外部環境の変化が早い現代社会において、新規事業の立ち上げは「長期目線でのリスクヘッジ」ともいえます。新規事業の立ち上げを通して、環境やニーズの変化に対応できる「柔軟な組織」が育ちます。
本記事では新規事業の立ち上げが重要な理由から、「初めて新規事業の立ち上げをするので、何から手をつけていいかわからない」という方に向けて立ち上げのプロセス、事業を成功させるために必要な5つのことを紹介します。
新規事業を立ち上げることの重要性
新規事業の立ち上げには、「新しい収益源の確保」「資産の有効活用」などのさまざまなメリットがあります。現代社会においては、「長期的なリスクヘッジ」「人材の能力や主体性を育てる」といったメリットにも注目すべきでしょう。
これからの時代を生き抜くうえで、新規事業を立ち上げることは重要です。
外部環境の変化に対応し、長期的にリスクヘッジをする
現代はかつてないほど変化のスピードが早い時代だといえます。企業にとっての外部環境、つまり「市場」は絶えず移り変わっていきます。新しい市場、今までとは違う市場に対応するために、新規事業の立ち上げは欠かせないことです。
たくさんの投資を必要とする新規事業の立ち上げは、短期的にはリスキーに見えるかもしれませんが、長期的にはリスクヘッジになります。
優秀な人材を育成する機会になる
新規事業を立ち上げることは、経営者視点を持った優秀な人材を育てることにもつながります。特にボトムアップ型(社員から経営層へアイデアを提案する方式)では、イノベーティブな風土の醸成にも役立ちます。
高い主体性を持ってアイデアを出せる環境や、失敗から学んでいける環境をつくることで、新規事業の立ち上げも人材育成も、よりスムーズに進みます。
新規事業立ち上げを進めるプロセス7ステップ
既存事業への依存度が高い企業ほど、「新規事業を立ち上げるといきなり言われても、何から手をつけていいかわからない」と感じるかもしれません。
新規事業を立ち上げる際には、次の手順のように細かなプロセスに分けて構想を固めていくのがおすすめです。
★新規事業立ち上げの7ステップ
- 新規事業立ち上げの担当者を決定する
- 事業の理念やコンセプト・ビジョンを明確にする
- 市場調査・事業調査を行う
- 顧客のニーズを検討する
- 事業モデルを検討する
- 事業計画を立てる
- 適切な人材をアサインして実行する
それぞれのステップの詳細を紹介します。
STEP1.新規事業立ち上げの担当者を決定する
新規事業を立ち上げる最初のプロセスは、「新規事業立ち上げの担当者を決定する」ことです。まずは事業を立ち上げ、推進する中心人物を決めます。
コンテスト形式で事業アイデアを募り、良さそうなものの発案者をそのまま担当者に据えるのもいいでしょう。この方法には、「多様なアイデアを集められる」「発案者という熱量の高い人物を担当者にできる」といったメリットがあります。
STEP2.事業の理念やコンセプト・ビジョンを明確にする
新規事業を立ち上げる2つ目のプロセスは、「事業の理念やコンセプト・ビジョンを明確にする」ことです。市場やユーザーのニーズに応えることも大切ですが、「その事業を、なぜ自社がやるのか」という軸も欠かせません。軸を持つことで自社の強みを活かし、市場でのポジションをより確立しやすくなります。
そのためには、企業理念や既存のビジネスと照らし合わせながら、新規事業のコンセプトとビジョンを模索することが有効です。
STEP3.市場調査・事業調査を行う
新規事業を立ち上げる3つ目のプロセスは、「市場調査・事業調査を行う」ことです。市場や競合他社を調査し、どのようなニーズがあるのか、何が障害になりそうなのかを分析します。
ここではインタビューやアンケート、街頭調査などのさまざまな手法を用い、たくさんのデータを集めましょう。
STEP4.顧客のニーズを検討する
新規事業を立ち上げる4つ目のプロセスは、「顧客のニーズを検討する」ことです。市場調査や事業調査、アンケートやインタビューで集めたデータを分析し、顧客のニーズを探ります。顧客本人も自覚できていない本質的かつ潜在的なニーズ(顧客インサイト)を掴むことを意識すると、より深い分析・検討ができるでしょう。
ここで気をつけたいのが、「客観的であること」です。特に、特定の課題への当事者意識が強い場合は、独りよがりになったり、感覚頼りになったりしてしまいがちです。客観的かつ定量的なデータを元にし、冷静な判断をしていきましょう。
STEP5.事業モデルを検討する
新規事業を立ち上げる5つ目のプロセスは、「事業モデルを検討する」ことです。どんなに良いアイデアでも、企業として持続的に取り組む以上、マネタイズ方法を検討する必要があります。
どのようにマネタイズをするのか、利益は出るのかについて検討する必要があります。次の事業計画を立てるときに、収支計画についても検討します。
STEP6.事業計画を立てる
新規事業を立ち上げる6つ目のプロセスは、「事業計画を立てる」ことです。次のようなフレームワークを使うと、計画を具体化しやすいでしょう。
■ビジネスロードマップ
大きな目標を達成するまでの、起こりうる問題とその解決策、中間目標を抽出する手法
■リーンキャンバス
顧客の課題や主要指標、コスト構造などの9項目を軸に考える手法
■ロジックツリー
マインドマップのような形式で、計画や問題を細かな要素に分解する手法
これらの方法については、以下の記事で詳しく解説しています。市場調査やアイデア出しに使えるフレームワークも紹介しているので、新規事業の立ち上げに関わっている方はぜひご確認ください。
新規事業のためのフレームワーク22選|アイデア・立ち上げ・評価するための方法を紹介
STEP7.適切な人材をアサインして実行する
