カスタマーリテンション(顧客維持)とは?具体的な5つの施策と効果
「カスタマーリテンション」について、言葉は聞いたことがあっても、なぜ重要なのか、どのような施策をしたらいいのかイメージが湧かない方も多いのではないでしょうか。
本記事では、カスタマーリテンションに関する内容を徹底解説。顧客を維持することの効果から、施策の具体例まで紹介します。
カスタマーリテンションとは
カスタマーリテンションとは顧客維持のことで、既存顧客に商品やサービスを引き続き使用してもらい、更なる関係構築のための施策を表す言葉です。
もちろん、あらゆる業界・業種において新規顧客の獲得も重要ですが、競合他社との競争が激化する近年では既存顧客との関係維持も重要視されています。
またカスタマーリテンションは新規顧客獲得に比べ、低コストで実施できるというメリットもあります。長期的なスパンで売上を確保するには、既存顧客との関係を維持する施策が企業の明暗を左右するでしょう。
ビジネスにおけるリテンションの意味とは
「リテンション」とは本来「維持」という意味があります。ビジネスにおいても「カスタマーリテンション」をはじめ様々な場面で使用される言葉です。
カスタマーリテンションの施策をするにあたっても把握しておきたい用語がいくつかあるため一つずつ解説していきます。
リテンションマーケティング
リテンションさせるための施策や、マーケティング方法を「リテンションマーケティング」と呼びます。カスタマーリテンションの場合は、リピーターになってもらうための施策のことです。
CRM(Customer Relationship Management)
リテンションや、顧客管理について「CRM」という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。CRMとは「顧客関係管理」や、「顧客管理システム」を指します。顧客に関する情報を一元管理できるツールのこともCRMと呼びます。
リテンションレート・リテンション率
リテンションレートやリテンション率とは、全体の顧客の中で継続利用している顧客の割合を示したものです。
当然どの企業も100%とはいかないもの。では、リテンション率はどのくらいが正常値なのでしょうか。
リテンション率は、サービスによっても異なりますが、モバイルアプリの場合は90日後の平均リテンション率が80%、SaaSビジネスの場合は1ヵ月で90〜97%程度だといわれています。
競合のリテンション率を把握するのは難しいため、自社の過去の数値を確認しながら、状況に応じて95〜97%程度を目標に設定することがおすすめです。
関連記事:チャーンレートが注目されている背景とは?計算方法と改善する3つの対処法
リテンション施策を行う効果
リピーターを作ることは企業にとってメリットがあることはなんとなく想像できるでしょう。では、リテンション施策を行うことで、具体的にどのような効果があるのか確認してみましょう。
既存顧客のLTVの向上
リテンション施策をする1番の目的は、既存顧客のLTVを向上させることによって売上の増加、売上の基盤を作ることです。
1:5の法則といわれるように、既存顧客に販売するためのコストを1とすると、新規顧客に販売するためのコストは5必要です。また、5:25の法則では、リテンション率を5%改善すれば、利益が最低でも25%以上増加するといわれています。
つまり、リテンション率を上げることは、売上に直結するのです。
関連記事:LTVとは?計算方法・CACとの関係性・向上させる3つのポイント
良い口コミや紹介の誘引
リテンション施策を行うことは、ロイヤルカスタマーへと育成する効果もあります。継続利用しているロイヤルカスタマーは、売上に貢献するだけでなく、良い口コミを発信してくれることや、顧客の紹介を誘引することが期待できます。
カスタマーリテンションの重要性
時代の流れと共にカスタマーリテンションが重要視されるようになりました。
前述したようにカスタマーリテンションがもたらす効果は多岐に渡り、企業の売上向上や安定に繋がります。
近年の技術発達により商品の品質レベルが上がり、商品そのものの価値だけではなくハイレベルな顧客対応やサービスが求められるようになりました。
そのため、企業同士の競争が激化し、新規顧客の獲得だけではなく既存顧客との関係性にも注目されるようになったのです。
競争が激化する中で、顧客のニーズを把握し、企業と顧客の関係を強固にするためのカスタマーリテンションは、現代のビジネスにおいて重要視されやすい施策と言えるでしょう。
リテンション施策の具体例
リテンション施策の重要性や、カスタマーリテンションが売上の増加に繋がることはご理解いただけたかと思います。次に、具体的にどのような施策を行えばいいのか確認していきましょう。
購入時の接客や、購入後のアフターフォロー
リピーターになってもらうためには、購入時の接客や購入後のアフターフォローでいい印象を持ってもらうことが欠かせません。
商品の機能自体には満足していても、接客に満足できなかった場合、類似商品へ乗り換えられてしまいます。顧客とのコミュニケーションで重視する項目は「対応の早さ」です。
クラウド情報整理ツール「Tayori」の調査では、問い合わせをしてから24時間以上経過すると、70.5%の人は我慢の限界が来ることがわかります。できるだけスピーディーに対応することで、第一印象を上げていきましょう。
参照:小さなチームで優れた顧客サポートを 実現するための5つのポイント
また、顧客への印象を確かめるには、NPS調査を利用して可視化することがおすすめです。
関連記事:NPS®とは?顧客満足度との違いや調査・計算方法まで解説
継続的なコミュニケーション・情報発信
顧客維持のためには、購入後に継続的にコミュニケーションを取ることが重要です。ダイレクトメールやはがきなど1対1のコミュニケーションではなくても、オウンドメディアやSNS、LINE@などでの情報発信もかまいません。
顧客の直接的な反応がなかったとしても、実はメールを開封していたり、SNSの投稿を見ている可能性もあります。その場合には、反応がなくともサービスや商品の想起に繋がります。
