包装材はchemSHERPAの管理対象基準であるREACH規則の規制対象ですので、包装材中の物質は、chemSHERPAにおける情報伝達の対象になります。
ECHAのアーティクル中の物質に対する要求事項に関するガイダンスの中で、包装材はREACH規則におけるアーティクルであるとされており、それに含有される規制物質は、その他のアーティクルに対するのと同様の要求事項が適用されると記載されています。
包装材は、REACH規則第33条の情報伝達の対象になります。包装材における規制物質の閾値は、本ガイダンスに従って各アーティクル毎に計算されます。1)
その他の規制への対応について
・REACH規則の制限について
上記ECHAのガイダンスにおいて、包装材は、REACH規則におけるアーティクルとされており、その他のアーティクルに対するのと同様の要求事項が適用されるとされています。従って、包装材は、REACH規則の制限におけるアーティクル規制の対象になります。
ECHAのQ&A(ID:1564)において、REACH規則附属書XVIIのエントリーは、REACH規則の定義を満足する物体を包含するとされており、当該エントリーが複数のアーティクルから構成される複合物体を言及する場合は、その個々のアーティクル中の物質が規制されるとされています。
この場合、規制物質の閾値の考え方は、上記ECHAのガイダンスに従うことになります。
・POPs規則について
POPs規則におけるアーティクル規制に関して、第2条(2)におけるアーティクルの定義は、REACH規則の第3条(3)における定義を参照しており、REACH規則に準ずるとされているので、包装材もPOPs規則におけるアーティクル規制の対象となります。
POPs規則におけるアーティクル規制に関しての規制物質の閾値の考え方は、附属書Iにおける規制物質がアーティクルに含有される場合の濃度閾値の計算方法に関して、ECHAヘルプデスクのRegulatory Support Teamより回答を得ています。
それによると、アーティクルの物質の含有量の計算については、ECHAガイダンス:the Guidance on requirements for substances in articlesを参考にできるとされています。
chemSHERPA FAQ 物-14参照のこと
従って、最近、POPs規則附属書Iに追加されたUV-328及びまもなく追加されるデクロランプラスの閾値は、上記ECHAガイダンスに準じて計算することになります。
・RoHS指令について
RoHS指令のFAQにおいて、包装材はRoHSの規制の対象外であることが記載されています。2)
この場合の、包装材の定義は、以下の欧州包装材規則((EU) 2025/40)における「包装材」の定義に準ずるとされています。
・欧州包装材規則((EU) 2025/40)について
欧州包装材規則((EU) 2025/40)は、現状、chemSHERPAの管理対象基準ではありませんので、基本的にはその規制物質はchemSHERPAに収載されません。しかし、規制対象の4種の重金属(鉛、カドミウム、水銀及び六価クロム)については、chemSHERPAの管理対象物質ですのでchemSHERPAでの情報伝達が可能です。
欧州包装材規則においては、この4種の重金属の閾値は包装材中でのその合計値が 100 mg/kg未満とされています。
その他、欧州包装材規則においては、食品接触包装材に限定された以下のPFASの含有量の閾値制限があります:3)
(a)ターゲット分析で検査された個々のPFASについて25ppb(ポリマー型PFASを除く)。
(b)前駆物質の事前分解が可能な場合、個々のPFASの合計が250ppb(ポリマー型PFASを除く)。
(c) PFAS(ポリマー型PFASを含む)について50 ppm。総フッ素量が50 mg/kgを超える場合、REACH規則の第3条、ポイント(9)、(11)及び(13)に各々、定義された製造者、輸入者又は川下使用者は、要請に応じて、本規則の第3条(1)、ポイント(13)及び(17)に各々定義された製造者又は輸入者に対して本規則の附属書VIIに定める技術文書を作成するための、PFAS又は非PFASの含有量として測定されたフッ素の含有量の証拠を提供しなければならない。
本規則におけるPFASは、以下で定義されます。本PFAS定義は、2023年3月22日に提案されて、現在、審議中のREACH附属書ⅩⅦを修正する(PFAS規制)委員会規則草案におけるPFASの定義と同じです。
現在のchemSHERPAには本定義に該当するSN番号はまだ作成されていません。
PFASの定義:
‘PFAS’ means any substance that contains at least one fully fluorinated methyl (CF3-)
or methylene (CF2-) carbon atom (without any H/Cl/Br/I attached to it), except
substances that only contain the following structural elements: CF3-X or X-CF2-X’, where X=-OR or -NRR and X’=methyl(-CH3), methylene(-CH2-), an aromatic group, carbonyl group(O)-), -OR’’, SR’’ or -NR’’R’’’ and where R/R’/R’’/R’’’ is ) or methylene (-CF X-CF 2-X′, where X = -OR or -NRR′ and X′ = methyl (-CH3 ), methylene (-CH2)
an aromatic group, a carbonyl group (-C (O)-), -OR′′, -SR′′ or –NR′′R′′′; and where R/R′/R′′/R′′′ is a hydrogen (-H), methyl (-CH3 ), methylene (-CH2)、an aromatic group, a carbonyl group (-C (O)-).
参考文献
1) Guidance on requirements for substances in articles June 2017 Version 4.0のURL(20250804)
https://echa.europa.eu/documents/10162/23036412/articles_en.pdf/cc2e3f93-8391-4944-88e4-efed5fb5112c
2) RoHS 2 FAQ
Synopsis of Questions to be Answered 20
3) REGULATION (EU) 2025/40 OF THE EUROPEAN PARLIAMENT AND OF THE COUNCIL of 19 December 2024 on packaging and packaging waste, amending Regulation (EU) 2019/1020 and Directive (EU) 2019/904, and repealing Directive 94/62/EC
https://1863753.fs1.hubspotusercontent-na2.net/hubfs/1863753/JP-Images/2025/01/PDF_JP_2025/TUV-Rheinland-JP-OJ-EU202540-PPWR-Document-JA.pdf
