「ユーザビリティ」とは?アクセシビリティの違いと5つの構成要素【改善のための調査方法も紹介】
ユーザビリティとは、簡単にいえば「ユーザーにとっての使いやすさ」を意味する言葉です。しかし、「使いやすさ」だけでは、ユーザビリティを表すのに不十分です。
本記事では、ユーザビリティの正しい意味と、構成要素を解説。ユーザビリティ改善に役立つ調査方法も紹介するので、自社サイト・サービスの改善にお役立てください。
「ユーザビリティ」の意味・定義とは?
ユーザビリティは、ISO(国際標準化機構)9241-11によると、次の3要素の度合いを示す言葉だと定義されています。
有効性:目標達成に対して有効か
効率性:目標達成にかかる労力の大小
満足度:不快感なく、快適に使用できるか
また、ISOを日本語訳したJIS(Japanese Industrial Standards )によると、以下のように定義されています。
特定のユーザが特定の利用状況において,システム,製品又はサービスを利用する際に、効果、効率及び満足を伴って特定の目標を達成する度合い
ユーザビリティを、単に「使いやすさ」と解釈している人も多いでしょう。間違いではないものの、単に使いやすいだけではユーザビリティが高いとはいえません。目的をスムーズに達成できるのかも重要なポイントとなります。
「ユーザビリティ」と「アクセシビリティ」の違い
ユーザビリティと似た言葉に、「アクセシビリティ」があります。両者には、「ユーザーにとっての使いやすさを目指す」という共通点があり、混同されることも多いです。
しかし、両者には「誰に対しての使いやすさを目指すか」の違いがあります。
ユーザビリティが目指すのは、想定したユーザーに対しての使いやすさです。20代に向けたサービスなら、20代のユーザーさえ使いやすく感じれば良く、10代の学生や中高年にとっての使いやすさは度外視します。
アクセシビリティが目指すのは、全てのユーザーに対しての使いやすさです。老若男女、障害を持つ人、誰にとっても使いやすいサービスを目指します。
「誰にとっても使いやすいサービスの方が良いのでは?」と思う人も多いでしょう。しかし、高齢者にとっても使いやすいサービスを目指した結果、20代にとっての使いやすさが損なわれてしまうこともあります。
ユーザー層が限定されるサービスならユーザビリティを、幅広いユーザーに利用して欲しいサービスならアクセシビリティを指標にすると良いでしょう。
ユーザビリティはどう評価する?5つの構成要素
ユーザビリティは、Webサイトやサービスの5つの構成要素によって評価されます。
- Learnability:学習しやすさ
- Efficiency:効率性
- Memorability:記憶しやすさ
- Errors:エラーの起きにくさ
- Satisfaction:満足度
より多くの要素を、高いレベルで満たしているほど、評価は高くなります。それぞれの要素について、詳しく見ていきましょう。
1.Learnability:学習しやすさ
「学習しやすさ」とは、機能や操作の覚えやすさ、わかりやすさを指します。シンプルなデザインや、直感的な操作性が、学習しやすさを高めます。初めてサービスを使うユーザーでも、マニュアルを見ずとも直感的に操作できるようなサービスを目指しましょう。
2.Efficiency:効率性
ユーザーが操作を覚えやすく、使うほど扱いやすくなっていくサービスは、「効率性」の高いサービスです。操作方法をシンプルにしたり、不要な機能を削ったりして、必要な操作が行いやすいように導線を工夫しましょう。
3.Memorability:記憶しやすさ
「記憶しやすさ」は、久しぶりにサービスを使ったユーザーが、以前と同じように使えるかを示します。閲覧済みのリンクが色違いで表示されたり、記憶に残りやすい操作方法にしたりなどの工夫ができます。
4.Errors:エラーの起きにくさ
「エラーの起きにくさ」は、基本中の基本。どんなに操作しやすくとも、エラーが頻繁に起こってしまっては、ユーザーは不快に感じます。エラーの発生率を下げ、エラーが起きても簡単に解決できるようにし、ユーザーに不快感を与えないようにしましょう。
