ナレッジ共有とは？メリットと成功させるポイントを解説

公開：2024/05/08 16:01

カスタマーサポート

ナレッジ共有は「ノウハウの資産化」であり、企業の成長や生産性の向上を目指すうえで欠かせない取り組みです。個人のなかに閉じたノウハウを形式知にし、積極的に社内に共有することで、業務の効率化、従業員のスキルアップ、属人化の防止などさまざまなビジネスインパクトを創出できます。

本記事では、ナレッジ共有の概要、行うメリット、成功させるポイント、さらにはナレッジ共有にオススメなツールを詳しく解説します。

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ナレッジ共有とは

まず、ナレッジとは、「知識」「知見」などの意味を持つ英単語「knowledge」をカタカナ表記した和製英語です。ビジネスシーンにおいては、「有益な情報」「付加価値のある知識」などの意味合いを含んで使われます。

つまり、ナレッジ共有とは、社内にある有益な情報をまとめ全従業員に共有することを意味します。ナレッジ共有によって企業の成長や生産性の向上を促す経営手法を「ナレッジマネジメント」と呼びます。

ナレッジ共有の基本

ナレッジ共有の基本は、「暗黙知から形式知への変換」です。暗黙知は個人が持つ知識やノウハウなどを指し、形式知はテキストや図表などでデータ化された知識を指します。そして、暗黙知を形式知に変換するプロセスを「表出化プロセス」と呼びます。

表出化によって、暗黙知を誰もが吸収できる状態となり、企業の資産として蓄積・活用ができるようになります。

ナレッジ共有が注目される背景

ナレッジ共有が注目される背景には、業務の属人化や働き方の多様化などが挙げられます。社歴の長いベテランスタッフは頼りになる存在ですが、ナレッジ共有を怠ると、その人にしかできないという属人化が生じてしまいます。また、近年導入が進むリモートワークやフレックスタイム制は、従業員間のコミュニケーションが減りやすいという特徴があり、業務のノウハウがより個人のなかに閉じてしまうリスクが付きまといます。

そのため、全従業員が意識的にナレッジ共有を行い、個人の知識や経験を企業の知的資産に変えていく表出化が求められます。ナレッジ共有が成功すれば、業務の効率化、属人化の防止、従業員一人ひとりのスキルアップなど大きな成果が期待できます。

ナレッジ共有を行うメリット

ナレッジ共有を行うメリットとして、次のようなものが挙げられます。

業務の効率化

ナレッジ共有を行うことで、従業員一人ひとりの業務を効率化できます。ナレッジを集積した場所（ナレッジベース）を設けることで、従業員が自由に検索・参照でき、業務のなかで疑問が生じてもスムーズに自己解決ができます。

また、ナレッジの浸透が進むことで業務品質のばらつきが減り、効率的な分業ができるようになります。なにかトラブルが発生したとき、通常業務は一時的に他スタッフに手伝ってもらい、自分はトラブル対応に専念するといった臨機応変な体制をとれます。

従業員のスキルアップ

優秀なスタッフ、ベテランスタッフが持つナレッジを蓄積し、資料やマニュアルに落とし込むことで、全従業員のスキルアップを図れます。従業員間の能力差が埋まっていけば、会社全体の業務品質の底上げにもつながります。

共有するナレッジは、コンピテンシー（優れた成果を創出する個人の能力・行動特性）だけではなく、さまざまな失敗事例もあると尚良いでしょう。失敗の原因を振り返り、改善策などを共有することで、組織全体で同様の失敗を起こりにくくすることもできます。

また、ナレッジがまとまった資料やマニュアルは、新人向けの教材としても活用できます。研修やOJTの実施前に予習をしてもらうことで、当日の理解度が格段に上がり、早期の戦力化や教育担当の負担軽減が期待できます。

属人化の防止

業務の属人化にはデメリットが多くあります。その人が不在の場合業務がストップしたり、顧客からの問い合わせに周囲のスタッフが対応できなくなったりします。さらには、トラブル時の隠蔽工作や、特定の顧客だけを贔屓してルール外の優遇をするなど、会社の信用を損ないかねない問題に発展する可能性もあります。

属人化による問題を未然に防ぐためにも、全従業員が意識的にナレッジ共有を行うことが重要です。うまく共有がなされていれば、業務をサポートし合う体制をつくることもでき、いつも決まった人が残業するというムラを減らせます。

他部署との連携強化

ナレッジ共有は他部署との連携強化にもつながります。他部署が持つナレッジを自由に確認できれば、部署の垣根を越えて、スムーズにコミュニケーションが取れるようになります。部署間の協働が加速することで、社内のコミュニケーションコストを削減できたり、新たなアイデアを創出できたりします。

