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コンプライアンス(法令遵守)とは?違反事例や強化する5つの方法を紹介

コンプライアンスとは

企業の価値を維持し、適切な企業活動を行ううえで今一度考えたいのが「コンプライアンス(法令遵守)」です。近年、企業に求められるコンプライアンスは厳しくなっており、法令のみならずモラルや倫理観も守らなければなりません。

本記事では、コンプライアンスについて解説。あわせて違反事例やコンプライアンス強化に関する5つの方法もご紹介しています。

コンプライアンスとは?

まずは、「コンプライアンス」の言葉の意味から確認していきましょう。

コンプライアンスの意味

コンプライアンス(compliance)は、日本語で法令遵守と訳します。言葉の意味をそのまま受け取ると法令を守ることとなりますが、近年ではモラルや倫理観のない言動もコンプライアンス違反に該当します。法令に違反しないからコンプライアンス違反ではないという認識は誤りです。

コンプライアンスの使い方

コンプライアンスはビジネスシーンでよく利用されます。正しい意味と使い方を覚えておくとよいでしょう。使い方の例には以下のような文章が考えられます。

  • コンプライアンスを意識した行動を心掛けましょう
  • コンプライアンスに該当する可能性があります
  • コンプライアンス的にNGですね
  • コンプライアンスの関係で、これ以上の情報はお伝えできません
  • 社員のコンプライアンス教育を重視していきます

コンプライアンスには、法令遵守・社会規範・倫理観の主に3つの意味があるので、文脈に応じた意味の使い分けを意識しましょう。

CSRとの違い

コンプライアンスという言葉とともに頻出するのが「CSR」です。CSRとは「Corporate Social Responsibility」の頭文字をとった言葉で、日本語に訳すと「企業の社会的責任」という意味を持ちます。CSR活動の一環として、環境保護や支援プログラムなどを行う企業も増えています。

企業の社会的責任が示す範囲は広く、もっとも重要なのはステークホルダーに対する責任です。その中でも、コンプライアンスを守ることは企業の社会的責任を果たすうえで根幹となる部分のため、CSRに取り組むには同時にコンプライアンスについても厳守する必要があるといえるでしょう。

コーポレートガバナンスとの違い

コンプライアンスと混同されがちな言葉として「コーポレートガバナンス」があげられます。コーポレートガバナンスとは、日本語で「企業統治」と訳されます。企業側が統治を行うのではなく、企業が健全な経営活動を行うために統制・監視されるのがコーポレートガバナンスです。この点は、間違った意味で覚えられることが多いため注意しましょう。

一方、コンプライアンスは法令遵守。つまり、法令を守り、倫理観のある行動をすることを意味しています。企業がコンプライアンスを遂行するためには、管理体制となるコーポレートガバナンスが必要で、両者は関係しあっているといえます。

コンプライアンスが重視される背景

コンプライアンスが重要な背景

近年、コンプライアンスが重視されている背景には、コンプライアンス違反の発覚しやすさが関係しています。企業の不祥事は日々発覚されており、「コンプライアンス違反倒産」も絶えません。次に、コンプライアンスが重視される背景を2つの視点から解説します。

企業の不祥事の増加

コンプライアンスが重視されている背景のひとつとして考えられるのが、企業の不祥事の増加です。近年、企業の不祥事はニュースで取り上げられる機会が増えてきています。そうした社会の動向を受け、各社でコンプライアンスに対する取り組みが重視されるようになってきているのです。

例えば、コンプライアンス違反のひとつである「不適切な会計・経理の開示企業」に関しては、2019年に不正を開示した上場企業は70社との調査結果(※1)が出ています。前年に比べると29.6%増加しており、件数は35.2%で過去最多の数字といわれています。件数のうち31件は誤りですが、28件は粉飾となっています。

