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「小さくはじめる医療DX」Tayori導入で患者サポートの効率化・ペーパーレス化を実現【JA山梨厚生連】

   

山梨県厚生連健康管理センター(JA山梨厚生連)
企画広報部 企画広報課
志村直樹 氏

課題

・オンプレミス(自社保有の情報システム)での問い合わせ管理が不便
・問い合わせフォームが一つしかなく、種別ごとの対応・管理が難しい
・各種予約・申込の電話受付が多く業務負担が大きい
・パンフレットや健診結果表などでの紙の大量消費

解決策

・Tayoriのフォームで、問い合わせ管理だけ最小コストでクラウド化
・TayoriのFAQで、紙パンフレットの内容をそのままオンライン化

効果

・Tayoriのフォームにより電話受付が大幅に減少。健康診断全体の予約数も増加
・TayoriのFAQにより紙の消費量を削減。アクセシビリティの向上にも繋がる

 

JA山梨厚生連は、1977年にJA組合員やその家族、地域住民の健康管理・増進を図る目的で発足しました。健康管理センターを拠点とし、山梨県内で人間ドック、巡回健診、外来診療、健康教育活動に取り組んでいます。

同センターは利用者の増加に伴い、紙の大量消費をはじめとする数多くの業務課題を抱えていました。

「ハードルの低い間接業務から“医療DX”を進めています」同センター企画広報部の志村氏は語ります。Tayoriを導入しどのような業務改善を進めたのか、活用方法や具体的な成果を伺いました。

——山梨厚生連健康管理センターの事業内容について教えてください。

当センターは、JAグループが運営している公的医療機関です。山梨県内で人間ドックや施設内外での健康診断、外来診療などのサービスを提供しています。職員数は全体で300名ほどいます。

当センターが特に力を入れているのは、健診バスでの巡回健診です。健診バスで県内の市町村や事業所を日々まわっています。受診者数は市町村の一般健診が約5万人、事業所の職域健診が約1.7万人になり、問い合わせをされる方々も個人から法人、自治体まで多岐にわたります。

Tayoriを導入している「山梨厚生連健康管理センター」。

——志村様が所属されている企画広報部について教えてください。

企画広報部は、ウェブサイトやSNSの運営、広報誌の発行、イベントの企画運営のほか、一般の方々からの問い合わせ対応などを一括で担当している部署です。一般的な広報活動だけに留まらず、新規事業の立ち上げやデジタル施策の推進など新しい取り組みにもチャレンジしています。

Tayoriも主に企画広報部の4名で利用しており、FAQとフォームを随時作成しています。特にフォームは、企業向けの健康診断予約、イベント申込、求人エントリーなど、さまざまな用途で活用しています。

「ミニマムが良かった」クラウド化の先達は問い合わせ管理から

——Tayori導入の背景にあった課題を教えてください。

課題として、情報管理の不便さやコストの高さがありました。医療機関という特性上、日頃から秘匿性の高い医療情報を数多く扱います。近年医療のクラウド化が急速に進んでいますが、当センターではまだ医療情報はオンプレミスで管理しています。

ただ、医療情報ならまだしも問い合わせ情報もオンプレミスで管理しており、利便性に欠けるところがありました。なので、すべてセンター内のサーバーで抱えるのではなく、取り扱う情報に応じてクラウドサービスに移管していきたいという思いがありました。

また、Tayori導入前はウェブサイト内にフォームが一つしかなかったんです。いわゆる総合的な問い合わせフォームなのですが、各種サービスの予約窓口だと誤解される方もおり、利用する方々にとって非常にわかりづらい状態でした。

こうした背景があり、フォームを自由に作れるクラウドサービスを調べ始め、最終的にTayoriを導入するに至りました。

——Tayori導入の決め手はなんでしたか?

他ツールと比較して、いい意味でミニマムなのが良かったです。使い心地が良く、機能がシンプルに絞られており、なにより月々の料金が安い。重厚長大なツールを求めていたわけではないので、Tayoriのミニマムさが導入ハードルを下げてくれました。

加えて、パッと見たときの「親しみやすいトンマナ」も良かったです。当センターのウェブサイトは親近感が湧くような優しいデザインを意識しており、 Tayoriであれば違和感なく溶け込むと感じました。事前に他部署の方にも触ってもらいましたが、ウェブサイトとの親和性は評価が高かったです。

「電話減少」「予約増加」施設全体でフォームの効果実感

——情報セキュリティが厳しい環境だと思いますが、Tayoriのフォーム利用をどのように進めましたか?

