
Tayori Blogでは、CX(顧客体験)とEX(従業員体験)に関する情報を継続的にウォッチし、業界の動きを定点観測しています。直近では、大きく分けて3つの潮流が見られました。
顧客体験(CX)の動き
① カスタマーハラスメント対策の本格化
2026年10月のカスハラ対策義務化を控え、関連プレスリリースが増えています。
豊中市による職員向け対策強化のほか、AIカメラ・ボディカメラを手がける株式会社バルテックによる顧客対応従事者の6割超がハラスメント被害を経験しているとする調査など、対応の記録・可視化を切り口にした企業の取り組みも発表されました。
義務化を機に、これまで現場任せになりがちだった対応方針を、組織として明文化する動きが広がっているようです。
② 対応品質の“見える化”
第三者機関による評価・認証を通じて、カスタマーサポート対応の品質を外部に示す動きも見られました。業界団体の格付けで2年連続最高評価を獲得した企業の事例もあり、品質を主観ではなく客観的な指標で示そうとする姿勢が、CXの分野でも広がりつつあるようです。
従業員体験(EX)の動き
① 社内ヘルプデスクのAI化
大規模な組織を中心に、社外向けのカスタマーサポートだけでなく「社内問い合わせ」領域でのAI活用に関するプレスリリースも目立ちました。全社員約5,000人の問い合わせ窓口をAIで一元化する事例なども見られ、対象人数の多い組織ほど、社内ヘルプデスクの効率化ニーズが顕在化しているようです。
②「理念」と「実感」のギャップ
人的資本経営への注目が高まる一方、理念や制度を掲げるだけでは従業員の実感につながっていないという課題を指摘する調査が発表されました。
企業理念に「従業員を大切にする考え方」が含まれるとする企業は8割を超える一方、実際に人的資本経営に取り組む企業のうち過半数が「従業員の実感につながっていない」と課題を認識しているという結果もあり、施策と実感のギャップが浮き彫りになっています。
③ 若手・新人の離職防止への関心
入社後早期の離職を防ぐための取り組みや調査発表も多く見られました。若手社員の58.8%が入社3年以内に離職・離職検討を経験しているとする調査(株式会社IKUSA調べ)もあり、待遇面よりも「職場の雰囲気」を重視する声が強いという結果もあわせて発表されています。金銭的な条件だけでは語れない定着支援の重要性が、改めて注目されています。
④ 心理的安全性への関心の高まり
1on1などの制度的な仕組みよりも、日頃の何気ない雑談が心理的安全性の醸成に有効だとする調査結果(株式会社IKUSA調べ)も発表されました。「雑談」を最も有効な施策として挙げた回答が、「1on1」の約2倍にのぼったとする調査もあり、かしこまった制度以上に、日常的なコミュニケーションの積み重ねが職場の安心感につながる、という視点が広がっています。
まとめ
CX・EXともに、「制度・仕組みを整えること」と「それが実際に効果を発揮すること」の間にあるギャップに焦点を当てたプレスリリースが目立っています。
カスハラ対策の義務化や人的資本経営への注目の高まりを背景に、今後もこうした“仕組みと実感の距離”をテーマにした動きが続いていくと見られます。
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