TOP物質物-39:電子電気機器の部品上にグリース又は潤滑油が付着したものをchemSHERPAで情報伝達する際は、化学品又は成形品のどちらとして報告すればよろしいでしょうか?(公開日:20250502)
最終更新日 : 2025/05/08

物-39:電子電気機器の部品上にグリース又は潤滑油が付着したものをchemSHERPAで情報伝達する際は、化学品又は成形品のどちらとして報告すればよろしいでしょうか?(公開日:20250502)

 グリース又は潤滑油が付着した電子電気機器の部品等をREACH規則及びCLP規則において取り扱う仕方については、ECHAのガイダンス:the Guidance on requirements for substances in articles 1)にその判断フローと事例集が掲載されています。対象とする物体の持つ機能に対して、その中の物質又はその物体の形状、表面及びデザインのどちらがより寄与度が高いかによって判断することになっています。中の物質の寄与度が大きければ、その物体は「物質」として扱われ、物体の形状、表面及びデザインの寄与度が大きければ、その物体は「成形品」として扱われます。
  しかし、上記ガイダンスにおける事例集の数は限定されており、他にも判断が困難なボーダーラインケースが想定されます。その後、HelpNet、フォーラム、ECHA事務局の代表者で構成される、成形品に含まれる物質のボーダーラインケースに関する作業部会(BWG)によってこの問題が検討されました。
そのメンバーが合意した他のボーダーラインケースに関するガイダンス(Catalogue of borderline cases between articles and substances-mixtures) 2)が、編纂され公表されています。本ガイダンスは、今後さらに事例や評価が追加される予定です。
 このガイダンスのP10にエンジン上の潤滑油及び自動車部品上のグリース/オイルに関する判定が記載されています。判定は、Integral part of the article 、即ち統合化された成形品として扱われます。REACH規則における登録及びSDS作成は不要であり、かつCLP規則の有害性分類及びラベルも対応も不要です。REACH規則の第33条のSVHCの情報伝達、第7条(2)の届出及びREACH規則の制限、更にPOPs規則の対応だけが要求されます。
 このカタログに収載されているボーダーラインケースの主な事例:
 水溶解性プラスチックフォイルバッグ
 カイロ(Heat patch or pack)
 車のエアーフレッシュナー
 エンジン上の潤滑油及び自動車部品/スチールケーブル上のグリース/オイル
 遊戯場に敷き詰められるプラスチック又はゴム製の顆粒
 永久磁石 
 銀/酸化アルミニウム(Ag/Al2O3)触媒
 エアバッグインフレータ(エアバッグ用のガス発生装置)
 はんだ付け用又は溶接用金属ワイヤ
 絶縁電線(electric insulated wire)
 絶縁電線を持つ電機ケーブル(Electrical cable with insulated wires)
 マッチ
 ポケットライター
 穴のあいた紙製のコーヒーフィルター
 多孔質のトランスバーサル(マイクロ)ろ過膜(Porous transversal (micro) filtration membrane)
等の事例についての法解釈が解説されています。

 参考文献
1) Guidance on requirements for substances in articles June 2017 Version 4.0
https://echa.europa.eu/documents/10162/23036412/articles_en.pdf/cc2e3f93-8391-4944-88e4-efed5fb5112c
2) Catalogue of borderline cases between articles and substances-mixtures
https://echa.europa.eu/documents/10162/17240/borderline_cases_substances_articles_catalogue_en.pdf/869ddf1b-288c-2265-88ee-b5dffdbdc684

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