経営者の危機感は高まっているものの、現場レベルの浸透はまだまだ完全ではありません。施策を整え、社員のコンプライアンス教育を早急に進めることが求められています。

※1:2019年全上場企業 「不適切な会計・経理の開示企業」調査

コンプライアンス違反で倒産する企業の数

コンプライアンス違反による企業の倒産は、数が減ってはいるものの以前として発生し続けているのが現状です。

2020年度の「コンプライアンス違反倒産」の件数は182件(※2)。前年度の225件に比較すると19.1%減少しています。なかでももっとも多いのが、粉飾によるコンプライアンス違反。その次が資金使途不正で、業法違反、雇用と続いています。

コンプライアンス違反による倒産は、今後経済が活性化する場面において増えてくると予想されています。特に労働問題に関する不正は増加傾向にあるため、景気が失速している2021年現在においては、よりコンプライアンス違反を抱える企業は増える可能性が考えられます。

コンプライアンス違反は、大小に関係なく企業の社会的信用を失います。全社員のコンプライアンスに対する意識を高めることで、倒産のリスクを軽減できるでしょう。

※2:企業の「コンプライアンス違反」倒産、9年ぶり200件割れ

コンプライアンス違反による4つのリスク

コンプライアンス違反は、企業の信頼を損なうことに繋がり、業績にも大きなダメージを与えかねません。場合によっては倒産する可能性もあるため、リスクはできるだけ避けておきたいもの。

次に、コンプライアンス違反による考え得る4つのリスクについて解説します。

リスク1.社会的信用の失墜

コンプライアンス違反による1つ目のリスクは、社会的信用の失墜です。

コンプライアンス違反をしたすべての企業が、テレビや新聞、Webなどでニュースとして報道されるわけではありません。しかし、業界内での評判はすぐに知れ渡りますし、場合によってはSNSで拡散される可能性も考えられます。

取引先や消費者にマイナスイメージを与えることになり、収益の低下にも繋がっていきます。売上が下がれば株主が離れていくことにも繋がり、会社の運営が難しくなることも。最悪の場合、倒産にいたるケースも考えられるでしょう。

リスク2.行政処分・罰則

コンプライアンス違反による2つ目のリスクは、行政処分・罰則です。

複数の意味を持つコンプライアンス違反のうち、法令に違反した場合、行政処分や罰則を受けます。行政処分とは、国や地方自治体から科せられる処分のこと。コンプライアンス違反を犯した社員に対して、以下のような処分が下されます。

  • 業務停止命令
  • 許認可取り消し
  • 過料および課徴金
  • 措置命令
  • 改善命令

どの処分が科されるかは、違反の種類や程度にもより一概には言えませんが、場合によっては倒産にもつながるような罰則もあることを理解しておきましょう。

リスク3.損害賠償

コンプライアンス違反による3つ目のリスクは、損害賠償です。

損害賠償責任は、例えば取引先や顧客の情報を外部に漏洩してしまった際などに発生します。刑事事件として立件され、企業に罰金刑が科された場合の損害賠償金は、小額でも数百万円、高額になると数億円にものぼります。これは民事事件も同様です。

企業の規模によっては、経営に大きな打撃を与えかねません。

リスク4.企業風土への悪影響

コンプライアンス違反による4つ目のリスクは、企業風土への悪影響です。

そもそもコンプライアンス違反が起こる背景には、社内の環境が関係しています。不正を行うことが当たり前になっている環境では、社員一人ひとりがコンプライアンスの意識を持って働くことは非常に困難。ひとつの不正がさらなる不正を誘発し、社内風土として形成されてしまいます。

コンプライアンス違反が続く企業では離職率もあがり、優秀な人材を採用することも難しくなります。よい人材が採用できなければ、収益などが低下し、企業力も落ちていく原因になりかねません。