5.Satisfaction:満足度
操作しやすさはもちろん、使っていて楽しいか、また目的を達成できたことで、ユーザーの「満足度」を高めます。サービスを利用する目的を正確に把握し、一人ひとりのユーザーが、目的を達成し、満足できるようなサービスを作りましょう。
ユーザビリティを改善したい!向上させるために行いたい5つの調査方法
ユーザビリティの評価要素がわかったら、各要素にポイントを絞り、効率的に改善していきましょう。次からは、ユーザビリティ改善に役立つ5つの調査方法を紹介します。
調査の内容を基に、Webサイト・サービスのデザインを変えたり、ユーザーに合わせて機能を調整したりしましょう。
1.実際にユーザーが使っているところをチェックする
まずは、実際にユーザーが使っているところをチェックし、ファーストビューで見つけたいものを見つけられているか、説明がなくても使い方がわかっているかを確認しましょう。
ファーストビューとは、Webサイトやサービスを開いたときに、最初に見える範囲のこと。ユーザーにとって「1番欲しい情報・機能」は何かを考え、すぐに目に入る位置に配置しましょう。
2.ヒューリスティック評価を行う
ヒューリスティック評価とは、UIやUXの専門家による、ユーザビリティ評価のこと。専門家の経験則(ヒューリスティック)に基づき、自社サービスのユーザビリティを評価してもらいます。ユーザビリティを高めるための、具体的なアドバイスももらえます。
3.アイトラッキング調査を行う
アイトラッキング調査とは、人の視線を追跡できる装置を使い、ユーザーが画面のどこを見ているかを分析する調査です。ユーザーの視線の動きを追い、分析することは、各要素の配置改善に役立ちます。ユーザーの見ている場所だけでなく、見ていない場所にも注目しましょう。
4.Analyticsから判断する
Analytics(アクセス解析)は、ユーザビリティの改善にも役立ちます。Analyticsにある情報からは、ユーザーがどんな人か(属性)がわかります。ユーザー属性に合わせてデザインや機能を改善していきましょう。ユーザビリティを高めるためには、次の要素に注目してください。
- 流入経路
- 住んでいる地域
- 使用デバイス
- 年齢や性別
- 訪問、利用頻度
- 興味のあるコンテンツ
5.ヒートマップを活用する
ヒートマップとは、Webサイトの「位置別の滞在時間」を基に、どの部分がよく見られているのかを可視化する手法です。サーモグラフィのWebサイト版とイメージすると、わかりやすいでしょう。
よく見られている部分や、マウスの行き来が激しい部分を赤くしたり、クリックやタップの多い部分を表示したりできます。
企業サイトのユーザビリティを上げるなら「よくある質問」の設置がおすすめ
ユーザビリティの正しい意味や評価要素を知ることは、ユーザビリティの改善に役立ちます。評価要素と、各要素の具体的な評価がわかれば、改善点も明確になるからです。まずは、評価の低い部分の改善に取り組みましょう。
企業サイトのユーザビリティを上げるなら、「よくある質問」の設置がおすすめです。知りたいことをすぐに調べ、悩みを解決できる「よくある質問」は、ユーザーの満足度を向上させます。
また、閲覧数の多い質問から、ユーザーが何に不満を感じているのかもデータとして見える化されます。企業サイトに、自社サービスのQ&Aを設置し、ユーザーが何に困っているかを探るのもおすすめです。
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カテゴリに合わせて内容を分類できるので、調べたい内容が簡単に見つけられるように。
タグを設定することも可能なので、「送料」「お届け日数」など特定の内容を確認したい場合、キーワードを入れて簡単に検索できます。
また、Tayoriではお問い合わせフォームの設置、お問い合わせの管理も可能。カスタマーサポートに必要なサービスが充実しています。
ぜひ、Tayoriを使ってユーザビリティの高いサイトを作成してみてはいかがでしょうか。
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