知らないうちに違反しているかも?「景品表示法」について最低限知っておきたい3つの項目
景品表示法とは、不当な広告や表示から、消費者を守るための法律のこと。商品やサービスの表示(販促行為、広告物や成分表示)に対して規制を設け、不当な表示を規制しています。
広報やマーケティングに携わる人は、必ず知っておきたい法律です。
本記事では、景品表示法の概要と、法令順守のために知っておくべき要点を解説。知らないうちに違反してしまわないよう、景品表示法の内容をきちんと理解しましょう。
そもそも、「景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)」とはどんな法律?
景品表示法(不当景品類および不当表示防止法)とは、商品やサービスの「表示」を規制する法律です。
「表示」とは、商品やサービスの価格や内容の表示、売るためのあらゆる販促物(行為)を指します。具体的には、次の8つが「表示」にあたります。
- チラシやパンフレット、カタログ
- 容器、パッケージ、ラベル
- ダイレクトメール、ファクシミリ広告
- ディスプレイ、実演広告
- 新聞、雑誌、出版物、テレビやラジオのCM
- ポスター、看板
- 訪問や電話によるセールス
- インターネット広告、メール
まずは、景品表示法がどんな表示を禁止しているのか、確認してみましょう。
過大な景品・プレゼントの提供を禁止
景品表示法では、過大な景品やプレゼントの提供を禁止しています。
景品やプレゼントとは、商品のオマケや、商店街・ショッピングモールの福引などが当てはまります。
商品価格に対して、適正な価格のオマケ(景品・プレゼント)を提供することは、問題ありません。
ただし、オマケとして適正な価格には限度が定められ、限度を超えたオマケをつけることは違法となります。どの程度まで法律で認められているのかは、後ほど詳しく説明します。
一般消費者の不利益になる表示を禁止
景品表示法は、一般消費者を過大な広告・表示から守るために、一般消費者に対して不利益になる表示を禁止しています。
不利益になる表示とは、消費者に勘違いをさせたり、事実と異なる認識をさせたりする表示のこと。
簡単にいえば、「消費者を騙そうとする表示を禁止している」ということです。
景品表示法について特に知っておくべき3項目
景品表示法とは、過大な景品やプレゼントの禁止。そして、一般消費者が正しく商品について判断できるように、表示について規定をしていることが概要です。
では、景品表示法を守るために、具体的に知っておきたい細かなルールはどのようなものがあるのでしょうか。
「知らないうちに違反していた」とならないよう、要点を抑え、景品表示法を遵守できるように注意しましょう。
1.消費者に品質を勘違いさせる「優良誤認表示・不実証広告規制」」
景品表示法では、商品やサービスの品質を実際以上によく見えるように勘違いさせるような表示を禁じています。
消費者に勘違いさせるような表示の規制には、「優良誤認表示」と「不実証広告規制」の2種類があります。
優良誤認表示とは?
優良誤認表示とは、商品やサービスが実際の商品や競合他社の商品よりも「著しく優れている」と誤認させるような表示です。
「著しく」に明確な線引きはなく、「社会一般の許容範囲を超えているか否か」で判断されます。
合理的な根拠を示せないような表示を避けることで、優良誤認表示を避けることが可能です。商品やサービスの「品質」「規格」「その他内容」を客観的根拠を示せるかを基準に、表示を見直すといいでしょう。
参考:消費者庁「優良誤認」
不実証広告規制とは?
不実証広告規制とは、「優良誤認表示」と思われる商品やサービスに対して、表示内容を裏付ける根拠となる資料の提出を求められる制度です。
資料の提出は、消費者庁から文書で求められます。正当な理由がある場合を除き、文書交付から15日以内に、資料を提出しなければなりません。
2.価格や取引条件を勘違いさせる「有利誤認表示・二重価格」
景品表示法では、商品やサービスそのものだけでなく、価格や取引条件を勘違いさせるような表示も禁じています。
価格や取引条件を勘違いさせる表示は「有利誤認表示」と呼ばれ、不当な「二重価格」の表示も禁じられています。
有利誤認表示とは?
有利誤認表示とは、価格や取引条件が、消費者にとって著しく有利であるように見せかける表示のこと。
他社サービス・商品と自社サービス・商品を事実に反する内容で比較したり、おとり広告を使ったりする表示が、有利誤認表示にあたります。
事実に反する内容で比較とは、「自社は最もお得になる割引を適用」「他社が自社よりもお得にならないように、割引内容を調整」のような条件で、比較を行うことをいいます。
なお、景品表示法では、次の6つに関する告示が定められています。
- 無果汁の清涼飲料水等
- 商品の原産国
- 消費者信用の融資費用
- おとり広告
- 不動産のおとり広告
- 有料老人ホーム
参考:消費者庁「有利誤認とは」
参考:事例でわかる景品表示法 消費者庁不当景品類及び不当表示防止法 ガイドブック(9、10ページ)
二重価格とは?