新規事業を立ち上げる7つ目のプロセスは、「適切な人材をアサインして実行する」ことです。STEP6で立てた計画をもとに、どんな人材がどのくらい必要なのかをハッキリさせ、人選をします。
詳しくは後述しますが、それぞれ異なる強みを持つ人材を、最低限の人数でアサインするのがベターです。
新規事業の立ち上げを成功させるために必要な5つのこと
ゼロから起業して事業を起こすことに比べ、新規事業を立ち上げることには「既存のリソースやブランド力を活用できるメリット」があります。このメリットを活かすことは、新規事業を成功させるうえで重要です。次の5つのことを意識すると、成功が近づくでしょう。
★新規事業の立ち上げを成功させるために必要な5つのこと
- 自社の強みを活かす
- 必要なリソースを把握する
- 必要最低限の人材をアサインする
- 補助金や助成金を検討する
- 事業撤退ラインを決めておく
次に、それぞれの詳細について紹介します。
1.自社の強みを活かす
新規事業の立ち上げを成功させるために必要な1つ目のことは、「自社の強みを活かす」ことです。既存の生産・流通・販売のライン、社内に蓄積されたノウハウなど、活かせるリソースはないか探してみましょう。
既存顧客のセグメントや、自社の顧客になってくれている理由を分析することも、自社の強みを把握する際に有効です。
2.必要なリソースを把握する
新規事業の立ち上げを成功させるために必要な2つ目のことは、「必要なリソースを把握する」ことです。事業計画や収支計画を立てる際に、各工程でどのくらいのリソースがいるのかを明確にします。
「ヒト・モノ・カネ・情報」の4要素を軸に、それぞれ何が、どのくらい必要なのかを考えましょう。実際に計算の計画書を作成することで、見える化していくことがおすすめです。
3.必要最低限の人材をアサインする
新規事業の立ち上げを成功させるために必要な3つ目のことは、「必要最低限の人材をアサインする」ことです。新規事業の立ち上げ段階からたくさんの人材をアサインするのはおすすめできません。人数に比例してマンパワーは大きくなりますが、コミュニケーションスピードや濃度は落ちてしまいます。
マンパワーやコミュニケーションスピードのバランスを考えると、立ち上げ当初は少数精鋭の2〜3人チームがベターだといえます。
4.補助金や助成金を検討する
新規事業の立ち上げを成功させるために必要な4つ目のことは、「補助金や助成金を検討する」ことです。補助金・助成金は国や自治体などの公的機関による支援制度で、返済不要な事業資金が手に入ります。
手続きや審査にそれなりの手間はかかりますが、ノーリスクで資金調達できます。また、審査をクリアすることは、公的機関に事業が認められたことになるため、社会的な信用を向上させることにもつながります。
新規事業の立ち上げだけでなく、雇用や事業の維持に役立つものも多いです。資金調達を考えるとき、まずは使えそうな補助金・助成金がないかを確認するとよいでしょう。
5.事業撤退ラインを決めておく
新規事業の立ち上げを成功させるために必要な5つ目のことは、「事業撤退ラインを決めておく」ことです。どんな事業にも、成功する保証はありません。新規事業での損失が大きくなり、企業全体の経営を圧迫するような事態は避けるべきです。
投資を始めた後は、サンクコスト(投資した時間や費用などのコスト)のため意思決定が難しくなってしまいます。あらかじめ撤退ラインを設けておけば、損失を最低限に抑えられるでしょう。「これ以上は後がない」というラインを設定することで、立ち上げメンバーの覚悟も決まります。
新規事業の立ち上げを成功ポイントを押さえて実行しよう
新規事業を立ち上げることは、変化の多い現代社会において、長期目線でのリスクヘッジになります。移ろい続ける市場に対応するために、企業も変わり続けなければなりません。
新規事業の立ち上げは「新しいニーズに対応する」という意味でも、「変化に対応できる優秀な人材を育てる」という意味でも重要です。
ゼロからの起業と異なり、新規事業の立ち上げでは活用できる資産が多くあります。リソースやブランド力、マーケティング力など、自社の強みを見極めることから始めましょう。
新規事業は失敗するリスクも大きいため、大量のリソースを注ぎ込むのはリスキーです。まずは最低限の人材をアサインすること、撤退ラインを決めておくことなど、リスクヘッジも意識するなど、本記事で紹介したポイントを押さえて実行に移してみてはいかがでしょうか。
また、新規事業を成長させるためには、顧客の声を事業に活かしていくことも重要なポイントです。スモールスタートする場合や、β版のリリースであっても、顧客との接点は必ず構築するようにしてください。
簡単にカスタマーサポートを構築させたい場合は、株式会社PR TIMESが運営するカスタマーサポートツール「Tayori」の導入がおすすめです。
Tayoriなら、ノーコードでUIに優れたお問い合わせフォームを簡単に作成できます。ロゴの設定や、コーポレートカラーへの変更など、デザインの自由度も高いのも特徴です。
様々な用途にあわせたテンプレートも充実しているので、導入してすぐにフォームを開設できます。初めてフォームを作成する人でも、必要な項目の抜け漏れも少なくなるでしょう。
Tayoriでは、FAQ(よくある質問)も簡単に作成できます。カテゴリごとに分類したり、タグを設定できたりなど検索性が高いFAQを構築可能。もちろん作成時には特別な技術は必要なく、直感的に操作できます。
作成したFAQはお問い合わせフォームと連携でき、お客様自身の問題解決をサポートします。
無料プランから開始できるので、ぜひ「Tayori」を使って最小コストでカスタマーサポート体制を構築してみてはいかがでしょうか。