他部署との連携は、組織の拡大と共に取りづらくなるものです。ナレッジ共有によって部署間の連帯意識を育むことは、会社全体の競争力の向上に直結するといえます。

顧客満足度の向上

顧客対応の内容もナレッジといえるので、漏れなく蓄積・共有することが重要です。顧客ニーズ、受け答えの事例、過去のクレームの経緯などをマニュアルとしてナレッジ化すれば、顧客対応における品質のムラをなくすことができます。誰が担当者であっても一定水準の対応を受けられるというのは、顧客満足度の向上には欠かせません。

また、ナレッジを活かすことで、顧客の求める情報をよりスピーディーに提供できたり、顧客ごとに最適な提案ができたりするなど、顧客満足度を高める行動を取りやすくなります。

ナレッジ共有を成功させるポイント

ナレッジ共有を成功させるポイントとして、次のステップで進めるのがオススメです。

①　担当者を決める

まずは、ナレッジ共有を推進する「担当者」を決めるところからはじめます。ナレッジ共有は一朝一夕で実現するものではなく、しっかり時間をかけて、社内にナレッジを共有する文化を根付かせる必要があります。

担当者は、ナレッジ共有の意義を周知し、仕組みを整え、定着に向けて現場を統率していく役割を担います。そのため、業務経験の豊富なベテランスタッフから担当者を選出するのが望ましいでしょう。

②　ナレッジ共有の方向性を明確にする

次に、ナレッジ共有の「方向性」を明確にします。ナレッジ共有の目的、共有するナレッジの種類や範囲、共有時のテンプレートなどを固めます。

どこまでの情報を共有するかの範囲設定では、「目的に沿った情報はなにか」を見極めることが大事です。担当者が中心となって、現場のニーズを確認しながら対象となる情報を固めていきましょう。

③　ナレッジ共有の運用ルールを回す

ナレッジ共有の方向性が整ったら、後は従業員を巻き込んだ「運用」が鍵を握ります。日々ナレッジを獲得するのは各スタッフであり、彼らの意識やモチベーションが低ければ、一向にナレッジ共有は進みません。そのため、運用ルール＝仕組みづくりが重要になります。

運用ルールを考えるうえで、従業員の「業務に組み込む」のがポイントです。定期的に共有するタイミングや内容を決め、テンプレートに沿って書いてもらいます。例えば、目標達成に関するナレッジは毎月必ず共有するというルールをつくれば、業務の一つとして組み込まれ、共有がルーティーン化されるでしょう。

④　ナレッジ共有を促すツールを導入する

最後に、ナレッジ共有をより加速させるために「ツール導入」を検討しましょう。WordやExcelといったローカル環境が基本の業務ソフトだと、情報の更新や社内への共有がしづらく、ナレッジ共有が思うように定着しません。

ナレッジ共有を効率的かつ快適に進めるには、ナレッジ共有ができるツールで環境を構築するのがオススメです。

ナレッジ共有にオススメなツール

ナレッジ共有にオススメなツールとして、次のようなものが挙げられます。

グループウェア

グループウェアは、従業員間のコミュニケーションや業務連携をスムーズに行うためのツールです。メールやチャット、ファイル共有、スケジュール管理、社内申請などの多彩な機能を備えています。場所や時間に囚われずに各プロジェクトの状況を把握でき、自分が知りたい情報を持っているスタッフを探し出すこともできます。

社内SNS

社内SNSは、従業員のみが利用できる社内専用のSNSツールです。業務での気付きや学び、日々の出来事や思い出などを、SNSの特性を活かし気軽に投稿（共有）することができます。投稿に対してリアクションやコメントを送ることができ、社内コミュニケーションの活性化にも大きく貢献します。

社内wiki

社内wikiは、インターネット辞典「Wikipedia（ウィキペディア）」になぞらえて、社内のナレッジをまとめ、従業員が自由に検索・参照できるツールです。本家のWikipediaにならってシンプルで使いやすく、膨大なナレッジも手軽に一元管理することができます。

社内FAQシステム

社内FAQシステムは、業務や会社のルールに関するFAQ（よくある質問・回答）をまとめ、従業員に向けて公開できるツールです。業務のなかで疑問が生じたとしても、社内FAQを検索・参照することでスムーズに自己解決ができ、会社全体の業務効率を高められます。適宜FAQの編集・追加が行えるため、会社の変化に合わせて柔軟にナレッジをアップデートできます。

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