕事」という意味で似ていますが、マネジメントでは経営的な観点が強く求められます。
ディレクションと比べ、予算管理やステークホルダーとの渉外、人事配置なども業務となります。そのためにも、市場や競合へのアンテナを張り続け、知識を常にブラッシュアップしなければなりません。
課題発見・問題解決能力
プロジェクトマネジメントに必要な5つ目のスキルは、「課題発見・問題解決能力」です。プロジェクトを進めていく中ではたくさんの課題や問題が出てくるでしょう。問題が起きた原因や対策方法、品質や効率を高めるための方法を見つける力が必要です。
どんな課題や問題が起こりそうなのか事前にイメージし、対処法を考えておくこと。データやチームの動きを分析し、問題の原因を特定するスキルが求められます。
ビジネス・経営に関する知識
プロジェクトマネジメントに必要な6つ目のスキルは、「ビジネス・経営に関する知識」です。チーム外のステークホルダーとも関わるプロジェクトマネージャーには、「プロジェクトにより生じる損益」への責任があります。
最終的な損益はどうなりそうなのか、ステークホルダーへの説明方法など、ビジネス・経営に関する知識が求められる場面は多いです。
開発に関する専門知識
プロジェクトマネジメントに必要な7つ目のスキルは、「開発に関する専門知識」です。近年ではオフラインで完結するサービスは少なく、オンラインでの活動が密接に関係しているといえます。プロジェクトマネジメントをするときにも、開発に関する知識が求められるシーンは増えているといえるでしょう。
その他、関わるプロジェクトの実務に関する知識がないと、各専門職とのコミュニケーションがうまくいきません。プロジェクトに関わる職域に関する基本的な専門知識が必要です。
プロジェクトマネジメントで重要な3つのポイント
プロジェクトマネージャーは、プロジェクトの成功に対して責任を取る立場にあります。すべてのステークホルダーと直接関わる職種であり、クライアントに対しては成果や利益を上げる責任が、チームメンバーに対しては能力を発揮できる環境をつくる責任があります。
そのうえで重要なのが、次の3つのポイントです。
<プロジェクトマネジメントで重要な3つのポイント>
- プロジェクトの目的を見失わない
- 組織として成果を上げることに注力する
- リーダーとしての自覚を持って取り組む
それぞれのポイントの詳細について紹介します。
1.プロジェクトの目的を見失わない
プロジェクトマネジメントで重要な1つ目のポイントは、「プロジェクトの目的を見失わない」ことです。プロジェクトの究極の目的は成果物を作ることではなく、その成果物で果たしたい目的を果たすことです。
例えば「経費の清算や出退勤の管理、各種申請などの事務作業を効率化するためのシステム」を開発するとしましょう。このシステムの目的は、「各部署の社員が事務作業にかける時間を減らし、本来業務に集中できる環境をつくること」です。
「効率化のための機能」を充実させることも大切ですが、機能が多すぎたり複雑だったり、使いづらいシステムになってしまってはいけません。このような不便さは、究極の目的である「本来業務に集中しやすい環境づくり」の妨げになってしまいます。
2.組織として成果を上げることに注力する
プロジェクトマネジメントで重要な2つ目のポイントは、「組織として成果を上げることに注力する」ことです。たいていのプロジェクトは、多人数・多領域の職種で構成されたチームで取り組みます。チームメンバーの強みを掛け合わせること、弱みを補い合うことで、組織としてより高い成果を上げられます。
一人ひとりの力量に固執したり、責任を追及したりするのではなく、チームとして力を発揮することが大切です。各々の得意・不得意を把握し、役割を分担し、全員が活躍できるチームビルディングを心がけましょう。
3.リーダーとしての自覚を持って取り組む
プロジェクトマネジメントで重要な3つ目のポイントは、「リーダーとしての自覚を持って取り組む」ことです。プロジェクトマネージャーは、チーム全体を統括するリーダーです。多くの場合、人望のある人材が登用されるため、メンバーからの期待も高いでしょう。
プレッシャーのかかる立場ではあるものの、リーダーが取り乱してはチーム全体が混乱してしまいます。
困難な状況にあっても冷静に振舞うこと、メンバーのミスは自分の責任でもあると自覚し、個人を執拗に責めないこと。メンバー同士が刺激し合い、シナジー効果が生まれる環境をつくることが、リーダーの仕事です。
プロジェクトマネジメントに役立つツールを積極的に活用しよう
プロジェクトマネジメントを進めるときには、マネジメントに役立つツールを積極的に活用することで効率化できます。
プロジェクトに関わる人数が増える際に課題となるのが「情報管理」です。チームでの情報共有をスムーズに行ったり、情報格差をなくしたりするためには、チーム内でFAQやナレッジベースを作成が求められます。
特別な技術がなくても使いやすく、かつクオリティの高いFAQを作成したい方は、「Tayori」の導入がおすすめです。
「Tayori」のFAQは、カテゴリごとに分類したり、タグを設定できたりなど検索性が高いナレッジベースを作成できるため、実用的。もちろん作成時には特別な技術は必要なく、直感的に操作できます。
パスワードやIP制限もできるので、特定のメンバーだけの共有も可能。安心して使えるでしょう。
無料プランもあるので、ぜひ「Tayori」をナレッジベースの作成・管理・運用に役立て、プロジェクト内で重要な情報を可視化してはいかがでしょうか。