このようにコンプライアンス違反は、企業を負のサイクルに導くものだと認識し、厳格に対処していく必要があることを認識しておきましょう。

コンプライアンス違反となる事例

コンプライアンスが重要な理由

コンプライアンス違反は、さまざまなシーンで発生します。そのほとんどが意図的かつ悪質なものです。次に、コンプライアンス違反となる事例を5つご紹介します。

従業員に対する違反事例

年間で起こっているコンプライアンス違反のなかで、労働問題に関する事件は上位に位置しています。

具体的な事例としては、サービス残業、賃金の未払い、交通費の支給がされていないことなどです。これらは労働基準法違反に該当するといえるでしょう。

また、労働組合が労働環境についての改善を求めるも要求には応じず、組合員に対して脅迫とも受け取れる行為を行うなども当然コンプライアンス違反となります。

消費者に対する違反事例

消費者に対する違反とは、消費者に不利益を被るような企業活動のこと。

架空の口コミを作成したり、商品とは無関係の写真を利用したりするなどの虚偽広告、誇大広告の配信。悪徳商法などが例として挙げられます。

投資家に対する違反事例

投資家に対する違反とは、投資家の公正な経済活動を阻害したり、制限したりするコンプライアンス違反のこと。内部者取引や損害補償などありますが、もっとも多いのは粉飾決算です。

業績に伸び悩んだ末に粉飾決算が起きるケースが多く、社内で常態化しているケースも見られます。このような事態を避けるために、コーポレートガバナンスによる管理体制をしっかり整えることが求められます。

競合・市場に関する違反事例

競合・市場に関する違反とは、企業の公正な競争を妨げるコンプライアンス違反のこと。取引先制限や差別的取扱、知的財産権侵害などがあります。

知的財産権に関する争いは、非常に判断が難しいところです。インターネットでの活動が企業・個人ともに活発な現代では、今後も頻発することが考えられるでしょう。制作や開発に関わるメンバーへの法的知識、コンプライアンスへの知識を促すことが求められます。

地域・環境に関する違反事例

地域・環境に関する違反とは、住環境に影響を与えかねないコンプライアンス違反のこと。工場災害や環境汚染、産業廃棄物不法処理などがあります。

政府・国際関係に関する違反事例

政府・国際関係に関する違反とは、クリーンな政治の実現を妨げるコンプライアンス違反のこと。贈収賄、脱税、虚偽報告、操作妨害などがあります。

コンプライアンス違反が起こる3つの原因

コンプライアンス違反は、企業のイメージに大きなダメージを与え、社会的信用も失ってしまいます。経営者、役員、一般社員の誰でも違反を起こす可能性があるため、まずはコンプライアンス違反が起きてしまう原因を知り、一つひとつ対策を行う必要があるでしょう。

次に、コンプライアンス違反が起こる3つの原因について解説します。

原因1.法的知識の不足

コンプライアンス違反が起こる1つ目の原因は、法的知識の不足です。

企業には、遵守するべきさまざまな法令があります。例えば、人事労務に関する法律では「労働基準法」や「労働組合法」。取引に関する法律であれば「民法」、私的な独占や取引は「独占禁止法」を守りながら、企業経営を行わなければなりません。

企業に所属するのであれば、経営者や役員だけでなく一般社員にも、最低限の法的知識を学んでもらう必要があります。どんなケースがコンプライアンス違反に該当するのか、外部の専門家と共に勉強会を開くなどを検討してみましょう。

原因2.法令遵守の意識や倫理観の不足

コンプライアンス違反が起こる2つ目の原因は、法令遵守の意識や倫理観の不足です。

コンプライアンス違反は、個人の意識の甘さにより起こるものと考えられていますが、その考えベースを作るのは社内環境です。コンプライアンス違反が複数発覚した場合は、不正が起こりやすい環境になっている可能性が非常に高いと考えられます。

例えば、経営者や役員がコンプライアンス違反を行っており、それを隠蔽するのが常態化していれば、一般社員も法令遵守の意識が低くなるのは避けられません。正常な判断をするための倫理観もなくなり、社内で不正が横行するようになってしまいます。

原因3.罰則や仕組みの不足

コンプライアンス違反が起こる3つ目の原因は、罰則や仕組みの不足です。

コンプライアンス違反が起こってしまう企業では、不正した社員に対する罰則がきちんと決められていないケースも多く見られます。もちろん明らかな法令違反であれば行政から罰則の処分を受けますが、法的な罰則が科せられない場合もあります。その際は、企業が定めた罰則に則って処分を行いましょう。

