経営やマーケティングにおいて「ベンチマーク」を設定するメリット、デメリットと調査方法
マーケティングをしているときに「ベンチマーク」という言葉を聞いたことはありませんか。言葉は知っていても、内容は詳しく知らないという方も多いのではないでしょうか。本記事では、ベンチマークの意味や設定するメリット、デメリット、調査方法まで紹介いたします。これからベンチマークを設定しようとしている方は、ぜひ参考にしてみてください。
マーケティング・経営における「ベンチマーク」の意味とは
マーケティングや経営において「ベンチマーク」とは、「比較のための指標や基準」という意味です。
経営戦略やマーケティング施策などは、自社だけで前年度と比較するよりも、他社と比較した方が自社の課題や改善するべき点に気が付きやすいものです。比較対象とする企業がベンチマーク企業と呼ばれます。
ベンチマークとKPI・KGIの違い
「ベンチマーク」と「KPI・KGI」の意味の違いについて気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。KGI(Key Goal Indicator)は、最終的な目標を定量的に表す指標のことです。KPI(Key Performance Indicator)は、KGIを達成するための中間目標を表す指標です。
ベンチマークは外部の会社と比較して考える手法に対し、KPIやKGIは、内部の目標を数値化して考える手法だというところに違いがあります。
ベンチマーク企業と自社の比較をした上で、KPIを設定するといった方法で手法を使い分けることがおすすめです。
ベンチマーク企業をつくるメリット
「分析をするときにはベンチマーク企業を設定した方がいい」と聞いたことがあるのではないでしょうか。具体的に、ベンチマークを設定するメリットは何があるのでしょうか。
比較することで自社に不足している部分や問題点がわかる
ベンチマークを設定する1つ目のメリットは、比較をすることで自社に不足している部分や問題点がわかることです。
自社のみを見ていると、どの部分が問題になっているのか把握することは難しいものです。しかし、比較することによって不足している部分や、必要なことがわかってきます。他社と比べて劣っている点や、自社の伸ばすべきポイントが知れるというのは大きなメリットだと言えるでしょう。
他社分析をすることで様々な施策を学べる
ベンチマークを設定する2つ目のメリットは、他社分析をすることで様々な施策を学べることです。
例えば、「前年度より利益率が5%上がって15%になった」と評価された施策があったとしましょう。ところが、競合他社を分析してみると「利益率30〜40%のところがほとんどだった」など、自社では気付いていなかったことを学べたり、新たな優良施策が発見できたりすることもあります。
様々な施策の中でも、マーケティング施策はトレンドもあるため、他社はどのような施策をしているのかを知っておくことで、トレンドに乗り遅れないようになります。他社と差をつけるためだけではなく、競合に差をつけられないようにするためにも、ベンチマークは役に立つといえるでしょう。
ベンチマーク企業をつくるデメリット
ベンチマーク企業を設定することはメリットだけではなく、もちろんデメリットもあります。具体的には、ベンチマーク企業を意識しすぎてしまうと、戦略の幅や施策の幅が狭まる可能性があるという点です。
常にベンチマーク企業を意識した行動が染み付いてしまうと、ベンチマーク企業の戦略や施策を真似するばかりで、自社でのオリジナルな戦略や施策を描くことができない体質となってしまう可能性があります。
あえて、ベンチマーク企業を設定せずに、他社の動向に左右されることなく、ゼロベースで企業の戦略や施策を考える経営者もいます。
ベンチマークする企業の調査・設定方法
次に、ベンチマーク企業の設定方法や、調査方法について確認してみましょう。
同等規模の競合他社が一般的
ベンチマーク企業は同等規模の競合他社に設定することが一般的です。
明らかに自社よりも規模が小さい会社よりも、自社よりも業績を上げている企業や急成長している企業など、参考にするべき点がありそうな企業をピックアップしましょう。
ない場合は異業種や優良企業でもOK
同等規模の競合他社が見つからない場合は、異業種の同等規模の企業や、同業種の優良企業をベンチマークにしましょう。
規模やターゲットが違いすぎる場合、施策を参考にしにくくなってしまいます。できるだけ同等の規模や似たような属性の人をターゲットにしている企業を見つけることがポイントです。
一方、規模が大きくて直接比較にならない場合でも、業界のトップ企業から学べることも多いものです。憧れの企業・目標とする企業もベンチマークしておくこともおすすめです。
定期的に分析する機会を設ける
ベンチマーク企業を設定した後は、定期的に分析をする機会を設けましょう。
特に注目している企業に対しては毎月、優良企業として長期的に観察したい場合は四半期に1回など、分析する期間を決めましょう。ベンチマークの分析は緊急で行わないといけないタスクではないため、忙しい場合後回しにしてしまいがちです。そのため、「毎月最初の月曜日の15時〜16時」など具体的な日時を決めて、カレンダーに予め登録して予定をあけておくこともおすすめです。
分析するときには、売上や利益率、業界でのシェア率、マーケティング施策などの情報を集めましょう。
また、組織作りの方法や人材、商品やサービスの内容についても継続的に分析することで変化に気づくことができるでしょう。
ベンチマーク企業を分析してさらなる飛躍を
ベンチマーク企業を設定することにはメリット、デメリットがあり、自社の状況に応じて設定するかの判断をする必要があります。ベンチマーク企業を設定すると、自社に不足している部分や問題点を学べたり、マーケティングをはじめとする様々な施策を参考にできたりするなど、メリットがたくさんあります。
ベンチマーク企業を設定していない場合は、同等規模の競合他社や優良企業の中からベンチマークする会社を見つけて、試しに定期的に分析する機会を設けてみてはいかがでしょうか。きっと、自社では気がついていなかった新たな問題点や、優良な施策を見つけられるでしょう。ベンチマーク企業を設定し分析することで、さらなる飛躍を目指しましょう。