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「被害なし」が増えた今こそ、確認したいこと――1万社調査に見る、カスハラ対策「未着手3割」の中身

「被害ゼロ」が増えた今こそ、確認したいこと――1万社調査に見る、カスハラ対策「未着手3割」の中身

株式会社帝国データバンクは2026年10月26日、全国の企業を対象にした「カスハラに関する企業の実態調査」の結果を発表しました。

調査は2026年9月14日から30日にかけてインターネットで実施され、2万2,095社を対象に1万235社から有効回答を得ています(回答率46.3%)。

カスタマーハラスメント(カスハラ)の防止措置が全ての事業主に義務付けられた10月に、企業側の実態を大規模に捉えた調査と言えそうです。

被害は15.3%。それでも「ない」は増えている

同調査によると、直近1年以内にカスハラや不当な要求を受けた企業は15.3%で、前回調査(2024年6月)の15.7%からほぼ横ばいでした。

一方で、被害が「ない」と答えた企業は67.2%と前回より1.8ポイント上昇し、「分からない」は17.5%と1.3ポイント低下しています。

帝国データバンクは、被害「ない」の上昇について、認知の広がりが背景にある可能性を指摘。自由回答でも、「カスハラ」という言葉の浸透や、自治体が氏名公表の方針を示した後にクレームが減ったという声が紹介されています。

ただし、数字の上昇だけで被害が減ったと言い切ることは難しく、「被害を被害として認識できているか」も含めて見ていく必要がありそうです。

被害は「顧客と接する業界」に偏る

業界別に見ると、被害があった企業の割合は小売が31.1%で最も高く、金融26.8%、不動産21.4%、サービス20.3%と続きました。

一方、卸売は12.6%、製造は7.6%にとどまり、一般消費者と接するBtoC業界で被害が多い傾向がうかがえます。

企業規模別では、大企業が23.9%、中小企業が13.8%でした。

この結果は、同じ会社の中でも、窓口や電話、チャットなど顧客と直接やり取りする部署に負担が集中しやすいことを示唆しているとも読めます。

カスタマーサポートの現場にとって、カスハラは「会社全体の課題」であると同時に、「自分たちの部署に最も近い課題」でもあります。

「未着手3割」は、取り組みの“中身”にも表れている

何らかの対応策を実施・予定している企業は68.9%でした。

一方、「特に取り組んでいない」は29.7%にのぼります。規模別では、取り組みありが大企業で82.6%、中小企業で66.5%と、差が見られました。

取り組みの内訳(複数回答)を見ると、上位は「従業員への企業方針・対応ルールの周知」37.8%、「カスハラを容認しない企業方針の策定」28.6%、「相談・通報窓口の設置」27.2%でした。いずれも義務化で求められる基本的な措置にあたります。

一方で、下位には実効性や事後対応に関する項目が並びました。「再発防止策の実施」は8.1%(直近1年に被害を受けた企業でも18.3%)、「顧客・取引先への方針の周知」は6.8%、「カスハラ対応部署・担当者の設置」は6.5%です。

方針を決めて社内に周知するところまでは進んでも、起きた後にどう対処し、どう繰り返さないようにするかは、まだ手つかずの企業が多い様子です。

顧客対応の現場に引き寄せて考える

自由回答では、正当なクレームとカスハラの区別に苦慮する声が複数挙がっています。

BtoB業界では、元請けや取引先からのハラスメントに対応しにくいという意見もありました。方針があっても、現場の担当者が「今のやり取りはどちらにあたるのか」を一人で判断せざるを得ない状況では、対応が個人任せになりやすいと考えられます。

帝国データバンクは、対応を従業員個人に任せず、方針の策定、周知、相談体制、悪質事案への対処基準、再発防止策を一体的に整えることが求められると述べています。

カスタマーサポートの現場に置き換えると、たとえば次のような点が確認ポイントになりそうです。

  • 判断に迷ったときに、誰にどの時点でエスカレーションするかが決まっているか
  • やり取りの記録が残り、後から振り返れる状態になっているか
  • 対応した担当者へのフォローや、同様の事案を減らすための振り返りが行われているか
  • 顧客に対して、企業としての方針が事前に伝わっているか(6.8%と低い項目でもあります)

「整えた」の次は「機能しているか」を確かめる

今回の調査からは、義務化を機に基本的な措置は広がりつつある一方、約3割の企業が未着手であり、取り組んでいる企業でも事後対応や再発防止は手薄という二層の課題が見えてきます。

被害「ない」が増えたことは前向きな変化に見えますが、それが対策の成果なのか、認識の広がりによるものなのか、あるいは「分からない」ままの被害が残っているのかは、各社で確かめる必要がありそうです。

方針を整えたあとに、現場で本当に使えているかを定期的に点検する視点が、これからの顧客対応の土台になっていくのではないでしょうか。

出典:カスハラ対策、3割は未着手 対応方法に課題 被害企業は15.3% 被害「ない」は上昇、認知の広がりも背景か

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著者:Tayori Blog編集部

日頃からカスタマーサポートと向き合うメンバーが、問い合わせ対応の課題解決とビジネス成長を支援するため、カスタマーサポートや業務効率化に役立つ情報を発信しています。

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