また、コンプライアンス違反を未然に防ぐ仕組み作りも重要です。機密情報へのアクセスを複雑にしたり、社員の相談窓口を作ったりするなどの対策が考えられます。

社内コンプライアンスを強化する5つの方法

コンプライアンスを強化する方法

社内コンプライアンスを強化するには、いくつかの方法が考えられます。どれもコンプライアンスを未然に防ぐために重要な対策です。本項では、社内コンプライアンスを強化する5つの方法を解説します。

1.社内規定の見直し

社内コンプライアンスを強化する1つ目の方法は、社内規定の見直しです。コンプライアンス違反を予防するのに大きな役割を果たします。

社内規定を決める際は、目的・適用範囲・定義を最初に決めましょう。特に、適用範囲や定義に関しては認識が浅い社員も少なくないため、この点を明らかにするだけでもコンプライアンス違反の防止が期待できます。

2.コンプライアンスに関するマニュアルや標語の作成

社内コンプライアンスを強化する2つ目の方法は、コンプライアンスに関するマニュアルや標語の作成です。

コンプライアンスマニュアルは、基本理念や行動規範、行動基準をもとに作成します。基本理念とは、企業理念のこと。企業が社会に存在する意義や、社会に対してどのように貢献できるのかを社員に改めて認識してもらうために必要です。

行動規範は、特定の状況下において適切な言動を取るための道標です。シンプルであるほどわかりやすく、社内への浸透も早くなるでしょう。そして行動規範を現場レベルまで落とし込み明文化したのが行動基準です。行動基準はできるだけ具体的に用意しましょう。

3.コンプライアンス研修を行う

社内コンプライアンスを強化する3つ目の方法は、コンプライアンス研修の実施です。コンプライアンスマニュアルを配布し、読み込んでもらった後、全社を対象に研修を行います。倫理観やモラルの欠如によるコンプライアンス違反を未然に防ぐ内容にするのがよいでしょう。

マニュアルだけでは不十分のため、外部からコンプライアンスに詳しい専門家を呼び、研修を行うのがおすすめ。コンプライアンス違反となる言動をしないためにはどうしたらいいのか、社員一人ひとりに考える習慣をつけてもらうため、定期的に開催するのもよいでしょう。

4.内部統制の構築

社内コンプライアンスを強化する4つ目の方法は、内部統制の構築です。内部統制とは、健全に業務を遂行するための仕組みを指します。目的はいくつかありますが、そのうちのひとつがコンプライアンスです。

内部統制とは、例えば「出張の精算には事前の承認と領収書の添付が必須」などのルールです。企業の内部で適用されるルールをを整備し、正しく運用することが求められます。文書化されているのが一番ですが、コンプライアンスを未然に防げていれば、文書にまとめられている必要はありません。

5.ホットラインの設置

社内コンプライアンスを強化する5つ目の方法は、ホットラインの設置です。

ホットラインとは、内部通報の受付窓口のこと。コンプライアンス違反は、できるだけ早期の発見や対応が重要なため、上司や同僚の不正などを気付いた社員が通報しやすい環境を整えておくのは、企業にとってメリットに繋がります。

ホットラインは、社内ではなく社外に設置するのが一般的。電話やWebなど多様な受付手段を用意すると、社員が使いやすくなるでしょう。ホットラインに対応するのは、コンプライアンスの専門家。通報者のプライバシーを保護しつつ、通報内容を客観的事実に沿って把握し、企業に報告するのが基本的な流れです。

コンプライアンスの強化は、社内への情報共有から

コンプライアンス違反を未然に防ぐための対策はいくつかあります。なかでも取り組みやすいのは、社内への情報共有でしょう。社員一人ひとりにベースとなる法的知識を身に付けてもらう機会を作り、全社でコンプライアンス意識を高めることで、公正かつ適正な経営活動のベースが作られます。大きな不正が起きてしまう前に、まずは全社員への情報共有を始めましょう。

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