まずは、総合的な問い合わせフォームで利用して、徐々にサービス予約やイベント申込などに利用範囲を広げていきました。Tayoriの効果を他部署も実感することで、導入が進んでいきましたね。

例えば、巡回型の企業健診の予約に大きな効果がありました。以前はほとんどの予約を電話で受け付けており、企業名、受診者名、受診会場などの細かな確認や変更が大変でした。

Tayori導入後は電話件数が大幅に減少し、予約受付がとても効率的になりました。また、結果的に企業健診全体の予約数も増加していき、受診される方にとってもフォームのほうが予約しやすいということが明確にわかりました。

最近では、各部署で自発的にフォームの活用が行われています。企画広報部が作ったフォームを参考にして、用途に合わせて自由にカスタマイズしてもらっています。

Tayoriで作成された厚生連のフォーム。(左)巡回健診申込(右)正職員エントリー

——アンケートでもTayoriを利用されているそうですね。

はい、年に一度の「受診者満足度調査」で利用しています。回答者が約2,000人と多いのでクラウドでの管理はやはりラクですね。

ただ、正確には回答者が直接Tayoriのアンケート機能を利用しているわけではなく、回答用紙にご記入いただいた内容を私たちがTayoriのフォームに入力して管理しています。非効率ではありますが、デジタルツールに不慣れなご高齢の受診者も多いので、より回答率の高い方法として紙への記入を続けています。

Tayoriで管理している理由は、大量の回答用紙を複数人で入力し管理するのに都合がいいからです。一度みんなで回答内容をTayoriに貯めて、その後CSVを出力して分析を行っています。手間のかかる暫定的なフローですが、従来のExcelでのアンケート集計と比べるとかなりスムーズになりました。

FAQを活用した「医療コミュニケーション」のペーパーレス化

——FAQも充実されていますが、どのような経緯で作成されたのでしょうか?

当センターは地球環境にやさしい医療機関を目指しており、FAQはペーパーレス化の一環として作成しました。受診者向けのパンフレットや健診結果表など、さまざまな案内で大量に紙を消費しているのが長年の問題でした。対策として当センター専用のスマホアプリを作ったり、QRコードを読み取って健診後の案内や注意事項などをスマホで見られるようにしたりなど、近年積極的にペーパーレス化を進めています。

当初はフォームのためにTayoriを導入しましたが、利用するなかで、FAQを活用すれば受診者向けの紙パンフレットを減らせるのではというアイデアが生まれたんです。

試しにFAQの機能を触ってみたところ、フォームと同様に使い心地が良く、フリーワード検索やタグ検索など検索機能が優れていると感じました。そこで、FAQを本格的に作って紙パンフレットの内容をまるっとオンライン化することになりました。

Tayoriで作成された厚生連のFAQページ「健診・人間ドック ポケットガイド」。

FAQを作ったことで、狙い通り紙の消費量を削減できました。また、スマホからリンク一つでいろんな情報に辿り着けるので、アクセシビリティの向上にも繋がっています。とても効果的な施策だったので、県内の市町村が配布している健康診断の紙資料でも同様のことができないか検討中です。

——Tayoriの各種機能を活用して“医療DX”を進めているんですね。

そうですね、FAQはちょっとした思いつきで始めましたが、いまでは多くの方に好評をいただいています。スマホに不慣れな方もいますので従来通り紙は残しつつ、将来的には当センターの医療コミュニケーションすべてでオンライン化を実現したいと考えています。

いま特に改善したいのは、健康診断後に推奨される「精密検査のやり取り」ですね。プロセスを説明すると、精密検査が必要と判断された場合、受診者には精密検査の依頼状(兼返書)を渡します。そして、受診者はそれを持って医療機関へ行き、精密検査を受けると診断名が確定します。

その後、受診先の医療機関から診断結果が書かれた返書が戻ってこないといけないのですが、未報告も多いんです。これにより、精密検査に関するさまざまなデータを正しく追えないという問題が生まれています。

健診機関・受診者・医療機関、三者間のコミュニケーションを紙ではなくオンラインでできれば、結果の報告や追跡がスムーズになりますよね。山梨県に限らず全国的な問題なので、先陣を切ってなんとかオンライン化ができないか模索しています。

現実的な打開策、医療DX推進のコツは「スモールスタート」

——次に取り組みたいカスタマーサポート施策を教えてください。

Tayoriの活用を改めて振り返ると、FAQで受診前後に関する情報を案内し、フォームで各種問い合わせにスムーズに対応できる体制をつくれました。

次のステップでは、チャットで気軽に健康相談ができるようにしたいと考えています。食事や栄養のアドバイス、適切な病院の紹介など、一人ひとりに寄り添ったダイレクトなコミュニケーションを強化していきたいですね。

健康診断の検査風景。チャットツールなどを導入し対面同様のオンラインコミュニケーションを目指す。

——業務改善を考えている医療従事者に向けて、最後にメッセージをお願いします。

最初はとにかくスモールスタートが良いと思います。医療業界は利便性よりもリスク回避を優先しがちなので、大きな改革は本当に進みづらいです。

なにかツールを導入したいのであれば、まずデモ版や無料プランを触ってみて、それがマッチするか試してみるといいと思います。一番小さく体験できるところから始めてみるだけで、新しい発見やアイデアが得られるものです。

Tayoriの導入でスモールスタートの大切さが身に染みました。カスタマーサポート一つとってもたくさんサービスがあるので、まずはいろいろ試してみるのが業務改善の第一歩ですね。

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