完全に忘れられることがないように、定期的に顧客との接点を作っておくことが重要です。
サービスや商品の品質改善
商品をリピートしてもらうためには、サービスや商品自体の品質も当然重要です。
顧客の声を反映させながら、品質の改善に務めることもリテンション施策のひとつです。有名な話で、インテル元社長のアンディー・グローブやAmazon創業者のジェフ・ベゾスも、経営において最も重要な活動として、企業規模が大きくなった段階でも、顧客の声には常に注意を傾けていました。
ロイヤルカスタマーへの特別なサービス・ユニークな体験の提供
長期間リピートし続けてもらい、ファンになってもらうためには、「ロイヤルカスタマーであるからこそ特別なサービスを受けられている」と、スペシャル感を与えることも効果的です。
例えば、ロイヤルカスタマー限定のクローズドなイベントの招待や、特別に専任のサポート担当者をつける、等が施策としてあります。
ロイヤルカスタマーだからこその特別なサービスやユニークな体験を提供することで、より利用し続ける価値を感じてもらいやすくなるでしょう。
カスタマーリテンションが失敗する原因
企業の業績向上において顧客維持が重要であることはわかっていても、施策が上手くいかなかったり競合他社に顧客が流れてしまう場合もあります。
カスタマーリテンション施策の具体例を知ることも大切ですが、逆に何が原因で上手くいかないのかを理解しておくことで失敗を防げるためしっかりと理解しておきましょう。
施策が顧客に適していない
カスタマーリテンションが上手くいかない原因の一つとして、施策が顧客に適していないことがあげられます。
顧客と言っても「新しい顧客」や「既にファン化している顧客」など様々なパターンがあります。
顧客のパターンごとに最適な施策をすべきにも関わらず、全ての顧客に対して同じ施策をしてしまうとニーズに合わず失敗する可能性があります。
顧客をパターン化しそれぞれに合わせた施策を打つことで、一人一人のニーズに合わせた対応が可能です。
顧客の質が低い
質の低い顧客に対していくらカスタマーリテンション施策をしても上手くいきません。
質の低い顧客とは商品やサービスそのものに魅力を感じている顧客ではなく、キャンペーンや広告に導かれた顧客のことを指します。
顧客の数ばかりが増えてしまい、肝心の売上や顧客維持に繋がらないため、カスタマーリテンション施策の前にマーケティング方法などを見直した方が良いでしょう。
カスタマーリテンションに使えるツール
実際にカスタマーリテンションを行うにあたって独自でオリジナルのシステムを開発するという手段もありますが、既存のツールを使うことで人員やコストの削減に繋がります。
また既存のツールはカスタマーリテンションに繋がるカスタマーサポート専用に作られているため、顧客と企業双方にとってストレスなく使えるというメリットもあります。
ではカスタマーリテンションに使えるツールはどのようなものがあるのでしょうか。今回は2つのツールを紹介します。
顧客管理システム
顧客管理システムは、顧客の情報を管理し企業と顧客との関係性をサポートするツールです。
顧客管理システムでは、顧客の基本情報、購入履歴、サポート情報、スケジュール管理、マーケティングなど様々な機能があります。
顧客管理システムを使うことで、顧客情報が管理でき、顧客とのやり取りがスムーズに進みやすくなります。
また顧客のニーズに沿った素早い対応も可能で、顧客維持、ひいては顧客満足度の向上にも期待できます。
自社でシステムを開発・管理する方法もありますが、コストがかかったりメンテナンスが難しいというデメリットもあります。
十分な予算・人員が確保できる大企業であれば自社開発も可能ですが、予算・人員が限られている中小企業にとっては現実的ではありません。
そのため自社開発が厳しい中小企業は外部のシステム導入がおすすめです。
ネット環境さえあれば導入後すぐにシステムへのアクセスができ、自社でのメンテナンスも不要なため専門知識のある人材を雇用する必要もありません。
外部のシステムは月額費用を支払って利用する場合が多く、求める機能や予算に応じてツールを選ぶと良いでしょう。
チャットボット
次にチャットボットの導入です。
チャットボットとはAIを活用し自動で会話ができるプログラムのことで、質問に対してチャット形式で自動返答するシステムです。
チャットボットには、事前に質問と質問への回答を登録して活用する「シナリオ型」と、AIを使用して質問に答えていくチャット形式の「FAQ型」があります。
どちらもカスタマーサポートの目的で利用されることが多く、人員削減・顧客との接点を増やす・問い合わせのハードルを下げるなどの効果があります。
チャットボット導入により顧客の問い合わせ負担が軽減されたり、早期問題解決できたりと、カスタマーリテンションに繋がる結果を得やすいでしょう。
リテンション施策は適切なカスタマーサポートから
カスタマーリテンションを意識し、施策を行うことで売上に大きな影響があることがわかりました。今回紹介したリテンション施策はどれもすぐに試せるもの。特に顧客に寄り添いながらコミュニケーションしていくことが重要です。
顧客とのコミュニケーションを取るためには、大前提として、窓口としてのカスタマーサポートの充実が欠かせません。「忙しくてつい問い合わせへの返信を忘れてしまう」「毎回同じ質問が来て困っている」という方は、カスタマーサポートツールを利用して、よりスピーディーにそして確実にカスタマーサポートを行える環境を整えてみてはいかがでしょうか。
株式会社PR TIMESが運営する「Tayori」では、カスタマーサポートに必要な機能を一元管理できます。直観的に操作できる管理画面で、お問い合わせフォームやFAQが簡単に作成できます。
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リテンション施策の一貫として、顧客の声を蓄積するという点においても活用できるので、ぜひ導入を検討してみてはいかがでしょうか。
また、Tayoriの導入によって業務効率アップができるか、チームのでご利用に最適な有料プラン(プロフェッショナルプラン)の無料トライアルもぜひ一度体験してみてください。