二重価格とは、通常価格と、期間限定価格やセール価格を並べて表示することです。正当な二重価格は問題にならず、不当な二重価格のみ禁じられています。
不当な二重価格とは、例えば「実際以上に高額な通常価格とセール価格を並べる」「セール価格と表示しながら、実際は本来の価格」などの表示を指します。
参考:消費者庁「二重価格表示」
3.プレゼントや景品類の制限
景品表示法では、商品やサービスに対して、過大なプレゼントや景品を提供(付与)することを禁じています。
過大な景品提供とは、簡単にいえば、「商品やサービスを売るために、とても豪華なオマケを付ける」ようなことです。
「一般懸賞」「共同懸賞」「総付景品」それぞれに、限度額が定められています。それぞれの限度額は以下からご確認ください。
【一般懸賞】
一般懸賞における景品類の限度額 | ||
懸賞による取引価格 | 最高額 | 総額 |
5,000円未満 | 取引価格の20倍 | 懸賞に係る売上予定総額の2% |
5,000円以上 | 10万円 |
【共同懸賞】
共同懸賞における景品類の限度額 | |
最高額 | 総額 |
取引価格にかかわらず30万円 | 懸賞に係る売上予定総額の3% |
【総付景品】
総付景品の限度額 | |
取引価格 | 景品類の最高額 |
1,000円未満 | 200円 |
1,000円以上 | 取引価格の10分の2 |
参照:事例でわかる景品表示法 消費者庁不当景品類及び不当表示防止法 ガイドブック(13、14ページ)
景品表示法に違反したときのデメリット・リスク
景品表示法に限ったことではありませんが、法律を違反すれば、それ相応の報いを受けることになります。
景品表示法に違反したときのデメリットやリスクについて、具体的に見ていきましょう。
社会的信用が落ちる
景品表示法はもちろん、法律に違反した企業の社会的信用は、当然落ちます。また、景品表示法の違反は刑事訴訟法に基づき、訴訟されることになります。
企業・社会人の責任として、法令順守を心がけましょう。
課徴金の支払い
景品表示法を違反すると、課徴金の支払いが発生します。
課徴金は、景品表示法に違反していた行為と期間に基づき、算定されます。
まずは「違反による売上額」が算定され、売上額に3%をかけた金額の合計が、課徴金額です。
次のような計算式で、求められます。
(違反による売上額) x 1.03 = (課徴金額)
あわせて知っておきたい「公正競争規約」
公正競争規約とは、景品表示法を遵守するために、事業者(団体)が自主的に定めるルールのこと。消費者庁長官や公正取引委員会の認定を受けた事業者(団体)が、ルールを定められます。
景品表示法は、どんな業界・業種にも適用される法律です。しかし、すべての業界に対して「アウト・セーフの明確な線引き」を設けることは、現実的ではありません。
だからこそ、各業界の事業者(団体)が、自主的に具体的なルールを定めて「公正競争規約」としています。
業界のことを最も知り、適切なルールを定められるのは、実際に業界で事業をしている事業者だからです。
公正競争規約を遵守している場合は、「公正マーク」や、店頭に会員証などを掲示できます。
参考:事例でわかる景品表示法 消費者庁不当景品類及び不当表示防止法 ガイドブック(19ページ)
知らなかったでは済まない!社内に「景品表示法」の認知を広めよう
景品表示法に限らず、どんな法律も「知らなかった」では済まされません。
知らずに違反してしまったとしても、違反は違反。課徴金の支払いや、社会的信用の失墜は、避けられないことに。
事業者は、自らルールを調べ、法律を守り、公正にビジネスを行う責任があります。
特に景品表示法は、マーケティングや広報、営業など様々な部署が関連する重要な法律だといえるでしょう。
まずは企業としてルールを正しく把握し、全社員に情報を共有するようにしましょう。
ルールを一覧化し、管理する際には、株式会社PR TIMESが運営する「Tayori」を活用すると便利です。
導入事例:PR TIMES 当社テレワーク対応
Tayoriの「よくある質問(FAQ)」機能を使うことで、「優良誤認」「有利義認表示」などのカテゴリ別にあわせた規則を分類可能。
タグを設定することも可能なので、従業員が「二重価格」「景品」など特定の内容を確認したい場合、キーワードを入れて簡単に検索できます。
景品表示表のルールを管理するためにも、従業員に周知させるためにも使えるTayori。ぜひ活用してみてはいかがでしょうか。