スタートアップ必見!伝わるプレスリリースのつくりかた、PR TIMESが教えます
スタートアップがサービスを世の中に広めるため、有効な手段の一つがプレスリリース。とはいえ広報担当者がいなければ、どうすれば良いプレスリリースが作れるのかわかりません。
今回はPR TIMESの江口学氏に、「伝わる」プレスリリースのつくりかたを聞いてきました。
(聞き手 Tayoriのおたより編集部)
プレスリリースとは?
プレスリリースには以下のような情報を流すことができます。
- 新商品や新サービスの発表
- 新店舗/新サイトオープン発表
- 調査リリース
- 一般向けイベントの開催発表
など、内容はさまざまです。
プレスリリースは作って届けることが重要
プレスリリースを打つときにすることは大きく分けて3つ。
- プレスリリースをつくる
- プレスリリースを届ける
- プレスリリースを拡散させる
この3つです。
伝わるプレスリリースの基本
それでは早速、プレスリリースのつくりかたを見ていきます。
プレスリリースはタイトルからはじまり、リード文や目標・今後の方向性、問い合わせ先などを掲載します。
日付・宛名・社名から始まり、タイトル/リード文/背景・経緯の説明/目標・今後の方向性/サービス概要/報道問い合わせ先。この基本形を参考にしてください。
- 【PDF】Tayoriローンチ時のプレスリリース(1.2MB)
詳しく解説していきます。
効果的なプレスリリースにする2つの必須要素
効果的なプレスリリースを作るために、必ず押さえておきたい2つのポイントがあります。
- 画像を使用し、一目でわかるリリースにする
- タイトルとリード文だけで内容を理解できるようにする
1. 画像を使用し、一目でわかるリリースにする
画像を使用することで、そのプレスリリースがWebサービスのものなのか、ガジェットなのか、スマホアプリなのか。読み手に一目で伝えることができます。
2. タイトルとリード文だけで内容を理解できるようにする
タイトルとリード文が魅力的でなければ内容は正しく理解してもらえません。タイトルとリード文に命をかけましょう。
この2点は最低ライン。さらに魅力的にするために5つのテクニックが使えます。
プレスリリースをさらに魅力的にする5つのテクニック
画像とタイトル・リード文だけを意識するだけでもグッと読みやすくなりますが、さらにPR効果を高める5つのテクニックがあります。
- タイトル冒頭に商品名は記載せず、機能・特徴を冒頭にもってくる
- URLは冒頭、リード文はコンパクトにして、ファーストビューで画像が見えるようにする
- サービスが導く未来感を表記する
- 画像、イラストの選別にもこだわる
- そのリリースを見れば問い合わせをする必要がないように、情報は出し惜しみしないようにする
1. 機能・特徴をタイトル冒頭にもってくる
タイトル冒頭に商品名を記載してはいけません。そのサービスの持つ機能や特徴などをタイトル冒頭にもってくると良いでしょう。
以下の例を参考にしてください。
Tayoriのプレスリリースタイトル例
2. ファーストビューで画像が見えるようにする
ファーストビューで画像が見えるようにプレスリリースを構成しましょう。リード文での離脱を防ぐことができます。
3. サービスが導く未来感を表記する
プレスリリースを受け取るメディアが上場企業に期待することと、スタートアップに期待することは違います。
プレスリリースを受け取るメディアがスタートアップに期待していることはズバリ、「未来感」。サービスが世の中を変える、既成概念を打ち破るかもしれないという未来感を感じる文章にしましょう。
4. 画像、イラストの選別にもこだわる
プレスリリースは、ブログのように画像を際限なく使えるわけではありません。使う画像はこだわりましょう。
5. そのリリースを見れば問い合わせをする必要がないようにする
自分たちでプレスリリースを作成すると抜けやすいポイントです。プレスリリースは情報の網羅性が生命線。そのプレスリリースを見るだけですべての情報が把握できるように心がけるべきです。情報の出し惜しみはしないようにしましょう。
プレスリリースの届け方
良いプレスリリースが作れたら、作成したプレスリリースをメディアやユーザーに対して届けます。方法は主に3つです。
- 知り合いの記者に送る
- メディアの代表デスクにメール、FAX、郵送で送る
- プレスリリース配信サービスを活用する
知り合いの記者・メディアの代表デスクに送るのが最も良い
最も効果が高い届け先は、「1. 知り合いの記者」「2. メディアの代表デスク」です。普段からメディアとの関係構築を心がけましょう。
しかし、そもそも記者やデスクの連絡先を知らないと、リリースが届けられません。仮に連絡先を知っていたとしても、ごく少数の記者にしか情報を伝えることができません。
プレスリリースの配信サービスを活用しよう
そこで、これからPR活動を開始するスタートアップはプレスリリースの配信サービスを活用してみると良いでしょう。配信サービスを使えば、パブリシティ獲得やマスコミ招致、SNSでの言及数増加、ニュースアプリ・キュレーションメディアへの掲載なども期待できます。
良いプレスリリースの作り方、届け方を学んできました。それでは、正しく届いたプレスリリースが拡散される(バズる)ためにはどういう点を気をつければ良いのでしょうか。
プレスリリースを拡散させる
拡散最適化されたプレスリリースの作り方を学びましょう。
PR TIMEの江口氏によると、モバイルからの流入数(PV)は2014年度にPCを逆転。2013年から1年間の成長率は、216%にものぼります。
以下のグラフを見ると、PCは2013年~2014年にかけて、522万人減の-9%の伸び率に対し、スマートフォンは、1172万人増の+41%の伸び率となっています。インターネットへの入り口は、PCからスマートフォンへ移行しているといっていいでしょう。
スマホで読みやすいリリースが拡散する
プレスリリースもモバイルで読まれる時代なのです。スマホでの拡散を意識しましょう。
メディアは多様化しています。TwitterやFacebookなど、個人が情報を発信、メディア化しつつあります。プレスリリースはいまやメディアだけのものではありません。メディアを重視してリリースをつくることよりも、ユーザーにとって、よりわかりやすい表現が求められています。
スタートアップによる、良いプレスリリースの例
スタートアップが行った模範的なリリースとして、株式会社ハウスマート社のリリースを見てみます。同社は2014年創業の企業であり、ユーザー同士が直接マンションを売買できる「ハウスマート」というサービスを提供しています。このリリースはハウスマートのβ版を案内するものです。
機能・特徴をタイトル冒頭にもってくる
タイトル冒頭には、
ユーザー同士が直接マンションを売買することが可能となる
と端的にサービスの特徴について触れられています。
また記事上部を読んで離脱する読者を想定し、上部にURLを用意していますが、これもテクニックの1つ。リンクの上部配置によりCTRが上がります。
リード文はコンパクトにして、ファーストビューで画像が見える&未来感
続いてリード文。
テクノロジーを活用した【次世代の不動産市場】を目指します
本文中にも「社会背景」や「開発の狙い」「今後の展望」について記載され、社会にとって重要なサービスであることを客観的に示しています。良いプレスリリースです。
イラスト・グラフを多用
またイラスト・グラフを用いてサービスの機能・特徴をわかりやすく図示し、理解度を高める工夫がなされています。
プレスリリースが大きくバズった
結果、このプレスリリースは約16,000PV・600いいね・100を超えるツイートを獲得。さらに元オリンピック選手の為末大さんにツイートされた(為末さんのツイートは100RT!)こと、グノシーやスマートニュース、LINE NEWSといったソーシャル系ニュースメディアへ掲載されるなど、大きくバズりました。
まとめ: メディアがスタートアップに求めるのは未来感
記者・メディアは読まれるために記事を書くので、情報が広がるかどうかは、
情報発信主体の大きさ × ネタの新規性・おもしろさ
で決まります。認知度が高い企業のリリースのほうが読まれやすいのですが、小さい企業でもおもしろいネタがあれば記者の心はくすぐられます。
ネタの未来感で勝負するしかない
繰り返しになりますが、メディアが「起業家・スタートアップ・ベンチャー」に期待していることは、世の中の既成概念を打ち破るかもしれないという「未来感」です。
大企業のまねをしても圧倒的注目は期待できません。そこで起業家の人間力やサービス、情報開発力等の「ネタ」で勝負するしかありません。
未来感にとらわれすぎても良くない
ですが、あまりにも未来感にとらわれすぎて以下のような失敗を犯しがちです。
記者に書いてもらいたいからとやりすぎてしまう例はよく見かけます。プレスリリースは工夫して目立たせるべきなのですが、そもそも理解に苦しむような内容は御法度です。
【コラム】パブリックリレーション(PR)とはなにかを考えよう
より良いプレスリリースを打つために、そもそもパブリックリレーション(PR)とはなにかを考えましょう。
そもそもPRとは「パブリック・リレーションズ」の略。日本語で言うと「公的に信頼や理解を得ていく継続的な企業の活動」をさします。実はPR会社の人間でもズバッと言える人は少なかったりします。
昔は「いかに自社を社会に語るべきか」が主でした。それが、「何を、社会に語るべきか?」へと変化し、そして現代は「何を、社会のためになすべきか?」へと進化し、企業の本質的なあり方が問われているのです。プレスリリースを打つ際に、根本的なPRの考え方を肝に銘じておくと良いでしょう。
まとめ
プレスリリースはひとつのコンテンツです。コンテンツの持つ魅力をキチンと整理し、見極めたうえでのアウトプットが必要です。
これまでプレスリリースを配信してもメディアに上手く掲載してもらえなかったスタートアップの方々が、この記事で何となく理由を探れれば幸いです。
PR TIMESはTayoriという新しいコミュニケーションサービスを公開中です。コミュニケーションに課題を抱えているスタートアップの方は、プレスリリースとあわせて使ってみてください。
なお、PR TIMESでは、プレスリリース配信が無料になる「スタートアップチャレンジ」プログラムをご提供中です。設立2年以内のスタートアップの皆さまのプレスリリースをお待ちしております。